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7話

「もう誘って来ないで」きっぱりと香織に拒絶された昨日の今日。


なんであの時あんなに声を荒げたんだろうか。自分のわがままで他の人に迷惑をかけたくないのと学校で孤立しているのは何か関係があるんだろうか。香織のことが気になってきた。


でも、昨日もう一緒に下校はできないと言われた。どうしたら...


そうだ、同じ学校で同じクラスなんだから、下校時間じゃなくて、学校で声をかけたらいいじゃないか。俺って頭いいなーっ!


健司「伊藤さーん、」


香織「...何?」


健司「昨日はごめん、俺が悪かったよ。」


香織「悪かった?」


健司「...その、あのー...そうだ!今日昼飯一緒に食おうぜ!」


香織「お昼ご飯?」


香織がちょっと嫌そうな顔をしたような気がした。


香織「佐藤君の友達も一緒?...」


健司「いやそのつもりはねぇが。友達と一緒の方がいいか?」


香織「ダメ。佐藤君だけならいいよ。」


俺とだけならいいって...そんなに俺のことが好きなのか。


健司「わかった。俺だけで行く。」


香織「場所は私が決めるから。お昼ご飯の時間になったら私についてきて。」


ーーーーー


校舎裏で昼飯を食べることになるとは。校舎裏って告白とかする場所じゃねぇか。


俺の横で黙々とこじんまりとした弁当を食べる香織。女子の弁当はみんなこじんまりとしているが足りるのかこんなので。


健司「弁当旨そうだな。」


香織「...は?」


健司「えっ?」


香織「私のお弁当見るために誘ったの?」


健司「そういうわけじゃないけど、見たら旨そうだなと思って。」


香織「...じゃあ、食べる?」


健司「あ...」


なんかいい雰囲気じゃね?もしかしてあーんって食べさせてもらって...


香織「んっ。」


健司「うっ...」


弁当を差し出された。


香織「食べたいの取っていいよ。」


健司「...ありがとう。」


俺は香織の弁当から2つある玉子焼きの中から1つ選んで口に入れた。


健司「うん、旨いよ!」


香織「ほんと!嬉しい!」


笑っている。本当に嬉しそうだ。今ならあのことを聞けるかもしれない。


健司「あのさ、香織。」


香織「ん?何?」


健司「学校でどうして他の奴らと喋らねぇの?」


そう俺が聞くと、香織の顔から笑顔が消えた。


香織「...ずっと一人で居るのはやっぱり変かな?」


正直、変だ。だが、今まで香織と接してきてここで正直に変だと言うのは彼女を傷つけるだろう。だから...


健司「変だとは思わねぇよ。でもこうやって香織と話していると楽しいから、一人で居るのは勿体ないっていうか。香織と話したいやつはクラスにいっぱいいると思うぜ。」


香織の口角が少し上がった気がした。


香織「無理だよ。私じゃあ。みんなと仲良くできない。」


健司「なんで?」


香織「違うのよ。私はみんなと根本的に。何もかも。私は一人ぼっちがお似合いよ。」


健司「そんな卑屈になるなよ。俺が取り持ってるやるからさ。」


香織「結構。相手が求めてないんなら無理にする必要はないよ。」


健司「相手が求めてないって...そりゃあ、誰だってその人のことを良く知らなかったら求めるも何も無いだろ。その人のことを知っていくうちにもっと知りたいとか仲良くなりたいとか求めることがでてくるんじゃねぇの?」


香織「その人のことを知っていくうちに...それじゃあ、」


キーンコーンカーンコーン


健司「あ!もう昼休みの時間終わっちまう!急ぐぞ!」


香織「あ、うん...」


ーーーー


午後の授業が始まった。でも頭の中はさっきの香織のことでいっぱいだ。


あの時、香織は何か言おうとしてたよな。何を言おうとしてたんだろう。


気になるな。この授業終わりに聞いてみるか。


キーンコーンカーンコーン 授業終わりのチャイムが鳴る。


香織の元へ向かおうと目線を香織の席に向けた時、すでに香織は席にいなかった。


あれ?どこに行った?確かに授業中は席に座っていたはずなのに。


ふと、廊下の方に目を向けると香織が廊下から俺に向かって目で合図を送っていることに気づいた。


何を俺に伝えているんだろう。わからなかったので、香織の元へ行くことにした。


さっきの話の続きだろうか。それとももっと違う話だろうか。


香織の元に着くと、香織は嬉しそうな顔をしていた。


香織「今日、私と一緒に下校してほしい。いい?」


健司「ああ、いいぜ。」


異様に明るい調子で半ば強引に提案されたその誘いを俺は了承した。

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