第200話:航空技術者は授かる。(前編)
大変長くなってしまったので分けました。
皇歴2602年1月3日
新装備に伴うお披露目説明会が行われた翌日のこと。
まだ三が日であったものの、情勢が情勢であるがゆえ陸軍に正月休みなど存在しない。
技研内では今日もいつものごとく各種作業に追われており、時折訪れる外部の者と軽い新年のあいさつなども交わしつつも、仕事に忙殺される1日を過ごしていた。
後々にこの日を振り返ってみて1つ言える事がある。
宿舎に戻って目を閉じるまで……その日は間違いなくいつもと変わらぬ1日であったことは断言できる。
だが、目を閉じて眠りに入ったかと感じた途端、いつもの1日は前例のない驚愕の1日へと変貌するのであった。
◇
…
……
…………
………………
「――どうも信濃忠清さん。目を開いて私の姿を見る事はできますか。私の声は聞こえておりますか?」
声はハッキリと聞こえていたが、全く認識の無い人物の声である事に戸惑いを隠せなかった。
声色からまだ若い青年と推測されるが、何者なのか全く判別できない。
今わかる事は……現実ではない空間にいるという感覚だけ。
しばらくの間、なぜか目を開く事が出来なかったが……
とりあえず相手に声は聞こえているという事を示したかったので首で頷きつつも、ゆっくりと目を開くと……そこには見慣れない皇国人らしき若者の姿があったと同時に、己の体が老体に戻っている事に気づく。
まるで元の世界に戻されたかのような気分になり、少しばかりではあるが恐怖感が襲ってきていた。
「見かけない顔だね。いくつか疑問もある。なぜ君はそんなに流暢な皇国語を話せるのか……など」
「私の外見に大した意味はありません。お時間を頂いたのは、お伝えすべき事があるからです」
「何者なのか伺ってもよろしいか?」
「諸事情により名を名乗る事が憚れます。"未来が変わったら困りますので"。しいて申し上げるならば、技術者の身でありながら、たった一人で皇国の絶望的な未来を変えんと奮闘する者に味方したい人間です」
「未来人……なのか?」
「あなたの知らない世界の……今より約90年後の時代を生きる者です」
私の知らない未来というのは……つまりどこか別の世界、あるいは今いる世界の未来人という事なのだろうか。
少なくとも赤く染まり切った、やり直す前の世界ではなさそうだ。
その証拠が皇国語。
見た感じ年齢は20代中盤といったところ。
本来の未来において、この年齢で皇国語をまともに話せる人間は私がやり直す直前の頃にはもういなかった。
そこから約20年経過したとて、かつて皇国と呼ばれた地が再び皇国という国家を取り戻しているとは到底思えない。
ゆえに、これまでの話に嘘臭さは感じない。
しかし約90年後とは……さすがに生きてはいないだろうな。
一体何を私に伝えにきたというのだろう。
「……話を伺おう。一体君は私に何を伝えたいのか興味がある」
「話が速くて助かります。いろいろと伝えたい事がありますが……まずはそうですね、私が今この場にいる理由は、このままだと貴方が望む未来に手が届かないからであるということを述べておきたい。正確には短期的に見れば手が届いたように思えるものの、中長期的に見ると後一歩が足りなかった状態となってしまったと申せばよろしいでしょうか。ともかく、その状況を変えなければならないんです」
「手が届かなかったとは? 言葉のニュアンスからして敗北したわけではないようだが……」
「おっしゃる通り、皇国は負けませんでした。しかし戦後の状況においてはしばしの安定を見せた後、世界は再び混乱の渦に巻き込まれ……貴方が望むものが崩壊するかもしれない窮地に立たされている」
それは……原因は私にあるのか?
