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オッサン勇者、実は盗賊?!  作者: としょいいん


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第26話 隊長のヤボ用【2】

 ドカッ! バキッ! ドサッ!


 その日、王都にあるとある貴族の館において、その当主が見るも無残な状態になってしまうとは、本人を含めた家族や使用人の誰もが思いもしなかった事だろう。


「頼む、もう止めてくれ。金ならいくらでも出す。お願いだ……もう、許してくれ……」


 最初は静かに起こして話を聞くつもりだったのだが、声を掛けたアコース子爵が枕元にあった短剣を手に立ち向かって来たのは流石は軍閥貴族の一人だと言えよう。


 この部屋でいくら暴れても先に防音&防振結界を張っておいたし、入口扉も完全に封鎖してあるから貴族の一人や二人くらいどうにでも出来る。


 まぁ、窓から逃げるならワンチャンあるかもだが、常にヤツと窓の間にはオレが立ち塞がっているから逃がすなんてヘマはしない。


「心配するな、金など要らん。ただちょっとだけお前に確認したい事があるから答えるんだ」


 オレは反抗の意思を完全にポキリと折ってやった後で、気落ちしたアコース子爵にいくつかの質問をする。


「今から三ヶ月前にリョハン大王国との国境沿いで紛争があった。お前はそこで司令官をしていた、そうだな?」


 オレの質問の意図を計りかねているのかヤツの返答がおかしい。


 オレはその時の作戦内容を確認し、何故アイシャの小隊だけ先行させたのか理由を尋ねるとヤツは一瞬だが言葉を詰まらせる。


 それはあの時、現地の司令官だったヤツよりもっと上のヤツから作戦司令書が届いており、その指示された内容に従って部隊の指揮を執ったからと言う事だが、それだけで無実と判断するにはヤツの態度がおかしいとオレの直感が告げている。


 このまま自発的に自供させていたら時間が掛かりそうだと考えたオレは、ここでヤツの頭を掴んでその記憶を強制的に奪ってやる事にした。


 結果としてコイツは”クロ”。やはり思った通りだった。


 記憶を現在から過去に向かって逆再生して行くと、その途中で明らかに関係ないと思われる部分はスキップしてリョハン大王国境付近での紛争当時まで数秒で辿りついた。


 それはアイシャの小隊を最前線から更に敵陣へと斬り込ませる命令を出した時、コイツの手元には敵軍からの作戦司令書が届いており、アイシャの小隊がどれだけ前進したとしてもコイツが命じた敵補給部隊とは遭遇せず、この急襲作戦そのものが嘘だったと判ったからだ。


 アイシャたちが敵補給部隊ではなく迎撃部隊と遭遇して退却しようと決断した時、既に周囲をグルリと敵に囲まれていたのは彼女たちの小隊が敵に筒抜けになっていたからで、撤退する方向に騎馬隊に対して有利な重装歩兵を密集隊形にして待ち伏せをしておいたと言う訳だ。


 それにしても、その状況で臆する事無く突撃を敢行して乗っていた騎馬を失っても、そこから徒士で突き進んで生き残ったアイシャはただ単に強いだけではなく、仲間たちからの信頼と強運にも恵まれていたのだろう。


 あとリョハン大王国軍の動きについても明らかにアイシャの小隊のみを狙い撃ちにして殺しに来ている事から、味方であるはずのヒュベリオン王国の貴族が敵方と通じている事が判る。

 この動きはアイシャの小隊を全滅させる為と言うより、これまでも自分たちの陣営にとって邪魔な者を最前線へ送り出し、そこで敵兵の手によって始末していたとしか思えない段取りの良さが伺えた。


 王城にある作戦資料室ではコイツが言う”上からの命令書”が見当たらなかったが、こいつの脳のからは羊皮紙に記された手書きの命令内容を記憶映像で見る事が出来た。

 ただ、その命令書には発令者のサインが無く、もしこの書類が見つかってもこれだけでは物的証拠とする事は出来ないとでも考えているのだろう。


 確かにサインされていない命令書など、ただの落書きだと言い切ってしまえば裁判の証拠とする根拠には出来ない。

 だがそれはあくまで正式な手続きを踏む場合の話であって、この国の法律には決して引っかからない能力を持ったオレが自ずと判断する場合はその限りではない。


 サインされていない命令書を受け取って、それが自分の寄り親貴族からのものだと理解しており、その内容に従って粛々と命令を実行させるだけのシステムが出来ているとすれば、サインの無い命令書が逆に確証となる場合もある。


 アコース子爵には記憶を強奪した時に起こる後遺症を隠すため服毒自殺して貰う事にしたが、コイツの記憶からは跡継ぎと家族、それに使用人の中に殺すほどの罪を隠してる奴が見当たらなかったので、ゲビリッシュ子爵家そのものを滅ぼすのだけは勘弁してやった。但し次は無い。


 その後は少し眠くなってきたのと、この案件にはもっと多くの貴族どもが関係しているはずなので、今から徹夜して朝まで頑張っても終わらないと考えてボヤージュ侯爵家についてはまた後日にまわす事にした。

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