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第205話:航空技術者は拳銃に特殊な内部構造を導入する(前編)

 立川に戻った俺は、例によってすぐさま未来の技術情報を満載した資料を保管しているいつもの金庫のある部屋へと赴き、金庫の中を置いてある資料を取り出した。


 銃器関連をまとめた資料である。


 この手の技術というのは航空機とは大きく関与しないためどうしても忘れがちとなることから、予め戻ってきた2597年頃に書き溜めておいて保管しており、稀に金庫の中から資料を取り出しては内容を確認して何を保管しているのかも忘れないようにしていた。


 そしてその資料の中から "拳銃" と記述された大きな封筒を取り出して中身を確認する。


 ……間違いない。


 この中に書き留めた拳銃と、西条が要求してきた西条を含めた現陸軍上層部が求めている銃の性能は近い。


 近いがこいつは……かなり特殊な構造を持つ拳銃だ。


 機構こそ普通も普通。


 いわゆる撃針方式のショートリコイルによるティルトバレルの拳銃であり、未来を見渡せばありふれた拳銃以外のなにものでもないもの……だが、その構造はあまりにも現用の銃とはかけはなれていた。


 思い出すな……JARを開発していたあの日の事を。


 本来の未来においてJAR開発を行っていた際、様々な国そして組織から支援を受け、支援者の中には銃器メーカーからの出向者もいた。


 その中に2人、それぞれ別の国、別のメーカーからの出向ながらも元来は拳銃を専門とする銃器技師がいたのだ。


 一人はNUPの人間で、P250の主要開発者の一人。


 "ある構造"を見出した男で、カビが生えているどころか発酵しているとも言える程に熟成された拳銃の内部構造について今一度見つめなおし、機構はそのままに次の世紀を現わす新機軸の内部構造をもった拳銃を生み出していくことを信念に掲げた男。


 もう一人はかつて第三帝国と呼ばれた国の技術者で、ヴァルザーの拳銃部門の出身。


 彼はポリマーフレームは長期使用するにあたり、射撃時に発生する衝撃による負荷に加えて熱による膨張と収縮の連続によって弾塑性変形が生じて次第にフレームが歪む、樹脂系素材を用いる上で避けては通れない熱サイクル疲労を問題視し……


 その疲労の蓄積によって発生するフレームの折損や、ヤレた状態でのフレームで射撃した際に発生する命中率の大幅な低下などの諸所の弱点をどうしても受け入れられず、自らをも使いたい銃として、長期使用が可能で信頼性の高いスチールフレームに拘っていた。(重量が軽いことが長所な半面、ポリマーフレームというのはどうしてもスチールフレームと比較して寿命が短い)


 彼曰く「数年ならいい。10年15年と経過した時、いざ使おうとしたらフレームが歪んでいましたでは話にならない」――ということで、適切に整備しておけばいざという時に狙いを大きく外して第三者等が被害を被ることがない銃こそ拳銃のあるべき姿だと考えていた様子だ。


 実際は可能性の未来からの情報から俺がやり直しする直前あたりからポリマーフレームはさらに進化して耐久性も獲得していくわけであり、本来の未来においてすら既にポリマーフレームの拳銃を軍用として採用していこうと検討が開始された時期ではあったが、スチールフレームの拳銃が意外にも"可能性の未来"において依然需要があることを考えると、間違った認識ではないと思う。


 それぞれ出向させられた理由はメーカーから「もっと広く視野を持つべき」――と焼きを入れるためだったと推測され、P250を開発した男においてはメーカーから出向中に撃針……


 すなわちストライカー方式の新しい拳銃の開発を同時に行うように指示され、ヴァルザーから出向してきた男もヴァルザーの再起をかけたP99よりもさらに先進的な機構を持つポリマーフレーム方式の拳銃を開発せよと指示を受けていた。


 しかしながら前者は撃針方式よりも撃発方式に拘りが強く、全く譲るそぶりを見せず、後者は後者で「何としてでも自らの拳銃をヴァルザーに認めさせる。ポリマーフレームの新型なぞ知った事か」――などと述べながら譲るそぶりを一切見せなかったのである。


