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双蛇ノ縁ーソウダノエニシー  作者: 環林檎


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55/62

第55話ー瑠璃鎮(ルリチン)ー

夕方、瑠璃鎮の城門。縁たち一行は、税金を収める荷馬車の列や、冒険者に並ぶ。目つきの悪い男たちが悲壮感に打ちひしがれながら、捕縛されているのが、人目を引いている。

「あれ、オークの牙じゃねえか?酒場で問題起こしてた…。」

「そうだった。あいつら犯罪奴隷みたいになってるけど…なにやりやがったんだ?」

ポツポツと話が広がっていく。

ーこれはまずいな…。下手な騒ぎになる前に、憲兵を呼ぶか。ー

縁は暁東(シャオドン)に声をかける。

「噂になっているようだ。先に城門に行って憲兵を連れてくる。」

「そうですね。こんな所で騒ぎを起こすとまずいですから、よろしくお願いします。」

暁東は言った。縁は颯爽と駆け出して行った。


城門にてー

「すまない。商隊の護衛をしているものだが、犯罪奴隷を連れている。兵を回してくれないか?」

縁はこめかみに傷跡のあるいかつい男に声をかけた。

「わかった。なんだか、ざわついてると思ってたんだ。冒険者カードを見せてくれるか?」

なかなか渋い声である。縁好みだ。

「これだ。他にも弟子と使役獣が守っているが、弟子はまだ冒険者登録していない。」

縁は予備情報を伝えておく。

「え、Sランクだと…?ミスリルのカード、本物に間違いない、初めて見た。俺は楊建平(ヤン・ジェンピン)と言う。城門の守備隊長を務めている。縁殿少し待ってくれ、人を連れてくるので。」

建平は大急ぎで人を呼びに行った。背後ではやり取りを聞いていた商人や、冒険者たちが更にざわめきだす。

「聞いたか?Sランクだってよ。」

「俺見たよ、隙間からよ!確かにSランクって書いてあったわ!」

「Sランク冒険者、是非ともお付き合いしたい…!」

ーだから混む夕方には、門に来たくないんだ。あれやこれやと目をつけられる…。ー

縁は内心ウンザリしているが、平静を装う。

「お待たせしました!この4人で行きます!」

建平が槍を持った3人を連れてやってきた。

「じゃあ着いてきてくれ。」

縁は先頭にたって案内する。


「おーい暁東さん!憲兵を連れてきたぞ。」

縁は手を振って暁東を呼んだ。

「あ、建平さんじゃありませんか!助かった!今回色々ありまして、こいつらが縁様が捕らえてくださった犯罪奴隷になります。」

暁東は最後尾に繋いである5人を見せる。

「こいつら、オークの牙じゃないか?砕骨流砂の護衛として何日か前に出ていったばっかりだぞ?何がどうなってる?」

建平が困った顔で言う。

「こいつら、護衛を裏切って砕骨流砂と手を組んだんです。おたくの兵士も7人死にました。私の叔父も死にましたよ…。」

「な、??!なんだって?!」

建平は唖然とする。

「こういう複雑なわけもあるから、憲兵を呼んだわけだよ。」

縁は腕を組んで言う。

「では縁様達は、オークの牙が暁東さん達を襲っているところを助けたということで?」

建平が言う。

「それがそうでもなくて…。」

暁東が困った顔をする。

「暁東さん達を最初に襲っていたのは、砕骨流砂だ。ただあいつらは指名手配犯で、生き死にを問わずだったのでな。殺させてもらった。」

縁は淡々と言った。

「死体はどこに?」

憲兵のひとりが言った。

「兵士たちは私の空間術式に格納してある。砕骨流砂はこの中だ。」

縁は鞘・血桜から肥前忠広を抜き、また首を7つ並べて見せた。

「つっっ。なるほど。殺したのは暁東もそれは確認しているんだよな?」

「はい、それは見ました。」

「なるほど。今日はもう遅いので、オークの牙は私たちが引き取っていきます。犯罪奴隷として売るのは、縁様?それとも暁東さん?」

建平は汗を拭きつつ聞く。

「暁東さんが売ることになっている。何しろ叔父さんが亡くなっているからな。」

縁は答えた。

「なるほど。分かりました。縁様達は私たちと一緒に行きましょう。色々手続きがありますので…。」

と、建平が言った。

「暁東さん、明日落ち合おう。叔父さんの遺体もまだ私が預かったままだし。どこにする?」

縁は暁東に聞く。

「では商人ギルドに来ていただけますか?多分明日は一日中いますので。」

「わかった。私も冒険者ギルドで色々あるから、明日の午後伺おう。」

縁は暁東に答えた。


「ヤオ!ユエ!ヤンガ!先に門に行くことになったから行くぞ。白曜と黒曜はサイズを落としてオオカミぐらいになってくれ。」

縁は指示を出す。

「「「了解です。」」」

3人と、2頭は縁の元へやってくる。

「おお、随分と仕上がっている…。」

弟子3人を見て、建平が言った。建平は今までたくさんの冒険者見習いや低ランクの冒険者を見てきた。その中でも、ずば抜けてこの3人は強く、覚悟が身に現れていた。

ーすごい…これがSランク冒険者のの使役獣…!ー

他の憲兵達は白曜と黒曜に見とれていた。

縁はそれを見ながら、

ー騒ぎにならないといいがな…。ー

と何となく嫌な予感がしていたのだった。


瑠璃鎮の門までオークの牙を連れて一行は移動する。堀を渡した橋を渡り、門の詰所に来た。オークの牙は詰所の監獄に詰め込まれた。

「冒険者資格をお持ちの縁様は構いませんが、お弟子の御三方は通行税として銀貨3枚を払ってください。使役獣の2匹には使役の首飾りをかけてくださいね。おわかりとは思いますが、街中で使役獣が起こしたことは主人の責任になります。冒険者ギルドはこの中央通りをまっすぐ進んだ脇です。」

3人はそれぞれ財布から銀貨3枚を払う。縁は首飾りを借りて白曜と黒曜の首にかけた。

悠淵の里とは違って人人人。たくさんの人の活気。ヤオ達は圧倒されていた。

「おい、そんなにボケっとするな。田舎者丸出しだぞ。次は冒険者ギルドだ。」

「「「は、はい!」」」

縁は弟子3人を引き連れ冒険者ギルドを目指して進む、更なる騒ぎの元へと、どんどんと。



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