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双蛇ノ縁ーソウダノエニシー  作者: 環林檎


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第62話ー本屋街にてー

ストックが無くなったのでこれからは毎日更新とはいかなさそうです。3日ぐらいで更新しようかと思っています。よろしくお願いします。

ー鍛冶屋にて

「おーい!できたぞ!綺麗に研ぎ直しておいた。」

建志(ヂェンチー)がユエに渡した。元々黒光りしていた暗器が、更に黒々している。

「おお〜すごく綺麗。素人の手入れじゃこうはならない。」

ユエはほくほくとしている。ヤオは、

「俺の手甲も期待して良さそうだな。」

と楽しそうに言った。奥の方から建志が箱を持ってやってきた。

「お前さんにはこれだ。」

とヤオに渡す。ヤオはそーっと箱を開ける。そこには赤茶色の手甲が入っていた。

「これは?」

ヤオは興味津々で聞く。

「古龍、しかも火山地帯の地竜の革を使った逸品だ。さすがにエンシェントとはいかないが、なかなかお目にかかれないぞ。しかも革の間にミスリルの板を仕込んでいる。魔法伝導がいい。」

建志は説明する。

「これは今使っているものよりもだいぶ格が上ですね。ただ俺のお小遣いから買えそうもないが…。」

ヤオが上目遣いで縁を見る。

「いいよ!買ってやる!火属性と土属性の耐久性を備えた古龍は中々ない。お宝だ。」

縁は太っ腹に言った。ヤオは、

「やったー!ありがとうございます!師匠!!」

ヤオは箱を抱えて大喜びした。

「俺もちゃんとした人に渡せてよかった。少し手につけてみろ。少し調整してやるから。」

建志は言った。ヤオは早速手にはめてみる。まるで初めから使っていたように、手に吸い付く。

「おお!ピッタリじゃないか。まるで誂えたみたいだな。」

建志は目を見張る。ヤオも、

「本当に手に吸い付くみたいだ。」

とにぎにぎしている。それを見てヤンガが、

「僕も何かあった時に、ナイフが欲しいんですよね。どれがいいのか見て貰えませんか?」

と建志に言った。

「はいよ。兄ちゃんは魔法使いってところか。何かあった時に投擲や、咄嗟にふるえるナイフがあった方がいいな。この辺りの少し刃渡りの長いものを選んだらいい。」

ヤンガは整然と並べれたナイフを眺める。

「このナイフ…ミスリルが入ってます?」

ヤンガは1番奥にあった白っぽく光るナイフを見る。

「おお、目が高いな!そうだ。純ミスリルではないが、ミスリルを混ぜてある。」

ヤンガは、

「これも、僕のお小遣いじゃ買えませんねぇ…。」

と上目遣いで縁を見る。

「弟子の装備には出費を惜しまん!出す出す!」

と縁は財布を取り出した。

「おやっさん、ナイフのホルスター1式も頼むわ。それで会計して!」

と縁は豪快な金の使いっぷりを見せたのだった。


次に向かうのは図書街である。武器屋街ほど特色はないが、新旧たくさんの本が並べられている。ヤンガは、

「わぁぁ!!宝の山だぁ!」

と大はしゃぎである。

「魔導書店、魔導書店と…。」

上につられた店名を見ながら、ヤンガは歩いていく。すると、

「バスッ!!」

とヤンガが人にぶつかる。

「すみません!大丈夫でしまか?」

ヤンガが咄嗟に謝る。

「あぁん?どこ見て歩いてんだこのガキ!この俺をAランク冒険者と知ってのことか?あぁ?」

と男が怒鳴る。

「えーと、だから、すいません。」

ヤンガが頭にはてなマークをのせて素直に謝る。

「おめぇ!舐めてんのか!ぶっ殺す!」

男は拳を振り抜こうとする。それをヤオがサッと受け止めた。それをそのまま地面へ受け流す。

「バコッ!!」

と地面がえぐれる。

「謝ってるのに、耳聞こえないの??」

そこにヤンガを押しのけてユエが出てくる。

「お前ら、俺がAランクパーティー黒龍のアギトの、アギト様ってことを知らねぇんだな。」

男が腕をボキボキ言わせながら言った。それを聞いてなんだなんだと野次馬が集まってくる。

「ユエ、ヤンガ、そんなパーティー知ってるか?」

とヤオ。

「知らないわね。」

と手を振るユエ。

「さすがにまだ2日なんで知らないかなぁ」

とヤンガ。

「おまえらなぁ!!!二度と歩けなくしてやる!!」

縁は、

ーあーあーあー、典型的に絡まれてる。試しにどう収めるか見てみるか。ー