政治的な要因に感じるが、技術でどうにかなるような話に聞こえない。
単純に何か政治的な活動も絡めて未来を変えろというならば無理がある。
先鋭化していく今後の政治の世界で立ち回れるほどの力は私には無い。
「すまないが、それは技術者の立場でどうこうなるような話に聞こえてこないな。何かの選択を間違わなければどうにかなるかもしれないといった、そういう類の事を頼みたいわけなのか?」
「いいえ。技術でどうにかします。技術力で世界をどうにかしてしまう事が出来る事を貴方は示した。政治も外交も、常識を突き抜けた天元突破のテクノロジーの前では跪く他ないことを一つの時代の中で技術者の立場で証明させてみせた貴方だからこそ、できる事がある」
「できる事?」
「貴方は限界を超えた先の領域に皇国を導くことで未来を変えて見せた。ですが、それでは足りないんです。それでは混乱を収めるだけの解決力が身につかない。これから貴方にはおよそ90年後の最新技術の中で、こちらから渡すことが出来る全てを受け取ってもらい、"限界を超えた先の、さらに限界を超えた状態"に到達してもらいたい」
限界を超えた先の、さらに限界を超えた領域……だと?
「わずか20年の違いで、そこまで大きく変わるものがあるというのか!?」
「ええ。あります。例えばあなたの認識では核融合炉の完成は後半世紀は必要ではないかなんて、まだ空想に近い産物でしたね。しかし現実は商業用核融合の建設が既に開始され、実験炉では既に発電の実証試験が行われ、実に10年以上の前倒しが起きております。これをどう思われますか?」
久々に全身から力が抜けるような感覚を受けた。
核融合炉?
あの、架空戦記物の作品やSF作品ででしか出番がないような存在が?
まだ数秒にも満たない状況ででしか核融合現象を維持できない状況から?
「本気の話か?」
「ええ。先日、NUP海軍が核融合炉搭載型の空母と潜水艦を建造する意向を示したばかりです。建造計画は既に5年前より始まっておりました。何しろ核融合で発生させたエネルギーの95%を電磁誘導で取り出すというんですから高効率です。人間がダイビングで使うような大きさの酸素ボンベ程度の燃料タンクで超大型艦船が数年は稼働できるなんて……そんな時代がすぐそこまで来ています。いろいろとひっくり返されてますよ」
「つまり核融合で出遅れたのか?」
「いえ。核融合においては主要部品の国産化の目途がNUPでは未だに立っておりません。皇国だけが主要部品を製造できる。つまり核融合分野においては世界でもトップクラスの技術力を保有していながらも、最期の悪あがきをしようとする者達によって世界情勢が揺さぶられているわけです」
どこの国がそんなことを起こしそうなのかそれとなく想像できる。
資源国家を中心としているのは間違いない。
「なんとなく想像ができるようになってきた。しかし申し訳ないがさすがに門外漢だ。今から学習するにしても時間が足りない。技術情報を手にしたとて前倒しできるようにはならないと思うが……」
「核融合は最後の到達点で構いません。貴方は流れを生み出して貰えるだけで十分です。なぜなら、貴方が知る未来の世界と、私が生きる世界は違うからです。信濃さん……貴方が知らない、貴方が守り切った技術者が私のいる世界には数多く存在します。核融合分野の技術などは彼らに任せればいいんですよ。貴方がやるべきはそのための土台の構築です。畑作りとは土作りっていうでしょ? 技術畑のための土を耕してもらいたいわけです」
言葉選びからして、この者は間違いなく皇国を生きてきた人間だ。
皇国語を不思議と完璧に使いこなせる人間ではない。
国外では使わない言い回しをする。
ようは、今私がいる世界の延長線上にある、存在しえる1つの可能性の未来からこちらに軌道修正をかけようと働きかけているという事なのか。
「具体的にどうすれば良いのか教えてくれないか」
「ありのまま渡せるだけの全ての技術と、関連情報を受け取ってください。貴方の中に全ての情報が行き渡るように手配しております。貴方はこれから、2690年現在の技術情報を受け取り、"頭に深く刻み付ける事になる。”そして、今から伝える人物などと共に、技術でもって世界を回してもらいたい。戦争や紛争ではない形で!」
「その技術は戦争を遠ざけるに足るものという事なのだな?」
「それは貴方次第です。保証できるものじゃありません。ですが、物事を全体論として捉えて考える事ができる貴方ならば……絶対にできるはずだ。そうやって導いた先に私達がいる。私は今この時代において何かすることはできません。貴方はこれからも未来の知識を得た立場としては一人のまま。ですが、これから長い間支えてくれる味方も、仲間も、作り出すことが出来る。なぜならまだ未来という可能性が閉ざされていないから」
「埋もれた人材がどれほどいたかなんて……想像にたやすい。そういう地獄は見てきたつもりだよ」
「ええそうでしょうとも。例えば信濃さんはSORYという存在をご存じだったりしますか?」
全く知らない名前だ。
そもそも皇国企業なのか。
「やはりご存じではないようですね。恐るべきことに創業者の一人は京芝の入社試験で不採用になった人物でありながら、SORYの経営規模はもはやコンツェルンとも称された京芝をはるかに凌駕しています。技術力に関しても映像分野等で他を圧倒するほどです」
なんだって。
京芝に落ちた?
