表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オッサン勇者、実は盗賊?!  作者: としょいいん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/38

第15話 訓練場の日常

 あれから先代国王の願いで魔王大戦後の混乱が収まるまでの間だけこの国に留まり、オレの正体を隠しながら騎士団では対応が難しい魔王軍の有力者を掃討したり、危機に瀕した兵士を助けたりしていたが、当初の見込みではそれほど長い期間ではなかった。


 それなのに戦後処理がまだ完全に終わっていない時期に先代国王が倒れてしまい、彼の実弟だった大公殿下が急遽戴冠するとオレのお役御免の話は有耶無耶になってしまった。


 新しく即位したウィリアム国王とは、彼が大公時代にオレたち勇者パーティと一悶着あった関係なので公式行事以外で顔を会わせる事は無く、今では完全に王城のお荷物と呼ばれるようになって久しい。


 17歳の時にこちらの異世界へ召喚されて魔王討伐に3年もの月日を費やし、それからもう12年も経ってしまっているのが今でも信じられない。


 何故なら最初の3年間がとても長くて充実した日々だったので、その後に一人で過ごす事になった15年間が本当に短く感じられるからだ。

 もしかしたら最初の3年間が実は15年くらい掛かっていて、仲間たちを失ってから未だ3年しか経っていないと言われた方が実感があるくらいには時間の感覚が狂ってしまっている。


◆◇◆◇◆


 勇者から受け継いだスキルは自身の強化を始めとした専用スキルの数々に専用魔法もあって、【リターン】のスキルがオレでも使えると知ったのは、何年か前の事だった。

 せめて魔族領から逃げ帰る時にこの事を知っていれば、あんなに苦労しながら逃げ回る必要は無かったんだよな。


 賢者から受け継いだ魔法スキルは基本の【四属性魔法】の他に時間と空間に作用する特殊効果を持った【時空魔法】と、街一つを丸ごと壊滅させるほどの範囲と威力を秘めた【古代魔法】なんてモノもあったが、オレが気に入って毎日使っているのはお湯を沸かしたり、洗濯物を乾かしたり、身体をキレイにしたり、部屋の掃除をするのに最適な効果を持つ【生活魔法】の数々だったりする。


 普通に生活するだけなら賢者の魔法なんて必要となる場面はそうそう無いと思うが、それでも空を飛んだり、過去に訪れた場所へ一瞬で転移出来る魔法なんかもあったけど、勇者の【リターン】スキルと同じく、それらの魔法が使えると知ったのもここ最近になってからの事だった。


 聖女から受け継いだ【聖属性魔法】は、あの頃のオレの魔力量では彼女が使っていた全ての魔法を再現する事は難しかった。

 それでもケガの他に毒や麻痺などを治せるようになったのは、これからも異世界で生きて行く為には必須のスキルだと言える。


 聖騎士から受け継いだ【聖剣技】は、オレが正体を隠してマスク勇者として活動していた頃に一番お世話になっていたスキルだろう。


 知っての通りオレの正体は盗賊なので短剣と弓の扱いは得意なのだが、帰国してから勇者のフリをする必要がある時は騎士や剣士の上位互換スキルである【聖剣技】はいつもオレを助けてくれた。

 ただ少し気を付ける必要があるのは普段の人前で聖属性が付与された強力な一撃を見られてはいけなかったり、盗賊としてはおかしいレベルの体力回復スキルや盾技なんかも大っぴらに知られる訳には行かず、ここ王国内ではただの盗賊として振る舞う必要があった。


◆◇◆◇◆


 ブンッ! ブンッ! と風を斬る音を聞きながら、今日も太陽が中天に登り詰めるまで素振りを続ける。


 流石に【聖剣技】を受け継いでから15年も経ってるから、今ではもう立派に自分のスキルとして使いこなせるようになっていた。


 手に持った黒い木剣の切っ先が綺麗な軌跡を描き出す。


 素振りの他にやる事が無いので、何度も何度も繰り返して剣が太陽の光を斬るのを確認しながら、ただひたすら無心に素振りだけを繰り返す。


 オレはこの異世界へと召喚されて来る前は、高校の剣道部で幽霊部員をしていた。


 もしあの時この異世界へ来ると知っていたら、もう少し真面目に部活をやっておけば良かったと後悔した事もあったが、今ではそれも良い思い出だ。


 オレが頭の中でイメージする剣術は仲間だった聖剣士の技術を元に、現代世界の剣道が混じっているから、もしこれから先の未来でまた戦いがあると言うのなら、日本刀かそれによく似た刀でも探して手に入れておけばきっと何かの役に立つかも知れない。


 まぁ、今のオレに対して、国の騎士団から出撃命令なんか来るはずは無いが「もし」とか「万一」があった時に、もう後悔だけはしたくないからな。


 無心の割に色々と雑念ばかりだった様な気もするが、そろそろお腹が空いて来たので訓練を中断して更衣室で普段着に着替えてから街へ繰り出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