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召喚士の世界へようこそ!  作者: 光晴さん
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第2話 天使の説明




この場にいる全員、何から聞いていいのか迷っているうちに中年のサラリーマンの一人が手を上げる。


『では、手を上げた安西様、どうぞ』


「あ、ああ、何故私の名前を知っているのかは分からないが、質問いいかな?」


『はい、どうぞ?』


「そもそも、なぜ私たちはここに来ることになったんだ?

そして、異世界とかいうところに行くことになっているのか分からないんだが……」


天使ユーリニアは笑顔で頷く。


『ごもっともな質問です。

まず、皆様はここに来る前、どこにいらっしゃったか覚えていますよね?

ここにいる大半の方は地下鉄の車内にいらっしゃった方です。


そして、それ以外の方が召喚時、その地下鉄の近くにいた方となります。

右端にいる神崎様は、自宅で就寝中ではありませんでしたか?

安西様は、通勤のため地下鉄をご利用ではありませんでしたか?


つまりここにこられた方々は、召喚空間の中に納まっていた方たちなのです。


さて、何故ここに来たのか、何故皆様が選ばれたのかというご質問ですが、残念ながら私は答えを知らされておりません。


皆様を選ばれたのは、地球の神の一柱が選ばれました。

ですので、私はその選考条件を知らないのでお答えできないのです。


次に、何故異世界へ行くことになったのかですが、これも私は知らされておりません。


地球の神とサマルナの神との間で、何かしらの取引が行われたのではないかと愚考するくらいしか私にはできないのです。


安西様、これで答えになったでしょうか?』


……つまり、天使ユーリニアは何も知らないということか。

これには、質問した安西さんというサラリーマンも驚いている。


「あ、ああ、あなたが何も知らないということが分かったよ……」


『申し訳ございません。他にご質問のある方はおられますか?』


天使ユーリニアは淡々と、手を上げて質問してくる皆に答えている。


「私を日本に帰すことはできないの?」

『申し訳ございませんが、召喚は一方通行ですのでサマルナで送還されない限り帰ることはできないと思います』


「向こうの世界で何をすればいいんだ?」

『それは皆様がお決めになることです。どこに行き、誰を助け、どんなことをするか。

すべてはご自由にと、申し付かっています』


「召喚者同士で組んでもいいのか?」

『それは構いません。

赤い本の中にもパーティーに関することについてご説明されていると思います』


「ハーレムは作れるの?」

『サマルナの世界では一夫多妻制が認められております。

もちろん多夫一婦制もございますればお好きにハーレムを作ればよろしいかと』


「私のような年寄りに何かできることがあるのか?」

『サマルナの地に召喚された時、あまりにお年を召された方は若返るようになります。

確か、上限が三十歳ですので、皆様の年齢も三十歳まで若返るかと』



他にもいろいろな質問が飛び交っていたが、天使ユーリニアは淡々と答えていた。


『それでは、今手を上げられた神崎様のご質問で最後といたしましょう。

それに皆様のご質問の大半はお手元の赤い本に載っていることですので。

では、神崎様、ご質問を』


「ああ、俺の質問は、あそこにある石像について教えてほしいんだが……」


俺はこの空間の隅に置いてあった三つの石像を指さして質問する。

すると、一斉に全員の視線が三つの石像に移った。


「何あの石像……」

「あんなところに、あんなものがあったか?」

「確か天使が消えるまではなかったはずだ……」


「それに、変な石像だな……」

「あの台座の上の石で表してるものは何だ?」

「……もしかして、あれも契約対象なのか?」



皆が口々に何か言っているところに、パチパチパチと拍手を天使ユーリニアがしている。

その行動を疑問に見ている者がいる中で、天使ユーリニアは笑顔だ。


『神崎様、よく発見なさいました。

あの石像は、皆様の誰かが発見されなければお蔵入りするところでした』


「お蔵入り? ということは誰も気が付かなければこのまま召喚されると?」


『はい、あの石像は理不尽な召喚の犠牲者である皆様に対するサマルナの神の一柱からのお詫びの契約石像でございます』


お詫び? ということはこの召喚に反対した者がいるということか……。

う~ん、神様ってたくさんいるのか?



『では、ご説明しますね。

まずは一番右側の石像は「料理」を表しております。

あの石像と契約すれば、一人前の料理を召喚できる他、料理の腕前が上がります。


召喚できる料理の中には飲み物も入っておりますから便利ですよ。


次の真ん中の石像は「妖精」を表しております。

あの石像と契約すれば、皆様の旅のお供に妖精がついてくれます。

一人で旅をされたりする場合は、寂しくありませんよ。


最後の左側の石像は「宝箱」を表しております。

あの石像と契約すれば、アイテムボックスというスキルを身につけられます。

かさばる荷物を入れられて便利ですよ。


それに、アイテムボックス内は時間も停止していますから料理を入れても腐ることはありません。


以上の三つの石像と契約してもらい、サマルナの世界へ旅立ってもらいます』


へぇ~、なかなか便利なものがあるな……。

特に料理と宝箱の石像とは契約しておきたい。

俺、料理苦手なんだよね……。


「便利じゃねぇか?」

「妖精たん……」

「時間停止のアイテムボックスとは、ますますゲームのようだな……」


皆それぞれ考え込んでいるけど、概ね了承しているようだ。


『それでは、石像に手を当て「契約」をしてください。

三つの石像と契約が終了しますと、自動的にサマルナの世界へ召喚されます。

全員一緒の場所に召喚されますので、皆様そろって町へ移動されるのも良かろうと思います』


天使ユーリニアに促され、一番近くにいた人から契約していった。

そして、三つの石像と契約すると、皆の目の前で姿が消えた。


「消えた……」

「召喚されたんだ……」

「つ、次は俺が行く!」


「……もうすぐ、異世界デビュー」

「………フヒッ」


俺の目の前で、どんどん契約をして消えていく。

ご老人たちも、中年のサラリーマンも高校生もどんどん契約して消えていく。


もうすぐ俺の番だ……。








第2話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。


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