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召喚士の世界へようこそ!  作者: 光晴さん
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第8話 戦乙女




今俺は、ローレンドの町を西に出たところにある草原に来ている。

ここは、薬草採取で新人冒険者たちがよく訪れているそうだ。


採取する薬草『ポレレン草』が、群生する場所はないが所々に生えている。

これは、ポレレン草の群生地が近くに見えている森の中にあり風などによって種が運ばれてこの草原にも生えているのだろう。



雑貨屋で乾さんと別れた後、冒険者として必要なものを購入しアイテムボックスにしまってから冒険者ギルドで依頼を受けた。


俺が受けた依頼は『ゴブリンの討伐』だ。

薬草採取もいいかと思ったのだが、鑑定スキルをもたない俺ではどれが薬草でどれが雑草か見分けはつかないだろう。


そこで討伐依頼を受けて、森の中にある石像との契約を目指してみようということになったのだ。


「さて、ゴブリンの討伐だけど使える召喚といったら『戦乙女』しかないな」

『「飛行ウサギ」はどうなの?』

「『飛行ウサギ』は魔物だろ? ……どんな戦い方をするのかな?」


『「戦乙女」を呼んでから「飛行ウサギ」も呼んでみたらどう?』

「そうだな、分からないなら確かめてみることも必要だよな」



俺は自分のステータスの魔力を確認して、まず『戦乙女』を召喚する。


【戦乙女召喚】


召喚呪文を唱えると、リリの時と同じように俺の目の前に光の玉がすごい勢いで集まりだし人の形を成していく。

どうやら、召喚した戦乙女は俺と同じくらいの身長のようだな


そして、人の形ができると、今度は鎧、兜、盾、剣と形ができ人の形の光と合体していく。


「おお~……」


そんな感動の声を俺が上げると、一瞬光ったと思ったら目の前に1人の女性が現れた。


羽をモチーフとした盾と兜を装備し、上半身を覆う金属の鎧。

スカートをはきその下はズボンになっているようだ。

腰には俺の持っているショートソードより少し長い片手剣を帯剣している。


顔は北欧の外国人女性のようで、俺からすればかなりの美人だ。

髪は金髪で肩まであるロングタイプでまとめてなく、風でフワフワとなびいている。


あと、スカイブルーの綺麗な目をしている。


リリは戦乙女の彼女が現れた時から、戦乙女の周りを飛びまわって観察している。



『うんうん、いいじゃない! この戦乙女は強そうね!』

「……そうだな、それにきれいだ」

『惚れちゃったの? ……まあ確かに胸も大きいしね~』


リリは戦乙女の肩にとまり、肩から戦乙女の胸を見下ろす。

あの位置から見ても、俺から見ても大きいことは認めるけど……。


そんな話をリリとしていると、戦乙女が俺を見て跪いた。


『マスターの召喚に答え、ここに戦乙女参上しました!』



俺とリリは、唖然としてしまった。

どうやらこの戦乙女は、かなりの堅物かもしれない。




▽    ▽




『ハアァッ!』


戦乙女こと『エルルーン』は、構えていた剣を上から振り下ろしゴブリンを一撃で倒してしまう。

このエルルーン、本当に強い!


今も五匹のゴブリンに囲まれていたのに、エルルーンが五匹とも倒してしまった。


「エルルーンはすごいね、この数のゴブリン相手に遅れをとらないなんて」

『ほんと、戦乙女って強いわ』


エルルーンは少しほほを赤くして、何らやブツブツと言っている。


「何? 何か言った?」

『エ、エルルーンと呼ばずに短くエルと……』


どうやら、フルネームで呼ばれるのが恥ずかしいようだ。

エルルーンの名前は俺が付けたんだが、確か北欧神話のヴァルキュリアの名前だったと思う。

昔ヴァルキリーかヴァルキュリアか忘れたがそんなゲームがあって、調べた記憶がある。


そんな中からつけた名前だ。

エルルーンはその名前を気に入ってくれたようだが、短い方が親しみやすいのかな?


「エル、ゴブリンの死体から魔石を取り出せれるかい?」


俺が『エル』と呼んだことに笑顔を見せて喜ぶと…。


『お任せください』


と、鼻歌を歌いながらゴブリンにナイフを突き立てていた。



『結構ちょろい戦乙女ね』

「リリ、そんなこと言ってないで周りの警戒をお願い」

『はいはい』


今、俺たちは森の中を進んでいる。

リリの案内では、もう少し進んだところに石像があるそうだ。

その石像と契約したら、今度は南に向かって進むことになる。


リリと連動している赤い本によると、この森の中に石像は二つ。

この森は比較的でてくる魔物は弱いのだが、数が多いようで森にある石像と契約するのも一苦労だ。



『マスター、魔石の回収終わりました』


エルが五つの魔石を両手に持って、俺に近づいてくる。

……可愛らしい両手がゴブリンの血でベットリだ。


「エル、水を出してあげるから魔石と一緒に手も洗いなさい」

『はい、ありがとうございます』

『ほんと、美人には甘いわね~』


羨ましがっているリリはほっといて、俺はアイテムボックスから二つの桶を取り出し、使えるようになった水魔法を発動させて桶の中に水を並々と出してやる。


すぐにエルは、魔石を桶の中の水につけジャブジャブと血を洗い流した。


『マスター、魔石をどうぞ』

「ああ、ありがとうエル」


エルから受け取った魔石を布袋の中に入れると、アイテムボックスの中へしまう。

ゴブリンの魔石は、価値としては最低ランクだが討伐証明に必要らしく魔石のみ集めている。

また、ゴブリンからは魔石以外素材にはならず、討伐後は速やかに始末するように冒険者ギルドでは推奨されていた。



もう一つの桶で手を洗ったエルに、俺は手を拭くタオルを渡す。


「はいエル、これで手を拭きない」

『あ、ありがとうございますマスター』


顔を真っ赤にしたエルが、俺からタオルを受け取り手を拭きだす。


『わっ、誑しがいるわ!』


リリの視線を無視して、俺たちはゴブリンの死体を始末した後、森を再び進む。









第8話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

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