表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

大空とラピスラズリ

作者: トリア
掲載日:2026/01/22

冬の童話祭2026に応募致しました作品です。

むかしむかし、あるところに、世界で一番「青色」を愛した王様がいました。

王様は、空の青を自分のものにしたいと思いましたが、空は高すぎて手が届きません。

海の青を自分のものにしたいと思いましたが、水は指の間からこぼれてしまいます。

「形があって、けっして色あせない、永遠の青が欲しい」

そう願う王様の前に、一人の旅人が現れ、小さな深い青色の石を差し出しました。

それが、ラピスラズリでした。


王様はその石を見て、息を呑みました。

それはただの石ではありませんでした。深い深い夜の色のなかに、本物の星のようにキラキラ輝く「金のつぶ」が散らばっていたからです。

「これだ! 私は大空のひとかけらを手に入れたぞ」

王様は喜んで、その石を宝石箱に入れ、カギをかけて大事にしまいました。

けれど、不思議なことが起こりました。箱に閉じ込めてからというもの、あんなに美しかった石が、なんだかただの「暗い石」に見えるようになったのです。


王様は悲しくなり、お城の庭にいた賢い羊飼いの少年に石を見せました。

「どうしてこの石は、輝かなくなってしまったのだろう?」

少年は石を手のひらに乗せ、太陽の光にかざして言いました。

「王様、この石が【空の石】だからですよ。」

少年は続けます。

「この青は、遠い昔に空が宇宙に恋をして、その想いが固まってできたものです。そして金の粒は、暗闇のなかでも『光を忘れない』という星々との約束のしるしです。

広く空の見えるの当たる場所に置いてあげないと、石は自分がどこにいるか分からなくなって、光るのをやめてしまうのです」


王様はハッとしました。

自分だけのものにしようと閉じ込めた時、その石から「宇宙」が消えてしまったことに気づいたのです。

王様は石を箱から出し、窓辺に置きました。

すると、ラピスラズリは窓の外の青空と、庭の木々の緑と、そして王様の瞳の輝きを吸い込んで、再びまばゆい宇宙をその身に宿しました。

「形あるものを手に入れることだけが、持つということではないのだな」

王様はそれから、石を飾るのをやめました。

代わりに、誰かが悲しんでいる時や、道に迷っている時に、その石をそっと見せてあげることにしました。

「見てごらん。君の心の中にも、これと同じくらい深い青と、消えない光があるんだよ」

そう伝えるたびに、ラピスラズリはどんな宝石よりも美しく輝いたといいます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