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6話 虹色に輝く魔ノ果実

「? ノロアさん、何を言っていますの? 魔力なら……いえ、なんでもありませんわ」


「え、なに」


「無限の魔力、でしたわね。ワタクシなら作り出せないこともないですけれど、オススメはしませんわ」


「はぐらかされた……。で、オススメしない理由って?」


「簡単なことですわ。ノロアさんの体がその魔力に耐えきれませんの」


 ……だろうな。それぐらいわかってた。


 下級の魔法を数発撃っただけで魔力を枯渇させてしまう俺に、無限の魔力を扱い切れるわけがない。

 有名な魔法使いだって少しずつ魔力を増やして、強くなっていくものだし。バカな質問をしたな。


 しかし、困った。


 魔力が無いと、呪具を使えない。またすぐに魔力枯渇を起こして、気を失うだけだ。

 無限の魔力とまではいかないけど、長い時間呪具を使い続けられる魔力が欲しい。


「それなら、今の俺にでも扱い切れる魔力はどうだ?」


「……はぁ」


 あ、あれ? ため息を吐かれたぞ。もしかして、またバカな質問をしてしまったか?


「あのですね、ノロアさん。ワタクシ、ノロアさんのおバカ加減に呆れてしまいましたわ」


「な、なんで?」


「今のノロアさんが耐えうる魔力量は、下級の魔法を数回使える程度ですのよ? そのことを理解していますの?」


「どういうこと?」


「まったく……」


 そう言って、ジュジュはどこからか取り出した呪具のペンで木のコップを作り出す。

 それを俺の目の前に突き出してこう言うのだった。


「今のノロアさんが扱い切れる魔力を、このコップ1杯だとしましょう」


「わかった」


「そのコップの中に魔力を無理やり作り出してしまいますと、どうなるかおわかりで?」


「コップが破裂してしまうな」


「そうです、破裂してしまいますの。それをノロアさんの体で言い換えますと……?」


「……ひぇ」


 俺の体が内側から破裂する、だと……。これは想定外だ。俺はあまりにも魔力のことを知らなすぎた。

 ……やっぱり、いきなり強くなるってのは現実的じゃないみたいだ。


 でも、だからといって……諦めきれない。


「どうにかできないか? ジュジュ」


「ノロアさんは、ワタクシがいないとなにもできませんのね。わかりましたわ。奥の手を使いましょう」


 そう言って、再び呪具を空中に走らせ――リンゴのような果実を作り出した。

 しかし、色が最悪だ。こんな色の果物を俺は見たことがないし、そもそも食べ物の色じゃない。


 ジュジュは一体、これで何をしろと……?


「食べてくださいまし」


「え? だってこれ、虹色に光ってて……」


「食べてくださいまし」


「だからこれ、虹色に光ってる、よ……?」


「魔力を増やしながら、その魔力に耐えうる体を作るにはこれしかありませんの。だから、食べてくださいまし。ノロアさんなら、できるでしょう?」


「…………」


 本当ならこんな得体の知れない物を食べられるほど、俺は勇敢じゃない。

 それに昔、俺は森で見かけた果実を食べて腹を壊したことがあってだな……。


 だけど、ジュジュが言うには、今すぐ強くなる方法はこの果実を食べるしかないみたいだ。

 俺は押しつけられるような形で、ジュジュから虹色の果実を受け取った。

 

「ちなみに聞くけど、これはどこ産?」


「ワタクシが作り出したのですから、ワタクシ産ですわ」


「いや、そうじゃなくて。これはどこで採れる果実なんだ?」


「あぁ、そういうことですの。この果実は、魔の瘴気が漂い続けている魔王領で採れますわ」


「え?」


「だから、早く食べてくださいまし。ワタクシから遠ざけてくださいまし!」


 そう言って、ジュジュは凄まじい力で果物を俺の顔面に押し付けてくるのだった……。




 ――数分後。


「美味ぇ……」


 食べた。

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