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双蛇ノ縁ーソウダノエニシー  作者: 環林檎


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第57話ー災難のあとの晩ごはんー

冒険者ギルドの階段をおりていくと、自然と注目が集まる。縁は、

「はぁ〜。」

と頭に手をやる。

「どうします、師匠?何をどうしようと厄介事が起きますよ?」

ヤオが縁に耳打ちする。する縁はスゥーッと吐息を吸い、

「我が名は滝野縁、倭国日本から来たSランク冒険者だ!用のあるものは今言ってくれ。後々用のあるものはギルドを通して欲しい。何か用があるものはあるか?!」

と叫んだ。一斉にギルドはざわめき出す。

「Sランクだと…?!」

「あんな小柄な娘が?!」

「あれ20歳超えてるか?!」

様々な声が上がる。その間に縁たちは人混みを素早くすり抜けてギルドから出た。


「こ、これで良かったのですか?」

ヤンガが軽く息をついて言った。

「あの場から脱出するにはこれしかなかったろ〜。あー散々だった。新人受付嬢に当たるだなんて、ついてない。」

縁はため息を着いて言った。白曜と黒曜が従魔の施設から出てくる。

「なかなか面白いことになっておいででしたね。」

黒曜が縁をからかう。

「たまったもんじゃないよ。晩御飯を景気よく食べないと死んじゃう〜。」

縁は黒曜をモフモフした。

「あ、白曜と黒曜は私の影に隠遁な。宿でお前たちほどの従魔がゆっくり出来るところは無さそうだから。」

「「かしこまりました。」」

「この辺でももう良い匂いするよね。いこいこ!」

ユエが全員を手招きする。

「瑠璃の小箱亭の場所を聞き忘れたが、良い店なら、食事処でもわかるだろ。」

縁が楽観的に言う。


「ポポロケ(インコに似たモンスターで脂が美味しいと定評がある)の串焼き!入ってるよ〜脂と弾力があって美味いよ〜。」

「ガスプー(穴を掘る習性のあるイノシシの仲間)の角煮!とろっとろだよー! 饅頭(マントウ)に挟むとサイコーだよ!」

屋台の威勢のいい声が聞こえてくる。

「お、ガスプーの角煮か!ちょっと腹ごなしに買ってこよう!」

縁は空腹に我慢がならない様子で、屋台に走っていく。

「おばさん!ガスプーを饅頭に挟んで4つくれ。」

縁は人数分頼む。

「はいよっ!銅貨8枚だよ!」

縁は銅貨を渡すと早速ひとくち食べる。そして、

「はい8枚ね!ん〜やわらけぇ甘辛いたれが最高だ〜。なあなぁご店主、ここらで飯が上手いところどこかないか?」

と聞いた。そうすると、しばらく考えた店主が、

「この近くだと、瑠璃の小箱亭に併設されているとこが美味いよ!値段は少々するがね。」

と答えた。縁は、

「お、私たちそこに泊まることになってるんだ。場所教えてくれるかい?」

と聞く。店主は、

「こっちの通り沿いにあるよ!ステンドグラスが綺麗な看板さ。」

と教えてくれる。縁はまた銅貨2枚を差し出すと、

「情報ありがとな!もうひとつくれ!」

縁はガスプーの饅頭をもうひとつ頼むのだった。

弟子たちといえば、甘辛く煮たガスプーに舌鼓をうっていた。


縁達は瑠璃の小箱亭に向かう。確かに洒落た、瑠璃色のスタンドグラスの看板が出ている。宿屋に併設された酒場兼食事処も活気に満ちていた。

「お前たち部屋はそれぞれ一人部屋でいいよな?ここは私が払うから。」

と縁は3人に聞く。

「やったー!お小遣い減らないのは助かる!」

ユエは自分のお財布を掴んで言った。

「まぁ定期的にモンスターとかの討伐して、資金が入ってきたら考えるけどな。今はとにかく龍穴を鎮めるために、琉球へ行かなくてはな。」


縁はカウンターの方まで行った。

「誰かいるか?泊まりたいんだが?」

「はーい!ただいま!…お待たせしました。何人のお泊まりですか?」

受付に恰幅のいい女が出てくる。

「女が2人、男が2人です。一人部屋4つお願いしたいのですが。」

縁は指で示しながら言う。

「あぁよかった、ちょうど4つ部屋が空いてますよ!何泊されますか?」

縁は、

「ギリギリ間に合ったか…、とりあえず2週間でおねがいします。」

と言った。

「かしこまりました。1泊朝食付きで銀貨4枚です。……なので、、白金貨3枚と金貨3枚銀貨6枚になります。ちなみに私は女将の、娜娜(ナーナー)と言います。お客様は冒険者ですか?でしたら提示もお願いします。」

