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召喚士の世界へようこそ!  作者: 光晴さん
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第6話 残りの契約




次に向かった先は職人街だ。

このローレンドの町は、実は辺境にありながら王都に次ぐほど大きい。


そのため、町の中もいくつかのエリアに分かれている。

その一つの鍛冶屋や魔道具屋などが利用する職人街だ。

日本でいうところの、町工場といったところか。


「リリ、ここにこの町の二つ目の石像があるのか?」

『そうよ……ほら、そこの角を曲がったところにあるはず……』


俺はリリの指示した角を曲がると、路地の端に石像があった。


「この石像は、たき火かな?」

『見た目、たき火ね……』

「ねえリリ、場所だけでなくどんな石像があるのか分からないの?」


『私の知識は、マスターの持っている「赤い本」に連動しているのよ。

だから、赤い本以上の知識はないわよ』

「そうなんだ……」


サポート妖精の弱点が分かったところで、石像と契約をすることに。



『たき火の石像と契約しました。スキル「火魔法(生活)」を習得しました』



『どう? 良さそうなスキルは習得できた?』

「う~ん、よくわからないが火魔法(生活)というスキルを習得したよ」

『あら、生活魔法の一つを習得したみたいね』


「生活魔法? 火魔法じゃないのか?」

『魔法名の後に生活とついたら、それは生活するうえでの便利な魔法ということになるのよ』

「それで生活魔法ね。

もしかして、他にも生活魔法があるのか?」


『ええ、生活魔法は町で暮らすにしても旅の野営でも役立つから覚えておいて損はないわ』




▽    ▽




次に訪れた場所は、職人街にほど近い東門の近くだ。

ここには町の治安を守るために日夜忙しそうにしている衛兵の詰所がある。

石像はその詰所の入り口の隣に立っていた。


そこにはもちろん衛兵の人も見張りとして立っているわけで……。


「すみません、そこの石像と契約させてもらっていいですか?」


「ん? おう、召喚士か? 構わんぞ」


そう言って衛兵さんは場所を開けてくれた。


「ありがとうございます」

『ありがとね、衛兵さん』

「サポート妖精にお礼を言われるとは、うれしいね~」


嬉しそうにしている衛兵さんを横に、石像を見る。

ここの石像は、今までのとちょっと違うみたいだ。


「リリ、これって魔物かな?」

『う~ん、そうね魔物かしらね……』

「いや、それは魔物だ」


衛兵さんが魔物だと断言してくれる。


「こいつは『飛行ウサギ』っていってな、空に浮かぶ浮遊島ってところにしか生息していない魔物なんだよ」

「浮遊島?」


「ああ、世の中には空に浮かんでいる島があるそうだ。

その島のことを『浮遊島』と呼んでる」


流石異世界! 島が空を飛ぶとは、ぶっ飛んでいるな~。

いや、飛んでいるんじゃなくて浮かんでいるのか……。

どっちにしろ、地球じゃありえないことが目撃できそうだ。


「空に浮かんでいるなんて、どうやって行くんだろう?」

『私のように飛ぶのよ! そんな魔法もあるわよ』

「だな、飛んでいくしかないよな……」



『飛行ウサギの石像と契約しました』



「あれ?」

『どうしたのよ、何か変なスキルでも習得したの?』

「いや、スキルを習得できなかった……」


おかしいな、石像と契約してもスキルを習得できないなんて……。


『じゃあその石像は、スキルを持っていない石像だったのね』

「スキルを持っていない?」

「サポート妖精よ、そんな石像があるのかい?」


『ええ、石像の中には契約してもスキル習得ができない石像も存在してるわ。

そういうのは魔物の石像に多いらしいわね』


なるほど、だから飛行ウサギという魔物の石像はスキル習得ができなかったのか。


「へぇ~、石像でもいろんな石像があるんだな……」

「そうみたいですね……」

『いい勉強になったでしょ? さ、次に行くわよ~』




▽    ▽




「リリ、本当にここにあるのか?」

『ええ、赤い本によればここに必ずあるわよ』


衛兵の詰所を後にして、俺たちが次に向かった場所は町の北側にある食料貯蔵庫。

朝市などがおこなわれる市場近くにある、地下に造られた食料貯蔵庫だ。


それも今は使われていないが立ち入り禁止にもなっていない場所だ。


「立ち入り禁止になっていないということは、石像があるからか」

『そうよ、マスターのような召喚士のためにそうしてあるのでしょうね』


俺たちはどんどん奥へと進んでいく。

中は少し古い感じだが、手入れは行き届いていて崩れ落ちる感じはない。



そして二十メートルほど進んだ先に石像はあった。


「これが地下の石像か……」

『……小さいわね』

「う~ん、これは何の女の子なんだろうか?」


その姿は女の子を表していた。

年は十歳ぐらいの女の子だが、なんの種族かが分からない。

姿も着ている服も普通のものだ。


『契約してみればわかるわよ』


というわけで、契約してみる。



『水の精霊の石像と契約しました。スキル「水魔法(初級)」を習得しました』



「……水の精霊だった」

『うそっ、この石像が水の精霊なの?』


リリが石像の周りを飛びまわりながらじっくりと観察する。


『全然わからないわ……』

「こんなに薄暗いから、分からなかったのかもね」

『う~ん……』


まだ納得いかないようだな、リリは。

でも俺はこれで、本当の意味での魔法が使えるようになった!









第6話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

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