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オッサン勇者、実は盗賊?!  作者: としょいいん


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第13話 王女襲来?

 今日も飽きずに朝から訓練場で夜まで素振りを行う予定だ。


 この場所はかつて、この国の騎士団がまだ一つしかなかった頃の訓練場で、今は王家が直接管理する場所となってるので、オレを除けばここに用事があるやつなんか居ないはずだった。


 だが今、オレの感知スキルで十名以上の者たちがこの場所へ向かって近づいて来るのを察知したが、そのうちの何名かは知ってる魔力反応だ。


 オレは訓練場の隅っこの方に置いてある屋外テーブルを直射日光が当たらない日陰へ移動させてから、お湯でも沸かしておけば良かったなと考えていると……。


「おい、貴様! 王女殿下の御前であるぞ! 早く臣下の礼を取れ!」


 いくらこの国が他国と比べればまだマシだと言っても、王族の周りに必ずこんな奴が居るのはテンプレで面白くも何ともない。


「良いのです。この方は先代国王陛下のご友人ですから皆様ご無礼の無いようにお願いします。突然アポも取らずにやって来た私たちの方が礼を失しているのですから」


 この一見人が良さそうで容姿が端麗なお姫様はオレを友人だと言ってくれた先代国王の姪で、もっと正確に言うなら現国王の娘の一人で第二王女のカティア・アル・ヒュベリオンその人である。


 カティアの事を王女殿下と呼ぶより、先代国王の姪の『カティ』と愛称で呼んだ方が喜んでくれるのは、彼女がまだ小さな子供だった時から遊んであげていたのが原因だろう。

 あれからもう十年くらいの月日が経っているので、今では立派な王位継承権を持つ一人前のレディーに育ちつつある。


 この王女殿下は月に一回か二回の頻度で突然やって来るのだが、今日は珍しく役人っぽい人たちを引き連れて来たのは、公人としてオレに何か依頼事でもあったのだろう。


「これはカティア殿下、ご機嫌麗しく存じ上げます。……で、何か用か?」


「貴様! なんだその口の聞き方は! 王女殿下に向かって無礼であろう!!」


 オレの事を知らない連中を連れて来て王女殿下が一人でニヤニヤしているのは、きっとアレを期待してるのだろう。その証拠に”アレ”を見せろと彼女の目が訴えている。


「お前こそ、これを見てからモノを言え」


 オレは先代国王から貰ったと言うか、持たされたメダルを空中から取り出してそれを手の平に乗せる。

 そしてほんの少しだけ手の平に魔力を巡らせるとそれが起動キーとなってメダル中央からスクリーンが出現し、その映像には一枚の契約書が映し出されていた。


 そして、そこに書かれている内容を目にしたこの国の者は、貴族と平民の区別無く大抵の場合はそれ以降は何も喋らなく……いや喋れなくなる。


 その契約書には先代国王がオレと結んだ契約内容が記されていて、彼は自分が突然亡くなってしまった場合や、他国からの謀略等によって王権を失ってしまった場合に備えて、尚且つオレの本当の実力を知った上でこの契約を結ぶ事を希望した。


 そしてこの内容を目にした者や聞いた者、またそれ以外の方法によって知り得た者のうち王族を除く全ての者に対してある守秘義務が生じるようになっている。


 もしそれに違反した者は極刑となるが、刑の執行は契約内容を見た者の目から脳に直接刻まれたスクリプトが自動で実行してくれる嬉しいサービス付き魔法で、それを正しく表現するなら”呪い”とも言う。


 この秘密を知った者が他国まで逃れたとしても、自分自身がこの約款を破ったと感じた瞬間に脳内に仕込まれた術式が人体の生命維持活動を停止させてしまうので、いくら検死をしても死因は心筋梗塞か脳溢血となり、呪殺された証拠が一切残らない素敵仕様となっている。


 流石は賢者が遺した破格の契約魔法だったと言える。


 もうこの時点で魔法と言うより、どう考えても呪いだとしか言えないシロモノだが、元の世界で凄腕プログラマーだった賢者が異世界魔法で使用されている古代言語や、エルフたちが使ってる精霊言語、それに今も脈々と受け継がれている竜人語等を解析して本来ならプロトコルの違いから相互干渉して同時実行は不可能だとされていた複数言語の優れた部分を紡ぐようにして完成させた新魔法の一つだ。


 すると案の定、その意味を知った王女殿下の取り巻きたちが言葉を失い静かになっていく。


 この契約書の最後には王族たちのサインが記されており、そこに署名した者たちはオレに対して無礼講を認めているし、その中には現国王や王妃、それに後から生まれた三女以外の王女殿下たちも含まれている。


 だからこの容姿端麗で性格がとても悪い第二王女殿下は時々こうやって、自分の周りに配属された気に入らない役人たちをまとめて処分したくなった時、大名行列を引き連れてお茶を飲みにやって来るのだ。


「こ、これは……」


 オレと先代国王を含む現在生存している王族全員との契約は、オレがこの国に居場所を保証して貰う代わりに、再び魔王大戦のような世界の命運を掛けるほど大規模な戦いが勃発した時に力を貸すと言った内容で、王族側の条件は絶対だがオレ側が努力義務となっているのは謎だが、王族以外の者にそこまで見せてやる必要はない。


 この契約は一見するとオレの方が一方的に有利でムチャクチャな内容が記されているが、この契約を締結したのは魔王大戦から生還した後も、死に場所を求めて各地を転戦していたあの頃のオレが生きて行く理由となるようにと先代国王がそう望んでくれたからだった。

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