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召喚士の世界へようこそ!  作者: 光晴さん
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第9話 癒しを召喚




『これが、この森にある石像の1つよ』


戦乙女のエルルーンを護衛役に俺とリリは、石像を探して森の奥へ進んでいた。

冒険者ギルドで受けたゴブリン討伐の依頼は、十匹倒せば終わりだったのですでに終わらせている。


この場所で石像を見つけるまで、ゴブリンの集団に何度襲われてもエルルーンがすべて討伐してしまうのだからありがたい。


勿論俺のレベル上げのためにたまに、ゴブリンの止めを刺していたが……。



「この石像は何を表しているのかな?」

『う~ん、私には魔物に見えるわね』

『私も同じです、魔物の「角ウサギ」のようですよ?』


「角ウサギというと、草原で見かけたあのウサギ?」

『はい、そのウサギです』


見た目は地球にもいたウサギだが、額に角のようなものが生えている。

町で契約した『飛行ウサギ』は耳の部分が翼のような形をしていたが、こいつは違うようだ。


「……まあ、契約してみればわかるか」


俺は石像に手をついて契約する。



『角ウサギの石像と契約しました。スキル「魔力上昇」を習得しました』



「ん? これはスキルなのか?」

『どうしたの?何かおかしなスキルでも習得したの?』

「いや『魔力上昇』というスキルを習得したんだけど、これスキルでいいのか?」


俺の疑問を聞いて、リリとエルルーンは笑顔になった。


『マスター、魔力上昇とは良いスキルを獲得されました』

「そうなの?エル」

『そうね、召喚士にはいいスキルと言えるわね。

それよりも、あなたは獲得スキルについて少し誤解があるわね』


「誤解?」

『ええ、いい? 獲得スキルは石像と契約した時に獲得できるスキルのことだけど、その中には魔法が使えるようになったり料理がうまくなったりする技術スキルだけではないのよ。


獲得スキルの中には、今回の魔力上昇や生命力上昇、不老不死なんかもあるのよ』


「不老不死って、スキル扱いなのか?」

『そうよ、状態スキルっていう立派なスキルなの。

運を上げたり力が強くなったりと他にもいろいろあるらしいわね』


なるほど、技術スキルと状態スキルか……。


「となると、今回覚えた魔力上昇はかなり良いスキルだということか」

『はい、マスターは召喚士です。

召喚魔法はかなりの魔力を失いますから、魔力上昇はありがたい物なのですよ』


なるほどね、魔力を上げるにはレベル上げしかないと思っていたけどスキルでも上がるんだな……。


『そうだ、今なら魔力も上がっているしもう一体召喚できない?』

「う~ん、戦乙女のエルを召喚した時半分以上の魔力を使っていて驚いたからな……」


『……申し訳ない』

「エルの所為じゃないだろ? リリの時だって半分以上もっていかれたんだよ」

『そうだったの?』


「そうだったの」


俺は自分のステータスを確かめると、レベル上げと魔力上昇スキルのおかげで召喚魔法を使っても余裕ができるほどの数値になっていた。


「召喚魔法使えそうだけど、何を呼ぶんだ?」

『勿論、飛行ウサギよ』

「飛行ウサギね……役に立つのかな?」


『それを確かめるために呼ぶのよ。

魔物も召喚すればあなたの言うことを聞くと思うけど油断はしないでね』

「わ、分かった」


今のうちに魔物も呼んでどうなるかを実験しておこうというわけか。

確かに、今なら戦乙女のエルもいるし大丈夫だろう……。


「では、呼ぶよ?」

『うん』

『はい』



【飛行ウサギ召喚】



召喚魔法を唱え飛行ウサギを呼ぶと、リリやエルの時と同じように光の玉が俺の目の前に集まりだす。

そして、いくつもの光の玉が集まり形を作りだしていく。


リリやエルの時と同じなら、大きさはそう大きくない。

そう俺の予想と同じように光の玉は、ネコぐらいの大きさで集まるとウサギの形に変化し飛行ウサギの特徴である耳を形作るとポンっという音とともにその場に現れた。


『キュー』


飛行ウサギは俺を見ると鳴いた。

俺が飛行ウサギを抱きかかえようとしゃがむ前に、リリが飛びついた!


『キャー、可愛いっ!』

『キューキュー』

『キャーキャー』


……飛行ウサギに抱き着く妖精。

リリ、君の悲鳴が鳴き声に聞こえてしまうぞ?


ふと、俺の隣にいるエルを見ると両手の指を動かしながら抱きしめようかどうしようか悩んでいるようだ。

可愛いもの好きはわかったから、飛行ウサギの実験はどうしたんだ?


俺は飛行ウサギに抱き着いているリリを引き離し、飛行ウサギを俺が抱き上げる。

飛行ウサギは、助かったというようにため息を吐くと俺を見つめる。


『キュー、キュキュー』

「……何か言いたそうだな?」

『名前がほしいのよ、私たちと同じように名前を付けてあげたら?』


「そうなの?」

『キュゥー』

飛行ウサギはそうだと頷き、俺を期待の目で見てくる。


「どんな名前がって、この飛行ウサギは雄なのか雌なのか分からないんだが……」

『この子は雌よ。

石像契約で呼び出されたものは、召喚士の性別で変わるのよ。


男の召喚士なら雌が、女の召喚士なら雄がね。

でも、契約するときに雄か雌かを選択して契約すると男の召喚士でも雄を召喚できるのよ』


「へぇ~、そんなルールがあるのか……」

『それよりも、名前ですよマスター』


エルはずっと飛行ウサギを抱きしめたそうに見ていて、名前が決まったら抱きしめさせてもらうのだろうな……。


「う~ん、カグヤってどうかな?

俺のいたところじゃ、月にウサギがいて月の姫をカグヤって呼んでたんだ。

飛行ウサギ、どうかな?」

『キューー』


飛行ウサギは俺の顔に抱き着いてきた。

どうやら気に入ってくれたみたいだ。


『マ、マスター、カグヤを抱きしめていいだろうか?』

「……はい、優しくな?」

『かだじけない……』


エルは優しく、カグヤを抱きしめとろけるような顔をしている。

リリは少しすねたような感じで、エルの肩にとまりカグヤを見ていた。

リリも抱きしめたいのだろう。



カグヤは戦力というより癒しだな……。








第9話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

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