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第31話 東の祠

 王都ギルド前、早朝。


 Dランク昇格試験の日とあって、ギルド前には数組のパーティが集まりはじめていた。

 皆一様に引き締まった表情で、互いの様子を探るような緊張感が漂っている。


 そんな中、ひときわゆるい空気をまとったパーティがあった。


「ふぁぁ……眠いよぉ……昨日のお祝いで、夜更かししすぎちゃった……」


 大きなあくびとともにミミが呟く。


「昨日も寝かさないよとか言っておきながら、真っ先に寝てたのミミさんじゃないですか」


 すかさず、リアナがぴしゃりと突っ込んだ。


「えっ、そうだったっけ? えへへ……」


 肩をすくめて笑うミミの横で、エリシアが背筋を伸ばし、穏やかな声で促す。


「さあ、みなさん気を引き締めていきましょう。試験はもうすぐ始まりますよ」


「うむ、エリシアの言う通りじゃ。試験前の備えを怠るでないぞ」


 セイも真面目な表情で頷いた。


 ほどなくして、集合を告げる鐘の音が街中に高らかに響き渡る。

 それを合図に、セイたちは装備の最終確認を済ませ、それぞれ気持ちを整えていった。


 やがて、ギルドの玄関口から一人の中年男性が姿を現す。

 鍛え上げられた体に実戦向きの軽装。胸元の王都ギルド紋章が光り、自然と視線が集まった。


「おはよう諸君。

 私は今回のDランク昇格試験を担当する、ギルド試験官のヴァイルだ」


 重みのある声が響き、各パーティが一斉に姿勢を正す。

 ヴァイルは全体を一瞥し、一歩前に出た。


「今日の試験内容は、東の祠での“封印確認”および“必要に応じた再封印処理”だ」


 小さなどよめきが広がる中、淡々と説明が続く。


「最近、祠周辺の魔力が不安定になっており、近隣の魔物も増加傾向にある。

 封印が完全に解ける可能性は低いが、万が一に備え、確認と処置を行ってもらう」


 ヴァイルの視線が、各パーティを順に捉えていく。


「今回、試験に挑むのは五組。

 原則として各パーティは独立して行動するが、状況によっては連携が必要になるだろう。

 なお、評価を担当する試験官はすでに現地へ向かっている。

 結果そのものよりも、行動や判断に至る“過程”を重視する。――その点を忘れるな」


 少し間を置き、声を張った。


「以上だ。質問はあるか?」


 しばしの沈黙の後、セイが一歩前に出て手を挙げる。


「その再封印処理というのは、具体的に何をするんじゃ?」


「……ああ、そうだったな。重要な説明が抜けていた」


 ヴァイルは小さく咳払いし、落ち着いた口調で説明を続ける。


「再封印処理とは、封印術式の補強と再構築、それに必要な魔力の注入だ。

 現地には、術式の痕跡と支点がいくつか残されている。

 支給された符と触媒を使い、術式を読み取って歪みや破損を補修し、魔力を注ぎ込めば完了となる」


「そうは言われてものう……いまいちイメージがつかん」


「まあ、詳しい手順や封印の形式については、現地に待機している試験官から説明があるだろう。

 落ち着いて対処すれば、そこまで難しい作業ではない」


「ふむ、了解した」


 セイが頷くと、ヴァイルは他に質問がないことを確認し、一歩下がった。


「それでは、準備が整い次第、東門から“東の祠”へ向かえ。

 現地集合をもって試験開始とする。――健闘を祈る」


 説明が終わると、パーティごとに順番に東門へと歩き出していく。

 一組目、二組目――それぞれ声を掛け合いながら出発していった。


 セイたちも他のパーティに続いて立ち上がる。


「さあ、行こうかの」


「うんっ!」


 ミミが元気よく返事をし、リアナとエリシアも頷いて後に続いた。


 ◇ ◇ ◇


 歩き出してすぐ、セイがぼそりと呟いた。


「“祠”だの“封印”だの……今までの経験上、悪い予感しかせんのはワシだけかの?」


 それに、リアナが肩をすくめて応じる。


「確かにね。ひょっとして東の祠、魔王の封印だったりして――ねっ? テンプレ勇者様」


「縁起でもないことを、さらっと言うな」


 軽口を交わしてはいるものの、歩みを進めるにつれて空気は徐々に張り詰めていった。


 山道を抜け、東の祠へ近づくにつれ、行く手を阻む魔物の数が目に見えて増えていく。


「ヴァイルの言っとったとおりじゃな……魔物の数がちと多いぞ」


 セイたちは息の合った連携で魔物を退けつつ、足を止めることなく慎重に進んだ。