何となくだが身に覚えがある。
たしかケ号爆弾の開発チームの中に、そのような経歴の者がいたのではなかったか。
その者は記憶が確かなら戦後はヤクチアに引き込まれて一時宇宙開発関連に携わったが、過酷な環境がゆえに10年もしないうちに亡くなっているはず。
ロケットの自動操縦関連の技術開発で真空管全盛期の時代に西側と同じようなトランジスタへの切り替えを目指そうとして保守的な当時のヤクチアの技術者に受け入れられずに隅に追いやられ、最終的に強制収容所送りになったとかなんとか……
その者がもし生きていたならばヤクチアの戦闘機は西側にも引けを取らない程に高性能な電子機器を満載に出来たんじゃないかなんて話をどこかで聞いた記憶がある。
「もしや……トランジスタ関連の技術者の話なのか?」
「伊深氏をご存じでしたか。そうです。彼こそSORYの創業者の中の一人。電子立国とも称される今日の皇国の礎を築いた偉大な発明家の一人です」
「私の中ではヤクチアに連れていかれて……その後は悲惨な人生を歩んだ事になっている」
「このまま時が過ぎたとしても彼は私が知る人物として皇国に名を刻むことになるでしょう。ようは、このような技術史に名を刻む御方にお力添え頂きつつ、世界を良い意味で振り回せるコア技術を10年ほど前倒しで実用化できるようにして欲しいのです」
「……やるだけの事はやってみようと思う」
仕事終わりに布団に入っていつも思っていた。
このままで大丈夫なのかと。
何が足りないのかわからないが、何かが足りないような、そんな気がしていた。
それでも、やるべきことはやってきたつもりだ。
それだけじゃ足りない何かを、この未来人はどうしても渡したいらしい。
きっとどうすればいいかは、渡ってきた技術から推論を組み立てられるようになっているんだ。
渡せるだけの技術という所が引っかかる。
あえて渡さないものがある様子だ。
「渡す前に1つだけ重要な事なので伝えておくことがあります。これは技術情報とは直接関係のない部分であるので、口頭でお伝えせねばならない事柄です」
「技術情報とは関係がない?」
「ええ、技術を得ても"また同じ歴史を繰り返す可能性"があるので、お伝えしておきます。今より数十年後に貴方はある戦闘機を開発します。後に35式主力戦闘機と呼ばれる、貴方が直接的に主任設計者として関わった最後にして当時としては最強の戦闘機です」
しれっととんでもないことを口にしてきたな。
全く形状1つ想像できない戦闘機の存在を匂わせてきた。
しかも、私が作るのだと言い張る。
「この戦闘機、当時は傑作機なんて叫ばれてはいたんですが……私が航空関連の技術を師事したお師匠様がとにかく気に入らなくて作り直させたがっておりました」
「その先生は何が気に入らなかったというのかな」
「機体規模です。全長が約19mもある。大きすぎるんです。SU-27より小型といっても十分な大型機。これでは現代の航空戦では後手を踏んでしまう」
「私の中の常識では、少なくともその年代の戦闘機はそれぐらいの機体規模のものが溢れていたはず。もう少し小型化できてもいいとは思わないでもないが、三次元推力偏向ノズルなど装着すれば不足する運動性や機動性はどうにかなりそうではあるので、私はきっと未来でそう処理したように思う」
「ええ、実際にそうされましたね」
「君のこれまでの話から推測すると……もっと小型化する必要性があるようだ」
トランジスタの件から何となく察してきた。
電子機器等の開発速度を速めて、もっとコンパクトに機体をまとめろと言いたいんだ。
一般論として機体は小型であればあるほど機動性も運動性も向上するし、視認性も落ちるのでより戦術的優位性を獲得できる。