 このように二人とも大変こだわりが強い職人気質な人間で、自らの信念に従った銃を作ろうと切磋琢磨する半面、それ以外に興味を示さぬような者達だった。


 そんな彼らと共にJARを開発していた折、彼らから共有された技術情報によって俺は俺で1つの拳銃を見出したのである。


 それこそがP250のような特殊構造を持つ拳銃であり、信頼性と耐久性、そこに生産性も加味した存在であった。


 何が特殊かって、フレーム素材に拘らなくていい構造という点では、ある種革新的な存在ではあったのだ。


 ポリマーだろうが、アルミだろうが、スチールだろうが、フレームの素材を選ばず、同じ機構を持つ状態で自由に組み替えできる汎用性と冗長性こそが、本拳銃の最大の特長かつ恐ろしい部分であり、長所だった。(可能性の未来ではP250をベースに生まれたストライカー方式のP320が同様に複数のフレーム素材で生産可能なようであるが、少なくても先にそれを本来の未来において達成したのが本拳銃だ)


 面白いアイディアだったのか、この拳銃の開発には二人も協力してくれ、後にJARの開発とは関係なく本件の噂を聞きつけてG17を販売していたメーカーより休暇を利用してどこからともなくやってきた銃器技師も混ざり、特許等の問題から販売は出来ないものの1つの形に仕上がった存在こそが、目の前の資料の中に眠る拳銃なのだ。


 つまりこの拳銃はP250と、ヴァルザーの銃器技師の頭の中で燻ぶっていた撃針方式ながらスチールフレームを持つ本来の未来においてその時点では幻のヴァルザーの拳銃、そして傑作ポリマーフレーム拳銃のG17の要素をそれぞれ持ちつつも、それらとは一線を画すような拳銃なのである。


 こいつは拳銃の問題点というのを今一度一から再検討したもので、徹底的に生産性という部分を見直しながらも、それでいて性能を担保するという矛盾に立ち向かったものだった。


 まず、拳銃の生産時における問題点として多くの拳銃は工数が増えがちであるという点が挙げられる。


 手に収まる拳銃においてはバレル構造1つとっても削り出しで、多くの拳銃においてはチャンバーとバレルが一体化していることからバレル1つ作り起こすにも大きな円柱の金属を何工程にも分けて削り出して生産しなければならない。


 CNCによる三次元削り出しが出来なかった頃においては設計時に構造的な制約を受けるほどであり、三次元による削り出しが可能な旋盤が登場するまでは頭の中で描く理想の拳銃を具現化しようにも実現できないというのが長年における銃器技師のジレンマだった。


 材料にも、作り起こすのに消費するエネルギーにも無駄が多い。

 俺はここがそもそもおかしいと思ったのだ。


 多くの銃器技師はそれが当たり前だと思っているようだが、果たしてそうなのかという点について疑問をもった。


 三次元旋盤等に頼らず、旧来の作り方だけで求められる性能を満たした拳銃に仕上がらないのか?

 全体の構造を古臭くない次の時代を象徴するような状態にして。


 航空技術者として、そしてJARの開発を手伝う中で銃とは何なのかについて認識するにあたり、拳銃のこの部分を明確に違和感として認識するようになった俺は気づくとそこに挑戦していた。


 実はP250を開発した男も同じ考えを持っており、ゆえに彼は生産工数を大幅に削減する方法の1つとしてインナーフレーム方式を思いつくに至り、それによってP250は従来の1/3もの生産工数で生産できるほど優秀な拳銃に仕上がったとされる。


 それを聞いたのは俺が独自に自分なりの回答たる拳銃を作り上げようと一人で動き始めた後で、実はこの時点でP250の存在すら認知していなかったのだ……(NUP製であったため興味を持たなかった)


