表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/34

第16話 魔王という存在

 古代遺跡調査――遺跡からちょっと南方の帰り道。


 焚き火がぱちぱちと音を立て、辺りに柔らかな灯りが広がる。

 その中で、セイは膝を抱えながら、ぽつりと口を開いた。


「リアナ。魔王とはなんじゃ?

 この世界には、本当に“魔王”と呼ばれる存在がおるのか?」


 少しの沈黙。

 リアナは薪を焚き火にくべ、炎を見つめながら答えた。


「……私も詳しくは知らないけど、確かに“魔王”という存在は記録に残ってるわ。

 何百年も前に、当時の勇者によって封印されたって、歴史書にも載ってる」


「へぇ……」


 ミミが足をぶらぶらと揺らしながら、感心したように声を上げる。


「つまり――じゃ」


 セイはわずかに目を細めた。


「遺跡で目撃されていた大型の魔物の正体は、あの奥に潜んでおった存在じゃ。

 やつは自らを“魔王四天王ダルセナ”の右腕と名乗っておった……名は、レオナード」


「でもセイ、わたしたち……あの奥まで行ってないよね?

 なのに、なんでそんなこと知ってるの? セイ、すごくない?」


 身を乗り出すミミに、リアナは戸惑ったように眉を寄せた。


「いえ、ミミさん……

 すごいというか、話の流れが全然つかめないんですけど……」


 苦笑を浮かべ、リアナはセイへ視線を向ける。

 セイは焚き火を見つめながら、ゆっくりと息を吐いた。


「……そうじゃろうな。実はな、あの先へ進んだ時、ワシは一度、死んだんじゃ……

 おそらく……おぬしらも、そのあと――」


 言いかけて、言葉を濁す。

 ミミとリアナは思わず顔を見合わせ、言葉を失った。


「……じゃが、ワシをこの世界に転生させた“あやつ”が、死ぬ少し前の時点まで時間を巻き戻してくれた。

 うさ耳で、やたらテンションの高い妙な存在での。うさ神と言っておった」


「ええー!?

 セイお得意の、“都合よくスキルがポン!”ってやつ、でなかったの?」


 ミミが驚いて身を乗り出す。


「うむ……そんな余裕もないくらいの強敵だったんじゃろうな」


 セイは首をすくめ、薪をひとつ焚き火にくべた。


「でも、それって……魔王でも四天王でもないんでしょ?

 “四天王の右腕”っていう立場なだけで、そこまで強いの?」


 半信半疑のリアナに、セイは曖昧に首を振る。


「ああ……正直、想像もできん。

 ただ、奴は“探し物”をしておると言っておった。その探し物は――あの遺跡にはなかった、ともな」


 セイの視線が、一瞬ミミへ向く。

(なぜか、ミミのことを“守護者”などと口走っとったが……今は、言わんでおこう)


