雫の返還
レオナルシスが北の塔を出て、首都アマドールまでテレポートができる地点まで移動すると、そこには旧い要塞があった。
堅牢な要塞の入口には、黒いマントを纏った一人の女性が佇んでいたが、レオナルシスの姿を見ると、その場にひざまづいた。
ー皇帝陛下、お待ちしておりました
レオナルシスは相手の意図を確認すると、騎乗していた馬から降りて近づいた。
「初めてお目にかかりかかります、ルシアより参りましたミラ フローラと申します」
ルシアという言葉に、ラルムとの関係を感じ取ったレオナルシスは伏した顔を上げるように促す。
「ここに、アマドーラの雫を持参いたしました」
ミラはそう告げると、おもむろに光る銀色の巾着をレオナルシスに差し出した。
「光が、ラルム様の居場所を示しております」
渡された袋からからアマドーラの雫の光が洩れているのが見て取れた。
これがあれば確実にラルムの居場所へテレポートができる。
「フローラ、礼を申す」
硬い表情だったレオナルシスに、微かな安堵が浮かんだ。
「雫の光が失われていないということは、ラルム様はご無事です。どうかお気をつけて」
レオナルシスは銀色の袋からアマドーラの雫を取り出した。ラルムに出会ったあの日、確かに自分をあの場所に引き寄せた石に間違いはない。
アマドーラの雫は、持ち主の異変に感応するのだ。
その光が示す方向は首都アマドールではなく、第2の都市ドルカを示していた。