 しかし、戦闘と緊張の連続で、動きの端々に疲労がにじみ始めている。


「さすがにちょっと疲れてきたね」


「地図を見る限り、祠はもうすぐのはずじゃ。あとひと踏ん張りじゃな」


 やがて、木々の隙間から石造りの祠が姿を現した。


「……見えたよー!」


 目的地を捉えた瞬間、ミミの表情がぱっと明るくなる。


 ――だが。


 祠へ近づくにつれ、誰もが違和感を覚え始めた。


「……空気が重い。何か、ただならない気配がする」


 リアナが足を止め、眉をひそめて周囲を見回す。


「うぅ……なんか、胸の奥がぞわぞわする……」


 ミミも不安そうにセイの袖を掴み、身を寄せた。


 祠の前に立った瞬間、その違和感は確信へと変わる。

 閉ざされた石扉の隙間から、黒煙のような禍々しい気配が漏れ出していた。


「封印……完全に、破られてる……?」


 エリシアが呟いた、まさにそのときだった。


 ズザッ――!


 地面を蹴る荒々しい音とともに、祠の中から一組の冒険者が転がり出てきた。

 服は乱れ、肩には深い傷。顔色は蒼白で、何かに怯えきっている。


「――っ、ひぃっ……だ、だめだ、あれは……っ!」


 追いかけるように、現地にいたはずの試験官も慌てて祠から飛び出してくる。


「封印が解けた、逃げろ! 今すぐ王都へ戻ってギルドへ報告を……!

 Aランクでは話にならない……Sランクを、しかも複数だ……!」


 言い終えるや否や、試験官は尻もちをついたまま後ずさりし、転がるように山道を駆け下りていった。


 そして――次の瞬間。


 祠の奥から、ぬるり……と、巨大な影が姿を現す。


 それは女のような輪郭をしていた。

 だが、その身から溢れる魔力は、人間のものとは明らかに異質だった。


「ひ、ひえぇええっ!!」


 残っていた冒険者たちも悲鳴を上げ、我先にと逃げ出していく。


 気づけば、その場に残されたのは――セイたちだけだった。


「……あ、あれ……もう、逃げるの無理じゃない……?」



────────────────

▼ステータス情報


【名前】セイ

【年齢】25(肉体年齢)

【職業】テンプレ詰め込み勇者

【レベル】21(+3)

【スキル】生活知識大全/魔法知識大全/発想展開/世界法則書き換え/時間停止/運命介入/魅了体質/加齢無効/無限成長/強制ハーレム誘導/おじいちゃんの優しさ(ヒロイン全員好感度+100)/威圧/加速支援/魔法適性鑑定/精霊感応/状態異常回復


【同行者】

 ・ミミ(記憶喪失の少女/推定15歳)

 - 好感度:かなり高

 - 能力傾向:回復系(第一段階覚醒済)/ヒーラー適性あり

 - 状態:旅人風の白いワンピースを装備。戦いの連続で疲労気味

 - 補足:どうも夜更かしは苦手なようだ。リアナいわく、お子様なみの就寝時間である


 ・リアナ(元騎士団の見習い/19歳)

 - 好感度:高

 - 能力傾向:攻撃系(雷・風属性)/貫通・麻痺・加速タイプ

 - 状態:結構高そうな銀の胸当てを装備。戦いの連続で疲労気味

 - 補足:冗談で飛ばしてはいたが、魔王案件を引き寄せるセイの勇者パワーを結構信じている


 ・エリシア(元聖女様/24歳)

 - 好感度:かなり高

 - 能力傾向:支援・結界・祈祷(神聖属性)

 - 状態:青と白のシスターっぽい洋服を装備。戦いの連続で疲労気味

 - 補足:おっとりのはずが、いつの間にかパーティのまとめ役ポジションになってることに困惑している


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


もし少しでも「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら、

ブックマークや感想で応援していただけると嬉しいです。泣いて喜びます。


もちろん「面白くなかった」などのご意見も大歓迎です!

しっかり次につなげるべく、泣きながら執筆します。


それと、本作とは少し雰囲気の違う シリアス寄りのファンタジー作品

『暁のアストラニア』( https://ncode.syosetu.com/n2326kx/ )もぜひぜひ!


気分転換に「じっくり読める作品が欲しいな」と思ったときにでも、

ふらっと覗いていただけたら、すごく嬉しいです。


皆さまの感想が、何よりのモチベーションです。

それでは、次回もぜひよろしくお願いします!

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