と、この先が思いやられる気持ちで1歩引いたところから見ていた。

「殺されるのはまずいわね。」

とユエ。

「「同じく。」」

と男2人。

アギトと名乗った男は拳に魔力を纏わせて仁王立ちしている。

「ヤオ任せるわね〜新しい武具試せてよかったじゃない!」

とユエが言う。ヤンガは、

「え?僕は何もしなくていいの?」

と素っ頓狂な声をあげる。

「戦闘バカにやらせときゃいいのよ。」

とユエ。

「ユエ、俺を戦闘バカ扱いしないでくれ。」

とヤオ。


「ぐちゃぐちゃ言ってんじゃねえーーー!!!!」

アギトが突っ込んでくる。拳は魔力が漏れ出して、赤く光っている。さすがAランクと言うだけあって、スピードも抜群であった。

しかしヤオは軽く腰を落とし、その拳を下から殴り上げる。

「ボキッ!!!!」

骨を折る盛大な音が聞こえる。

「あぎゃっ!!!!」

アギトから間抜けな声が聞こえた。


縁といえば、

ーオーノー!やりやがった!骨折っちゃったよ。やばいかも…ー

と頭を抱えた。


ヤンガは、

「さすがに骨を折っちゃだめだよ!オール・ヒール!!」

咄嗟に骨折を直した。アギトは強烈な痛みが急に消えたことに驚く。

「はっ?!!!」

しゃがんだ自分を見下ろす弟子3人組。

弟子3人組に悪気は無いが、アギトにとって、まさに蛇に睨まれた蛙状態。だがアギトには大きすぎるプライドがあった。

「おい!そこのお前!明日冒険者ギルドで決闘だ!時間は午後1時。来なかったら腰抜けだ!みんな!ここにいるみんなが聞いてるよなぁ!」

と叫んだ。指で刺されたヤオはびっくりである。

「はぁ?!」

縁は、

ーアギトとか言ったか…クソバカ。まじで面倒なことになったじゃないか!どうすんだよこれ…。ー

とため息を着いた。縁は、

「おい、お前、私の弟子に何してる。」

と、とうとう介入せざるを得なかった。

「あぁ?なんだお前。こいつらより年下のガキじゃねえか。」

アギトは何気なく言う。

「あ?私はこいつらより歳上だ。お姉さんだ。おめぇ見る目ねぇのか?」

とたんに縁の沸点が下がる。縁に対して、年下、小娘、ガキ発言は禁句である。まさにアギトは虎の尾を踏んだのである。彼は不幸であった。

「Sランク冒険者滝野縁が、弟子ヤオへの挑戦を認めよう。アギトとやら、明日の午後1時だな。逃げるなよ。」

とゴゴゴゴと覇気を出しながら縁は言った。

「え、Sランク?この小娘が…?」

アギトは呟く。そうすると野次馬から、

「そういえば瑠璃鎮にSランク冒険者が来てるって。」「小柄な娘だそうだ。」「赤い簪をしている…。」

と声が聞こえる。目の前には全ての情報が噛み合った女が、鋭い目を向けている。

「ちっ!!この俺が逃げるわけねぇ!道を開けろっ!!」

アギトは乱暴に野次馬をかき分け、ほうほうの体で立ち去って行った。野次馬達も徐々に立ち去りながら、「明日の昼はギルドだな」「間違いない」「あいついつも威張ってるから、ボコられてるとこ見たいんだよな」などと声が聞こえてくる。


「おい!お前たち!やりすぎたぞ!特にヤオ!」

縁は立ち去っていく野次馬を尻目に、注意する。

「すみません…。」

ヤオが頭を下げる。

「絡まれただけで腕を折るのはちょっといただけない。ギルドは基本不干渉だが、絡まれた時に上手くやり過ごす術を身につけろ。」

縁はヤオの頭をなでた。

「ヤンガはことの発端だが、ナイスカバーだ。よかった。」

ヤンガの頭もなでた。

「ユエは面白半分に焚き付けたな〜。確信犯め!」

とユエはデコピンした。

「えー?!なんで私だけデコピン?!」

とユエは涙目で言う。

「はいはい、ヨシヨシ。」

と縁はユエの頭を撫でる。

ヤオは、

「明日予定ができてよかった。」

と楽観的に言う。

「本当に厄介事を持ち込むなぁ。明日はどうせ賭事にも発展してるぞ。私は賭けないけど。」

縁はげんなりしながら言った。

「けどなんか師匠怒ってましたよね?めっちゃ喧嘩腰でしたし。」

ヤンガが話を掘り返す。

「ヤンガ、その話はもういーの。とにかく魔導書店探しましょ!」

ユエがそれとなく話をそらす。

「あぁそうだった。魔導書店♪魔導書店♪」

ヤンガがウキウキで先に進む。

ーお願いだからもう絡まれないでね……。ー

ヤオ、ユエ、縁の思うことは一緒であった。



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