 彼が協力的だったのは、自分がぼんやりとながらも思いついたアイディアがP250に類似しているからだとされる。


 同じ志を共有する人間に強いシンパシーのようなものを感じたらしい。


「もっといいアイディアがあるぞシナノ!」――といってP250の図面を見せてもらった時には驚いたものだ。


 しかしそのP250ですら不完全に感じた俺は、さらに徹底した構造として生産工数を減らした。


 本拳銃銃の内部構造はこうなっている。


 まず本拳銃はP250と同様、コアフレームあるいはコアインナーフレーム(またはインナーシャーシ)を持つ。


 これは同じジレンマに遭遇したP250の銃器技師がまずはフレームという存在を一から見直すということで見出したアイディアを活用させてもらったもの。


 従来の拳銃のフレームは非常に複雑な内部構造をしている。


 これをもっと単純な形状にするにあたり、P250ではフレームをコアフレームとグリップフレームに分割している。


 複雑極まりない従来の構造のフレームをグリップフレームとして単純化し、その中に複雑な形状の部品を詰め込んだインナーフレームをはめ込む形とすることでグリップフレーム部分の生産工数を大幅に減らしたのだ。


 1枚の金属板をプレス成型したコアフレームは高い生産性を持ち、内部は細かい部品も含めてプレス成型、あるいは工数の少ない削り出し加工等で済む部品だけで構成されている。


 このコアの部分にトリガーやその他の作動機構の多くが詰め込まれているのである。


 このような構造を採用する場合、上手くやらねば部品点数が増大しうるデメリットがあるが、卓越したセンスを持つ銃器技師の設計によってP250では部品点数をむしろ逆に減らす事に成功しており、生じうるデメリットを完全に解消する事に成功していた。


 プレス成型されたコアフレームに一部の部品の機能を併せ持つ構造を導入し、細かい部品を一体化させて部品点数を減らしたのである。


 俺はこのP250のアイディアを貰いつつも、本拳銃においてはさらに先進的な構造に改めた。


 コアフレームの全体構造や一連のトリガーその他の形状についてはP250と全く違うが、最大の違いとしてサムセーフティをオミットし、代わりとしてデコッカーを搭載した。


 こうすることでコアフレームの構造をより単純化して部品点数を削減できるのだが、実はP250ではNUP国内での需要によってサムセーフティを残す必要性があり、それまで当該メーカーの伝統様式であるデコッカーを削除していた。


 ストライカー方式の場合、今後のデファクトスタンダードとなるのはG17と同じく内部機構による手動に頼らないセーフティ構造であると予想していた俺は、ストライカー方式となっても引き続きサムセーフティを求めるのはNUPの陸軍ぐらいであろうと考え、部品点数削減と天秤にかけてデコッカーを残してサムセーフティをオミットしたのである。


 本拳銃については手動セーフティはトリガーセーフティのみ。

 割り切った設計にすることで徹底的に部品点数と生産工数の引き下げを行っている。


 それだけでなく、サムセーフティを排除したことでフレームの全高が低くなって低床化し、バレルの位置がより低く銃の射線軸とグリップの位置が近づいてG17等の続々と誕生してくる最新のストライカー方式の拳銃と同じく命中率や反動制御等でより優位になった。


 こうすることで射撃時の跳ね上がりが抑制され、ストライカー方式の利点たるリコイル制御の高さという強みを本拳銃も宿すに至ったのである。(現状のストライカー方式では長所として目立っていないが、将来のストライカー方式の拳銃は銃身軸がより低くなってバレルの位置がグリップに近づく事からマズルジャンプを抑制出来、命中率が上がる副次的な効果があるのだ)