出来れば小型であればいいのは言うまでもないが、2630年の軍の要求次第では達成が難しいというのが実情で、私は要求に合わせて最大限努力した結果19mという大型機となってしまったのではないか。
「おっしゃる通り、大幅な小型化を達成してもらいたいわけです」
「具体的な全長はいくつほどになる?」
「Mig-29以下。最大で17m少々です」
「F/A-18と同じ規模を目指さなければならないわけか。別に機体を小さくするだけなら可能だとは思う。しかし君の様子から考えるに、19mの頃と同じような攻撃性能のままでという注文がつきそうだ」
「ええそうです。小型化しても航続距離等を維持してもらい、最高速度や加速性能もそのままを維持してもらう必要性がある。マルチロール性もそのままに高い運動性能や機動性も維持して、最高速度もマッハ2.2以上に到達可能である必要性がある」
「F-16より重武装にできる必要性がありそうだ」
「そうです。特に重要なのが低空での性能でして、低空でも失速しにくい胴体構造で、それでいて加速力に優れた機体としてもらいたい」
どう考えも無茶苦茶な注文だ。
それをできる技術を渡すという事なのか。
今の私の中にある知識から逆算すると、条件の達成のために足りないのはエンジン。
エンジンの大幅な小型化無しにそれは達成できない。
エンジンさえどうにかなれば他はどうとでもなりそうな気配がある。
……気配だけで具体的なビジョンは浮かんでこないが。
しかしまたとんでもない要求をしてくるものだ。
「……わからないな。君のいる時代はどういう戦場の状況になっているのかが。現状では小型化を了承しても空返事になってしまいそうだ。妥協した戦闘機となってしまう気がする」
「将来の戦場で鍵を握るのは、より高性能な対空兵器と軍事衛星とドローンです。この3つが連携してきます。特に上を取ってくるのは軍事衛星とドローンで、上空7000mからカメラ映像で高精度に有人戦闘機を捉えてロックオンし、高い性能を持つ対空ミサイル等で攻撃してきます。空対空ミサイルは赤外線等も含めて複合的に誘導して飛んできますが、これらは上空であればあるほど攻撃対象の出す排気ガスと大気との熱量の差が大きくなり、大気が薄いことでミサイルの機動性が向上する事から命中率が上がることはご存じのはず。有人機はね、高空という領域を奪われてしまったんですよ」
「なんだって……」
確かに彼が言う通り、ミサイルは一般的にロケットモーターであるため外気は薄ければ薄いほど速度が増す。
とはいえ、機動のためには原則可動翼を使うので使用可能な高度について上限が無いわけでもない……まあそうは言っても戦闘機が飛行する2万m未満の世界では十分に動き回れるのは確かだ。
「何しろ上空7000mから地上にいる人間をロックオンして誘導爆弾で直接攻撃できる時代です。レーダー反射をどうにかしたところで優れた光学センサーの前では意味もない。今後のステルス戦闘機は電子戦に対応して妨害電波を出すようにするという話ですが、AI技術のブレークスルーが相次いだ現状、ドローンは自らの判断で正確無比な攻撃を繰り出すことが出来てしまうので、遠隔操作のための信号を阻害したところでどこまで効果があるやら……」
AI関連の技術も発達しているというのか。
冗談抜きにSFの世界に両足突っ込んだ環境となっていると言わんばかりだ。
残念ながらそれらの姿を拝むことはできなさそうだが、見たいような見たくないような、大変複雑な気分だ。
私が現在量産のために精力を注いでいる疾風は、今の時代において「SF世界の戦闘機だ!」――なんて陸軍内からも叫ばれる事があるが、今まさに彼らが疾風を見て感じた時と同じ気持ちになっているに違いない。
