表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オッサン勇者、実は盗賊?!  作者: としょいいん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/38

第13話 王立盗賊団?!

 面倒な取り巻きたちを追い返してから護衛の騎士たちも下がらせて、と言っても、あの女騎士どもはオレがカティアに何か無礼を働くと考えているので「絶対に外へは退出しない!」と言い張るので、今も訓練場の反対側(でとても暑そうなところ)へ整列して貰った。


「ハルト兄様、実は……」


 カティアがこの場所へ来るのは何も取り巻きたちを遠ざける為だけでは無く、あの日から彼女の”恩寵”を知ったオレに、彼女が見た夢や突然頭の中に閃く映像について報告しに来るのが理由だ。

 カティアが最近見た夢では、まだ数年後にこの王都が破壊され尽くす未来は変わっておらず、もしこのまま何もせず時間が流れてしまえば取り返しがつかなくなる事を彼女は危惧している。


 それでカティア王女の発案で、この王城内に新しい国防組織を作ろうと考えていたらしいのだが、既存の騎士団にオレを紛れ込ませるのは、貴族出身者でほぼ占められている騎士たちから良い返事を貰えなかったと聞いた。


 それは魔王大戦が終わり亜人種討伐戦から今も続いている世界大戦の間中、ずっとこの訓練場でぬくぬくと過ごしていた噂のせいでオレの評判が頗る悪く、例えかつては勇者パーティに所属していたとは言え、仲間を見捨てて一人だけ帰って来たなんて噂が広まってしまえば、誰だってそんな奴に背中を預けて戦おうなどと考える者はいないだろう。オレだってイヤだ。


「私としては近衛騎士になって頂きたいのですけど、ハルト兄様はお嫌ですよね?」


 オレがイヤと言うより向こうでこちらを睨んで立ってる「アイツらに言え!」と思うが、三人の王女を守る近衛騎士たちは全員が女性で占められている。

 何故そんなムフフな状況の中へオレを配属したがってるのかは不明だが、逆にアイツらが承諾して本当に配属されたら、それはそれで天国だなんて思える思考回路はしていないので、この流れは良い方向で合ってるよな?


「それで私、決めたんです!」


 おい、カティア、主語が抜けてるぞ。今の会話だけでは何を決断したのか判らないのだが、彼女の瞳にはナントカゲリオン弐号機で使徒に精神を乗っ取られた眼帯女の面影を見た気がしたので、下手に逆らわず素直に頷いておく。


「さすがはハルト兄様です、私の考えに賛同して下さるのですね!!」


 賛同も何も、オレとカティアは先代国王からこの先の未来を何とかするように一緒に頼まれた”戦友”だし、王族以外の貴族や騎士の中にオレの味方なんて居ないから他に選択肢が無い。


「そうです! ハルト兄様は世界を救う盗賊なので騎士団に入れて貰おうなんてセコイ考えがそもそも間違っていたのです! なのでパパっと作っちゃいましょう! 王立盗賊団を!!」


 カティアの言った内容が向こうに居る近衛騎士たちにも聞こえたのだろう。彼女らの口が皆揃ってあんぐりと開いて、目の玉が飛び出るほど大きく見開いているのは決して何か新しい訓練方法を編み出した訳ではない。あと、そんな顔してたら婚期が遅れるぞ?


 その後、何故かこの「王立盗賊団」は王妃の賛同により、貴族どもの反対を押し切り実現する事となる。ちなみに賛成は王妃と二人の王女で3人だけだったらしい。


 最初は現国王であるウィリアム国王陛下が反対するかと思われたが、嫁と二人の娘たちから冷たくあしらわれるのに耐えられなくなり降参したと、経過報告をカティアから聞いたのはずっと後のこと。

 そしてこの「王立盗賊団」設立に反対する既存の四騎士団が貴族どもが結託して何か企んでいたが、その証拠を王国への反逆として罪をチラつかせてやれば寝返る者が多かったので多数派工作は成功したらしい。


 それとカティアは何も考えずに「盗賊団」を考案した訳ではない。


 彼女が見た夢の中では、この世界を滅ぼす為に異次元からやって来る者たちを迎えるゲートが必要だったり、血の儀式が必要になったりと、何かと物入りで手間の掛かる事が多い事が判ってきた。

 なのでそのゲートを開く為に必要な”オーパーツ”とか儀式で必要なアイテムなど『それらに必要なアイテムを先に盗んでしまえば戦いが起こらないんじゃね?』的な理論を提唱し、この作戦を実行する為に必要な組織が「王立盗賊団」だったと言う訳だ。


 確かに彼女が考えた通りオレの戦力を最大限活用するなら、盗賊として活動するのに正義を信奉する騎士団では何かとやり辛いからな。


 魔王大戦後に各地で戦っていた頃のオレは自分の素性をマスクで隠していたので、騎士団が王国を護って戦っている時に一人でサボっていたと思われているし、今からあの時のマスク勇者の正体は『オレでした』なんて明かしても今は逆効果になるだろう。


 そう言えば、あの時オレの素性を隠すように言って来たのも貴族どもだったはず。


 あいつらは「勇者様が亡くなった事を隠すため」なんて言っていたが魔王城から生還したオレの実力を恐れて、オレが盗賊のまま英雄となるのが怖かったのだろう。

 だが自分の正体を隠していたお陰でオレのプライベートを守れたと考えるなら、あの時の判断が間違っていたとは思わないから別に良いけどな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