青春の始まり
「第一期生の310名入学おめでとう!これから君たちは人生の大きな一歩を踏み出す。ここでの三年間は君たちの青春のページに永遠に刻まれることだろう!!」
そんな校長の挨拶が、そして学校初の行事、入学式が始まった。
鹿目博也は今年できた私立高校に無事入学し、これからの三年間に思いを馳せつつ一段飛ばしで階段を上がり二階の自動扉を開けロビーに入るとそこには生徒やその親でごった返していた。
あたりを見回してみるがやはり知り合いらしい人は見えない。
友達を作るのは中学校入学以来でとっても緊張する、大丈夫だろうか。
そもそもどうやって友達作るんだっけ?
そんなことを考えていると教師と思われる人から一枚の紙を貰った。
「君も、入学生だろ?ここに自分の名前と教室が書いてあるはずだ。教室への行き方は裏に地図が書いてあるからそれでたどっていくといい。」
ハスキー掛かった声の女性に俺はお礼をいって教室へ向かった。
「しっかし広いなぁこの学校」
教室の前でそんな言葉が漏れてしまう。
「ほんと、迷子になったらどうしてくれるのよ」
なんと、この学校は東,中央,西塔とよばれる校舎があり6階立て
さらにはエレベーター完備。食堂とプールに体育館が別館で存在する。
豪華すぎる内容だ。
「だよなぁ....ん?いや、待ってくれ...」
なんか聞いたことある声なんだが?
「どうしたの?また同じ学校ね」
幻聴か幻覚か?
耳を叩いても目をこすってもそこには少し着崩した制服に赤のカーディガン姿の朝霧雫が居た。
ここは都会に出来た新しい学校、しかも校長は世界的に有名な事業家と言うだけあって試験の倍率は8.2倍という馬鹿げた数字を叩き出した。
いや、何かの間違えだ。
そうか。
そうだ。
落ち着いて整理してみたらこれしかないじゃないか。
「雫、不法侵入は良くないぞ」
幼馴染なのだ、それを教えて見逃してあげてもいいだろう。
「あんたって頭いいのに、たまに馬鹿なこというわね」
こいつにだけは馬鹿と言われたくない。
「あのな、この学校は制服ないし、どうやって入学したんだよ?」
「そうなの!制服は何個か新しいの繕って貰ったのよ。どう、似合ってるでしょ?」
なんてことを言ってクルっと回って見せて来た。金髪のツインテールからいつものシャンプーの香りが少し落ち着く。
「似合ってるな」
「そ、そう...」
照れくさそうにするのも最早いつものことである。
3歩歩くと忘れる習性でもあるのかと思いつつもう一度どうやって入学したのかを聞いてみると
「これよ、これで入ったの」
と指を輪っかにしながら言ってきた。
これってなんだ?
年頃の娘が指で輪をつくり、これ呼ばわり?
こんなのひとつしかない。
ここの校長に体を売ったということだろう。
「ちょっと、校長殴ってくる」
流石に尊敬している人とは言えそれは何だか許せない。
「まってよ!!なんでそうなるの!?お金よ!お金!」
なるほど、そう言う事か。早く言ってくれ。ちょっと恥ずかしいじゃないかー(棒)。
私立だしお金で入学できる訳だな。
卒業できるかはわからないけど....
「そ、そんなに一緒の学校なの嫌だった...?」
不安そうな表情で聞いてくる。
しかしそんなことはない。
「知り合いが一人も見当たらなかったんだ。だから居てくれて嬉しいよ。」
というと雫は満足げな表情のまま先に教室へと入って行った。
ホームルールでは担任の先生の自己紹介があった。
ロビーで話しかけてくれた先生が担任で、北村春雅という名前らしい。
更に今日は初の行事として入学式が執り行われるそうで、そこで校長が重要な話をするらしい。
そして今は、埃一つ感じさせない廊下を尊敬する事業家の話か、それとも退屈な校長の話どちらになるのか期待しながらに別館となる体育館へと足を運んでいた。
全ての生徒が呆気に取られていた。
初めて体育館を見たがとても広いしどうやら空調もあるようだ。
皆が唖然としている中、指定された席へと向かう。
少し時間が経ち、全校生徒の着席を確認したところで式が始まろうとする。
教師も。
生徒も。
誰もが静まり返り。
綺麗なスーツ姿の男性が壇上へ上がる。
マイクの準備を確認した。
尊敬する人の話が聞けるのだ、否応無しに期待が高まる。
空気が引き締まったようなそんな感覚すら覚える。
そんな彼が言い放った。
「第一期生の310名入学おめでとう!これから君たちは人生の大きな一歩を踏み出す。ここでの三年間は君たちの青春のページに永遠に刻まれることだろう!!」
そんなことを断言した男への期待は心の中で大きな興奮へと変わった!
読んでくれてありがとうございます。
初めての執筆でとても緊張したのですが、少しは面白くなりそうな予感はしてくれたでしょうか?
次回は校長のとんでも発言やらで大騒動となる予定です(ここにワクワク要素を入れていく)。
暇だったら感想をください。更新速度は1~2週間に1話程度だとおもいます。