 セイはわざと明るい調子で立ち上がった。


「いずれにせよ、今回の依頼は“調査”であって、“討伐”ではない。

 急いでギルドに戻り、報告をせねばならんが……時間ももう遅い。

 今日はここで休み、明朝出立じゃ!」


 セイが立ち上がり、指でぱちんとミミを指さした。


「ミミ、結界を頼むぞ」


「りょーかいだよっ!」


 ミミは軽く腕を振り上げて、小さく気合いを入れる。


「えいっ、結界発動〜……ぽん!」


 軽快な掛け声とともに、ミミの足元に魔法陣が展開される。

 淡い光がゆっくりと周囲に広がり、一定の距離をぐるりと覆ってから、すっと消えていった。


「これで大丈夫だよっ! 魔獣も魔物も、これでもう入ってこれないからね」


 胸を張ってそう言うと、ミミは寝袋にぽすんと飛び込む。


「みんな、おやすみ~」


 それからしばらくして、皆が寝袋に入った。

 夜風がそよぎ、結界の外で虫の音が静かに響いている。


 ◇


 焚き火の残り火が揺らめく中、ミミがもぞもぞと寝袋から顔を出し、そっとセイの隣に寄ってくる。


「ねぇ、セイ」


「ん?」


「……死ぬって、どんな感じなの?」


 まっすぐな声に、セイは一瞬目を見開き、ふっと目を細めた。


「ちゃんと信じてくれとるんじゃな……

 じゃが、すまんの。その瞬間の記憶はないんじゃ。

 気づいたときには、真っ白な空間におってな。うさ神に説教されとったわい」


「ふぅん……そうなんだ」


 ミミはそう呟き、少しだけ視線をそらす。

 そして、セイの袖をぎゅっとつまんだ。


「でも、今はちゃんと生きてるよね? だから……もう死んじゃダメだからね」


「……ああ、わかっとる」


 セイは穏やかに微笑み、ミミの頭をやさしくなでた。


「おぬしらがおるからのう。そのためにも、もっと強うならねばな」


「えへへ……じゃあ、わたしも頑張るよ。セイと一緒に、強くならなきゃね♪」


「うむ。それでこそワシの弟子じゃ」


「あれ? わたし、いつのまに弟子になったんだっけ?」


「おいおい。魔法、教えてやっとろうが。弟子ということにしておいてくれ」


「えへへ、そうだね……じゃあわたし、勇者の弟子だ」


 しばらく、二人の呼吸が重なる。


「ねえセイ、そっち行ってもいい?」


「お、おう……寒いんか?」


 ミミはこくりと頷き、もぞもぞとセイの寝袋に潜り込んだ。

 目を閉じながら、そっとセイの背中に体を預ける。


「セイ、あったかい……」


「ミミも、ちっちゃくてあったかいのう……湯たんぽみたいじゃ」


「ひどーい!」


 そう言いながらも、ミミはくすくすと笑う。


 そして、そのまま夜はゆっくりと更けていった――


 ◇ ◇ ◇


 翌朝――


 川のせせらぎが静かに響く中、やわらかな朝日が水面に反射して揺れていた。

 焚き火の跡では、残り火がまだわずかに燻っている。


 寝袋の中でぬくぬくとしていたリアナが、ふと目を覚まし、あくびをひとつ。


「ふぁ……そろそろ起きなきゃ……」


 体を起こして隣を見ると――

 セイの寝袋から、小さな銀髪の頭が覗いていた。


「…………え?」


 思わず瞬きをしながら、もう一度確認する。


 セイの寝袋の中には、セイともうひとりの影――ミミがすっぽりと入り込んでいた。

 しかも、幸せそうな顔で、すやすやと寝息を立てている。


「えええええええっ!? な、な、なんでミミさんがセイと同じ寝袋に!?」


 リアナは顔を真っ赤にしながら、ばっと身を引いた。

 思考が一瞬でぐるぐると渦を巻き始める。


(ち、違う……おかしなことなんてしてない……はず。でも、なんで寝袋の中で一緒に……ミミさーーーんっ!?)


 そんなリアナの動揺などどこ吹く風で、ミミはのそっと寝袋の口から顔を出す。


「……んふぁ。おはよ~……リアナちゃん、どうしたの~?」


「な、な、なんでもないですからっ!!」


 リアナは即座に顔を背け、川辺の石に腰を下ろして冷たい水で顔を洗い始めた。


 寝袋の中で、ミミとセイが顔を見合わせる。


「……リアナちゃん、なんか変だね?」


「む……どうやら、盛大に誤解されとるようじゃのう」


 二人がぽかんとしたまま朝を迎える中、川の流れは今日も変わらず穏やかだった――



────────────────

▼ステータス情報


【名前】セイ

【年齢】25(肉体年齢)

【職業】テンプレ詰め込み勇者

【レベル】15

【スキル】生活知識大全/魔法知識大全/発想展開/世界法則書き換え/時間停止/運命介入/魅了体質/加齢無効/無限成長/強制ハーレム誘導/おじいちゃんの優しさ(ヒロイン全員好感度+100)/威圧/加速支援/魔法適性鑑定


【同行者】

・ミミ(記憶喪失の少女/推定15歳)

 - 好感度:ちょっと高(自らセイの寝袋にもぐり込むほど)

 - 能力傾向:回復系(第一段階覚醒済)/ヒーラー適性あり

 - 状態:旅人風の白いワンピースを装備。しっかりとセイで温まって体調万全

 - 補足:勇者の弟子(?)として、もっと強くなりたいとの気持ちがあったりなかったり


・リアナ(元騎士団の見習い/18歳)

 - 好感度:中(とにかく勘違いしている)

 - 能力傾向:攻撃系(雷・風属性)/貫通・麻痺・加速タイプ

 - 状態:結構高そうな銀の胸当てを装備。寝袋の中の二人を見て胸の動悸がとまらない

 - 補足:セイとの距離が縮まるミミをやや複雑な気持ちで見ている。いや、気になって仕方ない


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


もし少しでも「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら、

ブックマークや感想で応援していただけると嬉しいです。泣いて喜びます。


もちろん「面白くなかった」などのご意見も大歓迎です!

しっかり次につなげるべく、泣きながら執筆します。


それと、本作とは少し雰囲気の違う シリアス寄りのファンタジー作品

『暁のアストラニア』( https://ncode.syosetu.com/n2326kx/ )もぜひぜひ!


気分転換に「じっくり読める作品が欲しいな」と思ったときにでも、

ふらっと覗いていただけたら、すごく嬉しいです。


皆さまの感想が、何よりのモチベーションです。

それでは、次回もぜひよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