私たちがいつも使ってるスマホの歴史。知ってますか?
後にスマートフォンの開発者となるアメリカ人のベイカーさんも1992年にはまだド田舎の末端のエンジニアでしかなかった。
ベイカーさんは猫と暮らす独身男性で平日は仕事。休日も自宅を改造した研究室で新しいモバイル端末の研究に明け暮れた。
「ボタン操作のない液晶電話機の発明したい」
ベイカーさんのこの夢を皆が笑っていた。無理もない。携帯電話すら普及しておらずテレビもコンピューターもブラウン管モニターだった時代である。
ベイカーさんは「あの頃。笑われない日はなかった」と後に語っている。
1990年代後半から2000年代。折り畳み式携帯電話の全盛期を向かえる。手のひらに収まる機械に電話、メール、インターネット機能が搭載されている。多くのエンジニアたちが未来の実現に満足していた。たった一人を除いて……
もちろんその一人とはベイカーさんである。ベイカーさんは携帯電話はもっともっと進化できると信じていた。『タッチパネルで操作できる新型モバイル』のイメージは完全に出来ていたがベイカーさんにはそれを実現出来る技術も財力もなかった。
ベイカーさんは悩み苦しんだ。(所詮私の考えている事など夢物語に過ぎないのか?)
そんなベイカーさんに2002年。転機が訪れる。
「ベイカーさん。こんなんどうかニャー?」
「すごい!」
ベイカーさんの愛猫のスマートがベイカーさんのイメージ通りのモバイルを作って見せたのである。
スマートはベイカーさんの作業をいつも隣で見ていていつの間にか言葉も話せるようになって機械技術
も身に付けていた。
ベイカーさんはこの機械にスマートの名前をつけた。
『スマートフォン』誕生の瞬間である。
ここから先の物語は皆さんの方がよくご存じであろう。ベイカーさんのアイデアとスマートの技術はとあるスティーブっぽい名前の男が経営する超大企業に買われた。
ベイカーさんは全ての権利を売るのはどうかと悩んだが個人と個猫だけでは限界がある。
「ご主人の好きにするといいニャー」
というスマートの後押しもあり、未来に『スマートフォン』を広く伝えるため。ベイカーさんはスティーブっぽい名前の男に全ての権利を譲渡した。
今でもリンゴみたいな名前の会社にはベイカーさんとスマートの等身大写真が飾られている。
皆さんも一度はテレビやインターネットで見たことがあるだろう。
2022年現在。ベイカーさんとスマートは今も田舎の自宅で新しい『未来』を作るための研究を続けている。
「私とスマート。お互いすっかり年を取っちまったが研究意欲は全く収まらん」
とベイカーさんは笑う。
トントントン。取材スタッフの私の足をスマートが肉きゅうで叩いた。
「どうしましたか?」
「ねぇねぇこんなんどうかニャー?」
「……す……すごい!」
スマートが私に見せてくれたのはまさしく新しい『未来』だった。
この続きはまた今度……。
ニャー