 なお、やろうと思えばデコッカーを削除してさらに低床化して部品点数を削減できる。

 G17よりやや低い程度になるが、命中率確保などのためにデコッカーを削除してまで徹底するべきかどうかは迷う所。


 仮に試作品を作る上ではデコッカーを搭載した物とデコッカーすら削除したものを用意しようと考えてはいる。


 そしてここからがP250と大きく変わってくる。

 俺はスライド側についても構造をモジュール化した。


 G17のメーカーから休暇ついでにやってきた銃器技師より図面を見せてもらった時に気づいたのだが、ストライカー方式ですらスライド側の構造は複雑だ。


 こんな複雑にする理由なんてない。


 ゆえにファイヤリングピン等の一連の構造もモジュール化し、スライド構造も徹底的に簡素化して生産性を向上させた。


 結果、部品点数こそ増えたもののスライドの生産工数は1/6にまで削減され、仮に量産するならば量産効果の方が上回り拳銃の値段が落ちる事は間違いなかった。


 これでもちゃんとスライドのエジェクションポート付近にチャンバーに弾丸が装填されているかの確認ができるようコッキングインジケーターが内蔵されており、安全面は考慮された状態となっている。


 だが、それだけでも足りないと考えて最も無駄が多く生産工数において足を引っ張るバレルとチャンバーの製造法と構造すら見直した。


 その方法とは、バレルとチャンバーを別々の2ピース構造とし、チャンバーについては冷間鍛造で成型し、その後にバレルと接合させてしまうというもの。


 冷間鍛造は削り出しと異なり削りカスのような工作時に発生する無駄な部材が生じにくく、かつ部品の精度を出しやすい。


 おまけに短時間のうちに大量生産できるという長所がある。


 バレルについてはライフリング等を刻む関係から引き続き削り出しとする他ないが、2ピース構造とすることで大幅に工数を削減した単純構造とする事ができるようになった。


 それこそ最初から寸法が一致する肉厚の金属パイプを原材料に削り出し加工して製造すればいいので、従来とは比較にならないほど削りカスが減り、製造時に消費するエネルギーも大量発生する削りカスも無くなったのである。


 大幅に工数を減らした状態で単純作業だけでバレルが製造出来る事から、こちらも短時間のうちに大量生産する事が可能となったのだった。


 チャンバーとバレル、全く形状が違う2つのものを1つの構造体として削り出す必要性がどこにあるのか。


 生産時の無駄を削減した上でこれまでと同様の性能を出すため、俺は部品点数が1つ増える事すら厭わずに双方を素直に分割製造した後にくっつけてしまえばいいという結論を導き出したのである。


 当時、この方法でバレルとチャンバーを別々に製造すると述べた時、周囲から「なんてアバンギャルドな解決法だ!」――と、大変驚かれた事を覚えている。


 さすがにいくらなんでも無茶が過ぎるのではないかと言われたのだが、何度も試行錯誤して製造手順や構造を見直して徹底的に精度が出るよう見直した結果、最終的に全削り出し構造のものと遜色ない耐久性並びに命中率にまで至る事が出来、俺の考えは間違ってなかった事はやり直す直前までに証明されていた。


 2ピース構造とすることで生産工数は1/15にまで削減され、バレルの生産効率は大幅に上昇して単純構造の小銃等に匹敵する程。


 そもそも冷間鍛造ならばオートメーションで非常に高い効率で大量生産できるので、バレルの1本あたりの生産コストは従来の1/7と驚くほど安価に製造できるようになった。


 それも拳銃において最も製造に時間がかかるはずのバレルを短時間で大量に生産できるようになっている。


 本拳銃において生産するにあたって一番時間がかかるのはグリップで、次がスライドだ。

 バレルは細かい削り出しの部品の次ぐらいに時間がかからず、とにかくバンバン生産していける。


 生産効率の高さは従来までの拳銃の追随を許さない。


 この2ピース構造を持つバレルとチャンバーにG17から着想を得たアイディアを活用し、独自に内部構造を見出したダブルアクションオンリー方式の作動機構を持つのが本拳銃だ。


 ちなみに俺は「これはシングルアクションオンリーでは?」――と周囲に述べたのだが、彼らは作動機構の各部の動き方から「ダブルアクションだ!」――と言って譲らなかったので、ダブルアクションオンリーだという事にしておく。(可能性の未来からもたらされた情報によればこういうのは"ファーストステージ撃発型"らしい。G17等が"セカンドステージ撃発型"ということだが結局何なのか良くわからない……)


