大福くんと玉紗さん
色々と考えているうちに,席替えがそろそろ終わる.
最後まで残ったのは,あたしの左隣り.
そのまた左,窓側列の一番後ろには大福くんが座っている.
これがラストだからクジを引くまでもない.
そこは,細川さんの席に決まりだね.
なんという強運! というか,これこそ神通力かしら?
へ(|""‥"||)へ「大福様,やはり神のご加護です」
\(`・γ・´)/「細川,あのなあ……」
へ(|""‥"||)ノ「あなた,浅井さんでしたね」
おおっと,細川さんがあたしに手を差し延べてきた.
これはつまり,握手をしましょうという意味だよね?
少しおそれを抱きながら右手を出して,彼女の手を握る.
へ("・ω・`)ノ《なにこの子の手,すんごく温かいしぃ!》
\(|""‥"||)へ「うふふ」
細川さんは上品な顔で,静かに微笑んでいる.
ここは,こちらからなにか話さないとね.
へ("・ω・`)ノ「あの,あたしは浅井茶子よ」
へ(|""‥"||)へ「そうですか」
\("・ω・`)ノ「仲のいい友だちからは,オチャコって呼ばれているの」
へ(|""‥"||)へ「では,お茶子さん,今後ともよろしく.うふふ」
やだ,オチャコさんだって.さんづけだと,なんだかくすぐったい気持ち.
\("・ω・`)ノ「うん,こちらこそ,よろしくね,細川さん」
へ(|""‥"||)へ「玉紗でも,構いませんことよ」
\("・ω・`)ノ「分かったわ,玉紗さん」
先生が明日以降の予定などを話して,ホームルームは終了.
ああ,もう帰ってすぐ寝たいくらいに疲れちゃったわ.
ふと左隣りを見ると,玉紗さんがさっそく大福くんを誘っている.
へ(|""‥"||)ノ「大福様,よろしければこの後,わたくしの新居で
ランチはいかがでしょうか.ご招待しますわ」
へ(`・γ・´)へ「ランチ?」
へ(|""‥"||)ノ「はい.一流の料理人が準備しておりますから」
\(`・γ・´)/「悪い,オレはこれから購買でパンを買う.
それ食ったら,部活があるんだ.だから
お前はさっさと帰れ.オッサンきてるぞ」
あ,気づかなかった.
いつの間にか黒板側の出入り口に,黒い服を着た紳士の姿がある.
玉紗さんの執事,松永さんよ.運転手で,剣道三段で,柔道五段.
というか時間ピッタリ.さすがプロの執事さんだわ!
へ(|""‥"||)へ「残念ですわ.でも,きっと近いうちにどうか
いらして下さいまし.いつでも歓迎致しますわ」
\(`・γ・´)へ「そんな暇ができたらな」
へ(|""‥"||)ノ「うふふ.それでは,お先に失礼します.
お茶子さんも,さようなら.おほほ」
\("・ω・`)ノ「えっ,うん.サヨナラ!」
玉紗さんはアッサリと去ってしまう.
その背中からは,どういう訳か,底知れない余裕を感じるわ.