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召喚士の世界へようこそ!  作者: 光晴さん
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第1話 五十人の日本人




『召喚士の世界へようこそ! 日本人の皆さん!』



神崎耕太、四十歳。ただいま大混乱中です!


俺は今まで確かに、自宅で寝ていたはずだ。

それが、気が付けばこの真っ白な体育館みたいなところにいる。

しかも、俺の周りにもいろんな年齢の人たちが俺と同じように驚いていた。


「どうなっているんだ?」

「ここはどこだ?」

「あの前にいる女は何だ?」


「何の世界だって?」

「異世界召喚、キターー!」

「俺の無双が始まる!」


「ハーレム、絶対目指す!」


所々おかしな発言が聞こえるが、気のせいだろう。

俺と同じく混乱しているようだが、それを見ていると何故か少し冷静になれた。


冷静になってよく見れば、ここには五十人ぐらいの人がいる。


同じ制服同士で高校生たちと思われる人たちが、六つぐらいのグループを作って固まっているし、他にも背広を着たサラリーマンの人たちや看護師、いや医者の先生かな?

さらに、頭の白いご老人たちも五人ほどいるようだ。


俺がキョロキョロと周りを見ているように、他にも周りを見渡している人が何人かいた。

うん、情報収集は大事だよね!




十分ほどすると、この場にいるほとんどの人が落ち着いたようで、一番前で俺たちに向かって挨拶をした女の人が再び挨拶をする。


『皆様初めまして、皆様を召喚士の世界に案内する天使のユーリニアです』


どんなキーワードに疑問を持ったのか、再び騒ぎ始める人たち。


「ふざけるな、元の世界に帰せ!」

「明日も、学校があるのよ?!」

「天使って、頭おかしいのか?」


「召喚士の世界ってなんだよそれ!」

「魔王を倒せばいいのか?!」

「俺、勇者だよな?!」


「やべぇ、こんなことなら金になりそうな知識、覚えとけばよかったぜ!」


やっぱり所々おかしな発言が聞こえるが、気のせいにしよう。


でも、みんなを観察していて分かったことがある。

ユーリニアの発言を聞いて騒いでいる人って、ほとんどが高校生や若い背広を着た人たちだけみたいなんだよね。


俺と同じように、周りを観察している人やご老人たちは騒いでいない。

また、年配のサラリーマンの人たちやお医者さんは冷静に話を聞いている。

……何かを考えているのかな?




今度も十分ほどで、みんな静かになった。


『よろしいですか? では、皆様にはこちらの本をお配りいたします。

この本には、これから転送される世界のことや戦い方、能力の習得のしかたなど事細かに書いてありますので、熟読されることを推奨いたします』


天使のユーリニアが言い終わると、俺たちの前に赤い表紙の本が出現した。

それも、ここにいる全員の目の前に。


「こんな分厚い本が読めるか!」

「いいから、元の世界に帰してよ!」

「説明不足にもほどがあるぞ!」


「そんなことより、チート能力はもらえないのか?!」

「僕が主役じゃないのか?!」

「ユーリニア様のスリーサイズを教えて!」


「こんな本より、あなた自身が手とり足取り教えてくれ!」


う~ん、天使のユーリニアはあちこちから聞こえる発言をサクッと無視しているな……。

それと、どうしてもおかしな発言がどこかしこから聞こえるな……。




今度は一分ほどで、みんな静かになった。

どうやら、騒いでも無駄だってことに気づいたようだ……。


『では今から一時間ほど、私は別の用があるので姿を消しますが再び皆様の前に姿を現したおり質問を受け付けましょう。

では、皆様失礼いたします……』


天使ユーリニアはそういうと、姿を消した。

辺りには静寂が支配したのもつかの間、すぐに騒ぎ出した人たちが。


「ふざけんじゃねぇぞ、この腐れ天使が!」

「私は異世界なんか行かないって言ってるのよ!」

「もっと真剣になれやぁ!」


「……クソッ、本を読むしかねぇのかよ!」

「ハーレム………フヒッ」

「………」


「チッ、まずは情報収集か……」


すごいな、段々と騒いでいたやつらの声が聞こえなくなっていった。

天使ユーリニアが姿を消して一分ほどで、本をめくる音しか聞こえなくなったぞ……。


おっと、俺も周りの観察はこれぐらいにしておいて本を読んでおかないとな。


俺はその場に座り込む。

ほう、硬い地面かと思ったけどどうやら絨毯みたいな柔らかい地面だな……。



赤い本を開くと、本当にいろいろと書かれている。

まず、これから召喚される世界の名前は『サマルナ』という。

地球とほぼ同じ大きさの世界だ。


また、世界各地には魔物が存在しておりこの世界に住む者たちの命を脅かしていると同時に、生活の糧にもなっている。


それと、この世界には各地に石像が存在している。

町に祀られていたり、森の中や海の中、山の頂上など世界各地に存在している。

さらにダンジョンの中や月世界にまであるとか。


それから、世界地図が出てきてどこに石像があり、どこに町がありと表示されていた。

ただ、石像は場所だけでどんな石像かは載ってなかった。



……確かに詳しく書かれているんだろうけど、膨大すぎて頭に入らないなこれ。

だから俺は、ある程度知っておくべき情報をピックアップして覚えることにした。


地図の次は、この世界での魔法の覚え方だ。


この世界はあの天使が言ってたとおり『召喚士の世界』だ。

世界各地にある石像に触れて契約を結ぶと石像となっているものを呼びだせる。

それは騎士だったり、魔法使いだったり精霊や天使、悪魔ということもある。


中には女神を形づくった石像も存在するそうだ。


だが、ここで問題が生じる。


それは、契約したものによって使えるようになる魔法が違ってくるということ。

例えば風の精霊を形づくった石像と契約した場合、風魔法が使えるようになる。

また、天使だと治癒魔法が使えるようになるとか。


ただし、この世界の石像は世界各地に散らばっており、狙っている石像がどこにあるかは分からないとなっている。


これから俺たちは『サマルナ』の世界に行くことになる。

だが、その場所で最初に出会う石像が何か分からない、さらに魔物まで出現し襲ってくるとなれば俺たちの命にかかわる。


これはユーリニアに質問してみるかな…………ん?

ふと顔を上げた視線の先に、石像を発見した。


その石像は三つあり、左から『皿にのった料理』の石像。

真ん中が『妖精の女の子?』の石像。

そして、最後が『宝箱』の石像だった。


その三つの石像がどういう意味を表しているのか考えていると、声が聞こえた。



『皆様、お待たせして申し訳ございません!

ちょうど一時間が経ちました、お手元の赤い本は熟読していただきましたか?』


そう笑顔で聞く天使ユーリニアに対して、力強く文句を言うものはいなかった。


「……ああ、読ませてもらったよ」

「なんて世界に送り込もうとしているんだ……」

「私たちを何だと思っているのよ……」


「一時間じゃあ、半分も読めなかったぞ?」

「まるでゲームの世界みたいだな……」

「ハーレム、ハーレム……」


やっぱりおかしなことを言ってるやつが何名かいるようだな……。


『では、皆様の質問にできる限りお答えいたします。

何かお聞きになりたいことはございますか?』








第1話を読んでくれてありがとう。

押入れの荷物を整理していたら出てきた、昔考えた物語です。

眠らせておくには勿体ないので書いてみました。

どこまで書けるか分かりませんが、よろしくお付き合いください。


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