〜ハートレスラブ無しコメディ〜 【女医 四之腹佐乃 哀の病院日誌】
【女医 四之腹佐乃 哀の病院日誌】 #9 佐乃ちゃん、いじめ問題にもの申す
【佐乃ちゃん、いじめ問題にもの申す】
佐乃の診察室で男のコが泣きながら治療を受けていた。
足の裏に消毒液つけながら佐乃はため息ついた。
「今時、クツに画びょうかあ。古典的だな」
「ようちえんで、いじめられるの。あいつらみんなクソたれのクズやろうだよ。みなごろしにしてやりたい」
「そんなこと言うんじゃありません。早く忘れなさい」
おかあさんはたしなめながらも男の子の涙と自分の涙をふいた。
「あたしも昔、覚えがあるゾ。ホント、あいつらクソッタレだ」
佐乃はなぜか自分のことのように腹立ち紛れに言い放った。
「あるデカが犯人でっち上げたくて、あたしら無理やり拘束するわ、何時間も尋問され見えないところ殴るわ、仲間パクって揺さぶってくるわ、いろいろやってきたよ」
佐乃は爽やかな笑顔で足組み直して、
「まあ、最後は冤罪が証明されたんで、口外ししないでくれって泣きつかれたもんだけどね。たまにそいつに頼みごとしにいくけど、割と助かってるよ♡」
「せんせー、よくわかんないけどそれやりたい。どおやるの?」
「先生は早く昔のことは忘れてください! ていうか、子供にそんな話しないで」
初めて子ちびっこにまともな「診察した!」と、ひとり満足な佐乃であった。