初競
「坊主! さっきの毒魚、競りに出すんか?」
「出せるんですか?!」
「そりゃ買い手がいれば売れるさ」
勇者のおっさんについていった市場で手続きを終える。
「おまえさんが釣ったんだ、おまえさんで競りやってみろ」
「あ、俺がっすか?! 何すればいいか分からないっすよ??」
構わんと首を横に振られたので、こうなりゃヤケだ!
競りを行う。
「こちら! 今朝とれたての毒魚!! 名前は分かりませんが毒薬と混ぜてみてはいかがですか?!」
「おいおい! これいくらだ?!」
食いついた!!
お偉いさんのような装いの人が鼻息荒くして魚を見ている。
「言い値で!」
「まじか!! 50000ラマしか持っていないが足りるか?!」
俺には物価がわからない。
初競りだから成功すればなんでもいい!
「乗った!!」
かくして、おれは初競りを成功という形で納めた。
「坊主! やるじゃないか! 大金だ!」
「そうなんですか?」
おっさんが釣り上げた魚も大繁盛だ。
一体俺の魚は何に使われるのだろう。
「帰って飯にしようか! 坊主!」
おっさんの船にもどる。おっさんの家はここだ。
小麦粉らしき粉を釣れたての魚にまぶして練り込む。
そこに謎の香辛料を加えて火にかける。
おそらくムニエルか何かの類だろう。
「勇者のおっさん、今度俺にいろんなレシピ教えてくださいよ」
「その呼び方やめろよい、ワシは勇者ではない」
ニンニクのいい匂いがする。
白身がほろほろ剥がれてとても食べやすい。
この魚をムニアルトラウトと名付けて図鑑に記録した。
「電気、消すぞ」
「はい!」
「おまえさん、いきなりそんな大金手に入れたんだ。明日は自分の船買いに行ったらどうだ」
「これで買えますかね?」
「十分だ」
おそらく50000ラマは結構大金なのだろう。
あの毒魚、なんだったんだろう…
余計気になってしまうな…