「皇国製のドローンなんて妨害電波を発信する敵機を特定して攻撃するような仕組みを構築しています。戦術次第ではAIを駆使して上空にいる存在を無差別攻撃してしまって問題ないんですよ。だって、ドローンの周囲に電子戦を行う友軍機を配置しないか、電波妨害を行わなければいいんだから。冷静に考えたらアクティブソナーと一緒ですからね。潜水艦はむやみやたらにアクティブソナーを使わないのに戦闘機ではどうするんですかという話です」
「低空で飛ぶ理由は地上の対空兵器やレーダー対策のためということなのかな」
「それだけでなく、地上が被害を受けると進軍に影響を及ぼすかもしれないのでむやみやたらに地上に向けて攻撃できないという事情もあります。地上をありとあらゆる意味で盾にして戦う必要性があるわけです。そうなると大型機は無駄が多い。低空であればあるほど大気は濃いわけですから、抗力は大型機の方がより増大する事になる。エンジン性能だけではカバーしきれない問題だ」
そういう事か。
ボンヤリとではあるが未来の戦場の姿が見えてきた。
「実際に今起きてる戦闘地帯ではSU-27が役に立たない戦闘機になり果てました。再評価されているのはF-16とMig-29。両者共に低空での性能が高く、ことF-16は途上国でも導入できる機体であったことから現時点での最強戦闘機ではないのかなんて巷で囁かれています。最新の機体なんてコンフォーマルフューエルタンクが標準装備です。小型機の割に航続距離が長いことがF-16の魅力でしたが、それでも足りないからと……見てくださいこれを」
彼が手の平で示すと、そこに画面が投影される。
夢の世界だからこそ可能なことだと思いたいが、まさかこれも約90年後に出来る事だとは思いたくない。
――などと、妙なことに不安を抱きつつも投影された静止画に目を向けると、そこにはブレンデッドウィングボディとは何だったのかと言いたくなるばかりの異形の姿となったF-16の姿があった。
……これは確か、私がやり直す数年前に開発されたBlock 50/52アドバンスドの時に同時に試作開発したものの、当時は空中給油装置があるから不要と判断されて装着は可能としつつもNUP空軍では正式採用されずに終わった奴じゃないのか?
他国に導入する際に採用して評判が良くて、その後の機体では正式採用されたんだろうか。
「Mig-29もいろいろと改修されて航続距離は伸びています。この両機が現代戦では活躍している。F-16なんて近東の戦争ではさほど活躍できなくて値段相応なんて言われたはずなのに随分と躍進したものです。逆に言えば、機体規模が小さいながらも改修されて性能を底上げした結果時代が追い付いたわけです」
「だからこそ必要になるわけか。35式主力戦闘機とやらの小型化が。どちらも同年代の戦闘機だ」
「私の師は常日頃、35式主力戦闘機は相応に完成度が高いゆえに切り捨てることが出来ず、逆にそれが足を引っ張りいまや大きな欠点となっていると述べておりました。決して失敗作ではなかったんです。ただ、長期に運用するにあたって大きな足枷となっている」
そうなってくるとユーグの戦闘機は正しかった事になるのだろうな。
NUPを筆頭にやれ大型化だ高性能化だって叫ばれていたのに、機体規模を大きくすることに躊躇して踏みとどまっていた。
ラファールなども再評価されているかもしれない。
F-35の評価も変っているかもしれないな。
むしろその状況を見越してF-35は全長16m以内なんて条件があったりしたのだろうか。
「しかしだね、君が……いや、未来の皇国が望む戦闘機とするには小型で超高出力なエンジンが必要になる。それをあと30年程度でどうにかしろというのか」
「そのための秘策がここにあります。こちらをご覧ください」
青年はそう述べると、先程と同様、青年は手の平に映像を投影して何かを見せようとするのだった――
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