縁は懐から冒険者カードをだし、

「娜娜さん、よろしくお願いします。冒険者カードはこちらです。」

と言いながら提示した。娜娜は、

「Sランク?!初めて見ました。若いお嬢さんなのに、随分と高いんですねぇ。瑠璃鎮にはSランクはいませんよ!」

と言った。

「そうなのか。知らなかったな。後ろは弟子だ。まだ冒険者登録はしてない、色々あってな。証明金がいるか?」

縁は笑顔を浮かべながら言う。

「要りませんよ〜。Sランク冒険者のお弟子さんから証明金とっちまったら、界隈でバカにされちまいますよ!見る目がないのかってね!晩御飯はどうされます?うちの飯所は自信ありますよ〜。」

娜娜は自信たっぷりに言う。

「そうなんだよ!上手いと聞いてな!すごく楽しみにしてたんだ。席空いてるかい?」

実は縁は晩御飯のことで頭がいっぱいである。

「空いてるよ!窓際の机にどうぞ。」

娜娜は席に案内してくれる。


席には様々な料理が書かれたメニューが置かれている。他にも壁にメニューが貼られている。

「あたしは〜坦々麺麺大盛りとご飯とエビマヨかな!」

ユエはメニューをパラパラっと見るとサクッと決めた。

「僕は青椒肉絲とご飯大盛りと卵スープで!」

ヤンガもさっさと決めてしまう。

うんうんと唸っているのはヤオと縁である。

「角煮はさっき食べたし…魚って気分じゃないし…。」

「そうなんだよ〜。やっぱ鶏か?迷うなぁ〜。」

2人は完全に食事の迷路に迷い込んでいる。先に迷路を脱したのは縁だった。

「よし、油淋鶏とご飯大盛りと卵スープだ!」

ヤオは最後になって地味に焦る。

「うーん。決まった。酢豚とご飯大盛りに麻辣スープ。これで決まりだ!」

全員の料理が決まったので、縁は店員を呼ぶ!

「…以上の料理、全部大盛りでお願いします!」

という一言と共に。


食卓には大皿で料理が並ぶ。

「こんなに食べ切れるかなぁ!」

とヤンガ。

目をきらきらさせた若者3人組が、箸を持つ。

「「「「いただきまーす!」」」」

全員でぱくつく。

担々麺のホワジャオの香り高い痺れ、よく絡むちぢれ麺。

「麺専門店じゃないのにすっごく美味しい!」

ユエがズルズル啜りながら言う。

「青椒肉絲も美味しいですよ〜。肉も手抜きしてなくて、タケノコとの相性も抜群だ!ご飯が進む〜」

ヤンガが白米に青椒肉絲をのせながら言う。

「油淋鶏もめっちゃ美味いぞ!なんのモンスター使ってるの知らんが、肉汁とネギだれがすっごい絡んでたまらん。」

縁も油淋鶏をザクザク食べながら言う。

「酢豚も柔らかくて美味しいですよ!麻辣スープも辛くて美味しいです!」

ヤオも色々な具材が入った赤いスープをすすって言った。


4人が腹いっぱいになったころ、女将の娜娜がゴマ団子とお茶を持ってきてくれる。

「やっぱり、あんたらみたいな若い冒険者は食べっぷりがいいねぇ!気持ちがいいよ!これ、サービスだよ。」

「女将さん!ありがとうございます!ちょうど甘いもの食べたくなってたの!」

ユエが手を合わせて言った。

甘いものを食べながら、縁達は打ち合わせをする。

「明日は昼頃冒険者ギルドに言って、ギルドマスターに、進展はあったか聞く。後、砕骨流砂のお金を貰う。あとは、お前たちには日帰りでできる簡単なクエストを受けてもらう。薬草取りとかな。その間に私は兵士の詰め所に亡くなった7人を渡してくる。午後は暁東さんの所へ行ったりする。」

と縁は述べた。

「なるほど。明日は俺たち3人で行動することがあるって事だな。楽しみだ。」

「冒険者登録は少しかかりそうね。」

「日帰りクエストでいくら貰えるかが、初心者冒険者の指標ですね…。」

三者三様に意見を述べる。

「私の弟子と知って、引き抜きをかけてくるやつもいるかもしれない。そういう奴はくれぐれも気をつけるように。」

縁は注意をした。

「「「わかりました。」」」

3人は律儀に返事した。

「じゃあそろそろ今日は解散だ。街歩きをしてもよし、ぐっすり寝てもよし!好きにしたらいいよ!くれぐれも、裏通りとかスラムには行かないようにな〜。」

縁は席を立つと手をヒラヒラとさせながら、宿の会計に向かう。そして縁は2階に消えていった。


「じゃあ私たち3人でちょっと街歩きしない?」

ユエが提案する。

「なんだ?藪から棒に!」

ヤオが歯茎に詰まったゴマを爪楊枝で必死にのけながら言った。

「甘いものでも食べたいの?」

ヤンガが首を傾げる。

「詳しいことは考えなくていいの。ちょっと出歩くだけ!疲れてるし〜」

と発案者のユエは言う。

「まぁ、たまにはそういうのもいいか。」

男二人は顔をみわせて言った。

弟子3人は少しだけ夜更かしして、親睦を深めるたのだった。



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