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ストーカーでGO!

 歳三はどうやら西本巌寺の外へ出るようだ。


 特に外出の予定など聞いてなかった斑鳩は、とりあえず後をつけてみることにした。


 浅黄色の羽織は着ていないので、新撰組としての仕事ではないのだろう。


 ではプライベートということになるのだが、それはそれで気になる。


「………………」


 歳三は響都城へと向かっているようだ。


 また容保公からの呼び出しなのだろうか。


 だがそれにしては格好が緩いというか、城に行く服装ではないような気もする。


 それとも、容保公と歳三はすでにそういう仲で、服装における気遣いなど必要ないということなのだろうか……


「……うわあ。嫌なこと考えてるなあ、俺」


 自分の単純思考が嫌になる。


 それでも可能性としてはありえないことではない、と捨てきれないのがまた嫌になる。


 容保公はまだ若いらしいし、歳三も黙っていればかなりの美人だ。


 そういう対象にされてもおかしくはない。


「うう~……違うと思う。違うよな……?」


 不安は拭いきれず、とりあえず見つからないように気を付けながら尾行を続ける。


 歳三はまっすぐに響都城へと入っていく。


「………………」


 門番が歳三の顔を見るとどこか憐れむような表情になった。


 仕事で登城した相手への反応というよりは、何か痛々しいものを見るような表情になっている。


「…………どういう事だ?」


 斑鳩には訳が分からない。


 一体この城の中でこれから何が起こるというのだろう?


「………………」


 斑鳩は響都城の外周をぐるりと一眺めしてから、よし、と頷いた。


「ストるか」


 ストるか=ストーカーしちゃうぜ! 的な意味。


 要は覗き見である。


 隠密訓練も受けてきた斑鳩はこういう場所への忍び込み方も叩き込まれている。


 任務中は精神操作を受けていたので意識的に経験したことはないが、それでもやり方だけは分かっている。


 どの位置から忍び込めばいいのかも、中に入ったときどういう経路を使えば中の人間に見つからずにすむのかも、ある程度分かっている。


 歳三が向かう先は恐らく天守閣だろう。


 城の構造、中の予測、逃走経路、そのすべてをシュミレートしてから斑鳩は動いた。


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