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22話 呪具使い

「数ヶ月ぶりのお兄ちゃんだぞ! ここは会いたかった! って、抱きついてくるところでしょ!」


「はぁ? あたしがいつおにぃなんかに抱きついたのよ。そもそもの前提が違うの、わかる?」


 ……確かに。いま思ったら、アリスに抱きつかれる以前に一緒に遊んだことすらなかった。

 とはいえ、前提が違うっていうのはいかがなものかと。俺は普通にアリスを愛してんだけど……。


「え? もしかして、俺のこと嫌い?」


「きっしょ! え、なに。今まで好かれてるとか思ってたわけ? おめでたい頭ね」


「え、えぇ……」


 そこまで言われなきゃいけないの? 俺、アリスに何かしたっけ? ……してないよな。

 もしかして、何もしてこなかったのが逆に問題なのかもしれない……。


 これからはスキンシップを増やしていかないとな。……もう俺たちは二人家族なわけだし。


「……そうだオリビア。話が中途半端に思ってたからいま言うけど、あのくそ生意気なのが俺の妹のアリス。特待生で入学した凄いやつなんだ。仲良くしてやってくれ」


「…………」


 あれ? 何の返事もない。もしかして、アリスとはすでに仲良しだったりするのかな。

 それだったらお兄ちゃんとしては安心なんだけど……オリビアのあの顔、絶対に違うわ。


 なにあの顔。すげぇ歪んでる。えっ、そんな顔してしまうぐらい相性が悪いのか? この二人は。

 苦虫を噛み潰したような表情を遥かに通り越してるんだけど、アリス……何したの?


 ……ここは、担任の先生らしいアイギスに聞いてみよう。


「な、なぁアイギス。アリスとオリビア、なんであんなにギスギスしてるんだ?」


「……あの二人は入学当初からずーっと衝突ばっかし。正直オレ様も手を焼いてる。和解させようにもお互い一歩も近づこうとしねぇし、何が気に食わねぇのかわかんねぇんだ」

 

「へ、へぇ……。仲良くしてやってくれると嬉しいんだけど……。な、オリビア?」


「無理。あんな人と仲良くするぐらいなら、魔法学園を退学する」


 そ、そこまで……? 確かにアリスは嫌なやつだけど、そんなに悪いやつじゃないし、むしろ……。


 なのに、何でこうも嫌われてるんだ? 


 それに、アリスだって……。


「はぁ? 何それ。あたしもあんたみたいやつと仲良くするぐらいなら、おにぃと結婚するし」


 ……え? 何それ傷つく。魔法学園を退学するのと俺と結婚するが同列に扱われてるの?

 マジで俺のこと嫌いじゃん。そして、オリビアのこともっと大嫌いじゃん。


 何でそんなに睨みつけてるの。流石の俺でもここまでキツい顔されたことないぞ……?


 オリビア、アリスに何したの……。アリス、こっちに凄い形相で近づいてくるんだけど……?


「ま、まあ二人とも落ち着けって……。大体、魔物の襲撃がこれで終わるはずないし」


「ノロアの言う通りだ。今回の件、間違いなく魔王幹部が絡んでるに違いねぇ」


「……げぇ。魔王幹部が絡んでんの? ということは、100パーセント魔の紋章持ちじゃん」


 ……待って? 魔王幹部に魔の紋章? それってアイギスに魔の紋章って言ってるのと同じだぞ。

 前回のゴブリン・エンペラーは何とか倒すことができたが、あんなこと何度もできない。


 そのようにジュジュが言っていた。


 あれは俺の魔力とジュジュが1600年練り続けた膨大な魔力があったからできた荒技らしい。

 ジュジュは擬似的に勇者の紋章を発動させたと言っていたが、そんなもの俺の体には到底見合わない力だった。

 

 だから、体が崩壊しないように回復魔法を同時に何万発も発動させて、どうにか命を繋いだ。

 しかし、そのせいでジュジュはすべての魔力を使い果たしてしまって、もうできないらしい。


 もし、次あの力を使うなら、命と引き換えだと言われたよ……。


「……はぁ。何度も言うけど、魔王はまだ復活してないんだから、しゃしゃり出てくんなよな」


 もっと大人しくしていたら、こんな立て続けに魔物に襲われることもなかったはずだし……。


「どうにかならないの? 元とは言え、魔王幹部でしょ?」


「残念ながら無理だな。今のオレ様に魔の紋章の力はねぇし、現・魔王幹部とは知り合いでもねぇ」


「……そっかぁ。じゃあやっぱり、勇者が早く強くなってくれないと困るってことか」


「まあそうなんだが……あまり期待はできねぇな。なんせ、聖剣が使えねぇって話だ」


「……マジか」


 つまり、これは宝の持ち腐れってやつだな。聖剣あって、勇者の紋章あるのに強くない。

 ……あれ? 人間対魔族の戦い、負けるんじゃね? かつて一回だけ負けたらしいけど……。


 あのときはくそ強い魔族がいたらしいが、今回は人間側が弱すぎるってわけか。


「……まぁでも、お前らがいれば何とかなるんじゃねぇか?」


「お前ら?」


「呪具使いのことですわ、ノロアさん」


「呪具使い?」


「えぇ。ワタクシを含め、初代勇者のパーティーにいた錬金術師に作られた5つの呪具を用いて戦う人たちのことですわ」


 ……なるほど。俺みたいな奴があと4人かいるってことかぁ……って、そうじゃない!

 ジュジュって初代勇者のパーティーにいた錬金術師に作られたってマジか……。


 確か、名前をジェイド。人であるにも関わらず、神の領域に至ったとされる……変人だ。

 ということは、『あの方』というのはジェイド? そうじゃなくても、初代勇者パーティーの誰かってことになるんじゃね?


「ちょ、ちょっと待ってよ!」


「どうした? アリス」


「お、おにぃがなんで呪具使いなんかに……! それじゃあ、お母さんとお父さんは……!」


「……そのことは後で話す。でも、今は――」


 ――その瞬間のことだった。俺たちを取り囲むようにいくつもの魔法陣が展開されたのは……。

 そして、その魔法陣は目を開けていられないほどの光を放ち、思わず目を閉じてしまう。


 その数秒後、光は収束していき――俺たちは魔物の群れに包囲されていた。

 

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