1 クリームシチュー
「ただいま〜。って、誰もいるわけないよね」
保育園の仕事から帰ってきた麻子が、心の中で自分の頭にコツンとする。
昨年の12月に、真司とめでたくゴールインした麻子は、今夜は、真司が大好物のビーフカレーを作ろうとスーパーで材料を買い物してきたのだった。
でも、この匂い?!
麻子は、リビングの扉を開けると、先に帰っていた真司が、鼻の頭に小麦粉をつけて料理をしていた。
「何だ、麻子、意外と早かったんだな」
「真司こそ……」
「今日は仕事が早く終わったから、お昼には帰ってた。こんなことは滅多にないよ。所長が帰れっていうから……」
真司は中学生の頃からの夢が叶って、探偵事務所で仕事をしている。でも、真司の本意とは違って、ペット探し、浮気調査が主だが。
「所長さんとケンカしたの?」
「ハハハ、ちがうよ。今まで頑張ってきたご褒美だってさ。何て、所長は昼から観劇に行くみたいだよ」
「何だ、そうなの。良かった。それにしてもいい匂い」
「俺が作ってるの、何だか分かるだろう?」
「うん、クリームシチュー。わたしの大好物!」
「えへへ、そうだろうと思って……」
「ありがとう」
麻子は、真司がいつも自分のことを考えてくれているのが嬉しくなって、胸いっぱいになった。
「ところで、その袋?」
真司が麻子が持っていたスーパーのレジ袋を指す。
「わ、わたしもね、今晩はビーフカレーにしようと思ったの。真司の大好物だから」
「何だ、俺たち2人して、同じようなことを考えていたんだな」
真司と麻子、2人は夕飯を食べる前から既に心は、お腹いっぱいになったのでした。
新婚さんのとあるひととき。
読んでいただき、ありがとうございます。
長い間、私は児童文学しか書けないと思い込んでいましたが、昨年は大人を主人公にした物語もこの小説家になろうで、いくつか書くことができました。
今回はタイトルの順序をかえて、「真司と麻子の物語」で、ショートショート第2弾を書いて行きたいと思います。
真司と麻子の新婚さんを描いてみました。
不定期ですが、この物語も紡いで行けたらと思います。
よろしくお願いいたします。




