1.2 急展開!?
バスケの試合の後、
「ただいまー」と俺はいつも通り、気軽に家の中に入った。いつもならこの後家族で食事をする。しかし、今日はなんだか雰囲気が重い。父さんも母さんも無言でリビングの椅子に座っていた。ちなみに俺は一人っ子で母・父・俺の三人で暮らしている。
「どうしたの?二人とも…」
「はぁ…」
俺は心配になって声をかけた。そしたら父さんはため息をついて話を始めた。
「海斗、お前に大事な話がある」
「え?どうしたの?」
「俺たち、日本に急遽戻ることになったんだ。」
「は?」
正直、俺の頭は今聞いたことを理解できなかった。俺が日本からアメリカに来る時も、同じような感覚だったが、今回はもっとはっきりしていた。なぜなら俺は今、とても充実した生活を送り、NBA選手になると言う夢がある。今日本に変えればハミナードでバスケすることができなくなってしまう。
「どうしてだよ!?なんでもっと早く教えてくれなかったんだ」
俺は焦っていたこともあり、こんなことしか言えなかった。
「実は上からの命令で日本にいた頃の元の研究所に戻れと言われてな。 逆らうことができないんだ」
父さんが研究者なのは知っていた。結構優秀らしくてアメリカきたのだから。しかしこんな急に言われてもしなければいけないことが沢山ある。ハミナードには寮があるわけではないので、日本に帰るなら友達やチームメイトにも別れを伝えなければならない。
「時間は… 日本に行くまでどのくらい時間があるの?」
今の俺は日本に行くまでどのくらい時間があるのかとても気になっていた。なぜなら来週も試合がある最後にハミナードのみんなと一緒に試合に出たい。
しかし、父さんの答えは…
「一週間だ… ほんとうに急ですまない。ちゃんとみんなに別れを伝えておいてくれ」
「まじかよ…」
それは一番聞きたくなかった答えだ。来週の試合まで一週間、試合に出てる時間なんてないだろう… しかし
「そっか。 わかったよ」
納得するしかなかった。どうせ後一周間なら友達といい思い出を作ろう。そう自分を信じ込ませ、俺は二階にある自分の部屋に向かった…
・NBA(National Basketball Association)
アメリカのプロバスケットリーグ。バスケット会の頂点で、日本人でNBAに行った人は片手があれば数えられる