 作動機構の構造を見直した理由としては、部品点数の徹底的な削減のためにダブルアクションオンリーとせねばならない所、G17等の当時のストライカー方式のトリガーの重さや感触が気になったからである。


 拳銃においてトリガーの重さと引いた際のトリガーの感触は命中率に影響するとされる。


 トリガーはなるべく軽い方がいいが、軽すぎると暴発を招く。


 こういった場合の暴発対策としてトリガーについてはカチッとしたスイッチを押すような感触であるのが良いとされて俺も同じ認識を共有するが、未来における拳銃のストライカー方式の場合、暴発を防ぐために作動機構がやや特殊で、引き金を引いた時に一旦撃針が後退してから一気に解放されて放たれるようになっている。


 これは落とした時に衝撃でストライカー解放されて動いても撃発できるほどの力を有するようにさせないためにそうしているという。


 ところが、その結果トリガーの感触は軍用には向かないというほどクニャッとした不快感をもつ感触になってしまっていた。


 どこまで引けば発射してしまうのか全くわからないのだ。


 航空技術者ではある一方、元皇国陸軍軍人であった俺はそれなりに銃を撃つ経験もしている。


 ゆえにシングルアクション方式の拳銃と比較しておかしな感触のトリガーはむしろ不意の暴発を招きやすいという認識があり、周囲の助力も得ながら構造を大幅に改める事で、トリガーを軽くしつつスイッチのような、まるでシングルアクション拳銃のトリガーのような状態にまで昇華させることに成功した。


 どうやってそれを達成したかというと、なんてことはない。


 極めて優秀なセーフティ構造を導入することで、スライドを引いた際にストライカーは完全に後退した状態で固定化され、トリガーを引いてもストライカー自体は発射のためにハーフコックのような状態からさらに後退して動くことがない形で射撃できるような状態としただけである。


 つまり本拳銃は本来の未来や可能性の未来においてデファクトスタンダードたるストライカー方式拳銃のようなハーフコック方式ではなく、他のハンマー方式の拳銃のようにフルコッキング状態から射撃するストライカー方式の拳銃なのだ。(これを可能性の未来ではファーストステージ撃発方式というらしい)


 通常、ストライカー方式の場合は改良されたG17のようにトリガーを引かない限りファイヤリングピンが弾丸に到達しないようセーフティとしてトリガーと連動して動作するシアーが設けられている。


 これは本拳銃も同様であり、ただストライカーが解放されただけではトリガーを動かした時と異なり壁が動かずシアーと呼ばれる壁が解放されなければストライカーは弾丸まで到達できない。


 が、こいつが意外にも曲者で、バネで押し込んでいるだけの壁なので銃をスライド側から落とした時にストライカーが衝撃で解放されてしまった際、同時に壁たるシアーが慣性によって引き金を引いた時と同様に開放するような形で動いて暴発する可能性がある。


 また、衝撃で引き金が軽く引かれて少し押し上げられたことで解放されたシアーによって、衝撃を受けて同じく解放されたストライカーが弾丸を撃発させて暴発するリスクも0と出来ない。


 その可能性を0に近づけるため、原則的に未来のストライカー方式の拳銃は基本をハーフコック状態としているわけである。


 また、落とした時の衝撃による慣性によってトリガーすら動いて普通に射撃した時と同様の状態となって暴発するケースがあったりした関係上、多くのストライカー方式の拳銃は改良され、あるいは新製品として販売されるにあたって落とした時の衝撃ではトリガーが動く事がないようトリガーセーフティを設けた事で安全性を高めたが……


 可能性の未来の状況を覗き見ても、多くのストライカー方式の拳銃では衝撃を受けた際に慣性によってシアーが動いて、同じく衝撃によって解放されたストライカーが弾丸を叩く事によって暴発するリスクを事実上の0にする事ができていなかった。


 これを本来の未来においてどうにかしようとしたのが本拳銃だ。

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