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双蛇ノ縁ーソウダノエニシー  作者: 環林檎


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第9話ーフラグ立てるかたてまいかー

夕食後、縁はテントのセットを準備した。今日からヤオとユエにも、夜の見張り役を任せるつもりだった。

「ヤオ、ユエ、今ちょっといいか?」

清めの炎を行使していた2人に声をかける。

「今日から2人にも夜の見張りを任せたい。もちろん、ヤオとユエは2人一緒に行ってもらう。ヤオ、今気配探知の距離はだいたいどのくらいだ?」

「確実なのは半径4キロだ。それ以上は不確定すぎる。」

「ユエは?」

「私は半径3.2キロかな。それ以上は、こんがらがっちゃう。」

2人の話を聞いて縁は考え込んだ。

ー飲み込みが早い。もうキロ単位で探知が可能だとは。それに2人ともしっかり距離を伸ばす方、正確さをだす方と方向性がしっかりしている。大した逸材だ。ー

2人は若干不安そうにしている。

「2人とも、この2日間でそれだけ出来れば、文句のつけようがない。よく頑張ってくれた!すごいよ。2人の順番は最後にするから、先に寝てくれるか?」

縁は優しく微笑んで言った。

SSS(スリーエス)に褒められちゃったよ!」

ユエがはしゃぐ。

「こら、ユエ、それは言わない約束だったろ!師匠が困ってしまう。」

ヤオがたしなめた。

「ははは、さすが私の弟子だよ。2人とも、朝方だからコーヒー飲みたいだろ?コーヒーメーカーの使い方簡単だから教えとくよ。」

縁は軽くつまめる夜食を出し、狗神達用にブルーブルの肉を出し、2人にコーヒーメーカーの使い方を簡単にレクチャーした。

「私達も空間魔術の適正あるかなぁ?」

ユエがぼんやりとした月を眺めて言う。

「そうだな、あると思うぞ。何しろ陰陽の化身。私の見た目では四大元素並びに陰陽道木火土金水の素質を持っている。だが、それぞれ、陽の側、陰の側だろうがな。」

「師匠、陽の側と陰の側とはなんですか?光と闇の魔術はどうなりますか?」

とヤオ。

「この世のほとんどのものは陰陽どちらかに偏っている。男は陽に女は陰に。2人はそれが顕著だということだ。なにごとにも二面性があるからな。2人とも光と闇の魔術も使える。理由や詳しい話はまたこれからしてやろう。」

またややこしい理論がでてきた、という顔をしている2人。

「気にするな。空間魔術においては陰陽から外れている特異な魔術だ。だが今は2人の陰陽の力が、私の空間において循環している。産土神での儀式を終えたら教えてやるよ。使えたら便利この上ない魔術だからな!」

努めて明るく2人を励ます縁。

「そうですね。楽しみです。では我らは前の見張り役の方が起こしに来てくださるということで構いませんか?」

ヤオが目をこすっている。魔力の消費量が多かったからだろう。

「ああ。ウスハが起こしに来てくれるから、ヤオはくれぐれも無理しないようにな。」

「師匠!大丈夫です!やばかったら私が締め上げてやりますから!」

ユエが豊かな胸をぽんと叩いた。

「ほどほどにな、ユエ。では2人ともおやすみ。」

縁は焚き火の横にリクライニングチェア2組を出し、星空を眺め始めた。

縁達のパーティーは使役獣の多さから見張り役も独り1時間程(ヤオとユエだけ2時間)と、随分と楽になっている。縁は1日をふりかえっていた。

ーヤオとユエに冒険者ランクをバラしたら大変なことになると思ったが、意外とそうでもなかったな。単純に驚いただけだ。これは2人が世間をあまり知らないのもあるかもしれないが、基本的に善人だからだよな〜。ありがたい。私の朝廷での地位はある意味全くわかってないようだったし、これもありがたい。妙に畏まられたりしたら面倒この上ないからな〜。ー

縁はチャイ・ティーを作りながら独りごちた。

ーさて、私の想像だが、2人を封印した悠淵の里がこの封印解放で黙っているはずがない。タイミング的に明日あたりには接触するだろうな。この時の待遇が問題なんだよな〜。2人の力を手に負えないと感じて封印した悠淵の連中が、封印を破壊して出てきたこの2人を生かすか殺すか…どちらにせよ私に従ってもらわなくてはならない。戦いになるやもしれんな…。ー

縁はチャイ・ティーを啜りながら考え込む。

「主様、何を考え込んでおられるのです?」

胸元から稲ちゃんが顔を出す。

「いや、明日あたりにはどうせ泡くった悠淵の連中と、鉢合わせするだろうと思ってな。それが憂鬱なんだよ。」

「主様、こういう時こそSSS(スリーエス)の称号を使うべきかと。相手は広い縄張りをもつ氏族。権威には権威で戦うのが通り。それに帝からの手紙も頂戴しておりますし、我らには何も問題はございません。」

「稲ちゃん、私の嫌な予感が外れた試しがあるか??」

「……んーと、はい!ございませんね!」

稲ちゃんは耳をかいた。

「だよねー!ー!2人には言わなかったけど、絶対一悶着あるパターンだよ。心してかからないと…。」

縁はフカフカのリクライニングチェアに頭を置いた。


「ユエ様、ユエ様。起きてくださいまし。」

5時前、ウスハはユエを起こしに来た。

「ウスハ様おはようございます。すみません。ヤオは起きませんでしたでしょう?」

髪を書きながら急いで身支度を整えるユエ。

「ええ、その、頭が痛いご様子で。主様から氷嚢を預かっておりますので、こちらを顔に載せるとスッキリするかもしれません。」

「ありがとうございます。ヤオにはそうさせますので、ウスハ様もお休み下さい。」

ユエは氷嚢を持って、ヤオのテントに行く。

「おい、ヤオ。見張りだ。起きろ!!!」

「う、うむ。あと10秒だけ…ひゃっ!!!」

ヤオの顔面に氷嚢を置く。

「あと20秒待つから準備しろ。」

あくまでもユエの声は冷徹だ。

「がんばる。」

ヤオは頭痛と戦う覚悟を決めた。

2人はコーヒーメーカーでコーヒーを入れ、牛乳を入れてカフェオレにする。朝日が少しずつ登っている。

「今日も何事もなければ良いが。」

ヤオがコーヒーを啜りながら言った。

「やだ、やめてよ。そういうのフラグって言うんだよ。絶対なんかおこるやつじゃん。」

ヤオは完璧にフラグをたててしまった。縁の嫌な予感も的中しそうだ。だが晴れ晴れとした一日は、今日も始まろうとしていた。



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