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双蛇ノ縁ーソウダノエニシー  作者: 環林檎


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第44話ー青いワイバーンー

翌朝。縁たちは軽く朝食をとったあと、その河原をたった。街に出るにはあと4日ほどかかる。

デバイスを確認すると、昼過ぎから雨が降る予定である。

「今日は雨が降るからな、ほれ、雨合羽だ。強くなったら程よいところで雨宿りをするぞ。」

縁は3人に渡しながら言った。

「旅に出て初めての雨だな。」

ヤオが言う。

「なんだかんだ天候に恵まれてたのよね〜」

ユエは髪を気にしている。

「雨の時は気配探知大変そうだなぁ。」

ヤンガは思わぬ山場にガッカリしている。

「ヤンガ、お前はまず基本に忠実にすればいい。雨の時に無理することはない。ヤオとユエは雨に惑わされないようによく気をつけて気配探知を行うように。」

縁は3人に注意した。


一行は黙々と進む。空は雲行きが怪しくなり、ポツ、ポツと、生暖かい雨が降り始めた。全員雨合羽を被り、縁は檜笠を被る。

「お前らもいるか?檜笠。」

「「「ほしいです。」」」

3人に檜笠を渡す。

「うーん、スタイリッシュ!」

ユエはご満悦である。


降り続く雨にも、一行の歩みは止まらない。ヤオとユエの気配探知も晴天の時と同じく、用心深く行われている。その時だった。

「モンスターの反応あり!」

「割と高い魔力値、多分空からよ!!!」

ヤオとユエが同時に反応する。縁は声と同時に気配探知を行う。

「ワイバーンだ。1匹。なんだか様子がおかしい。まずは様子を見る。木の影に隠れろ!!!」

縁は指示した。


数分前のこと。ワイバーンは焦っていた。

「ドウスレバ…デ………モ…ナントカシナイト!」

一縷の望みをかけ、強い力の気配のする方向に向かっていった。


「…来た。」

縁は低い声でつぶやく。

上空には普通のワイバーンではなく、青いワイバーンが飛んでいる。

「希少種だ!白曜、行け!」

縁が囁いたその時だった。

「オマチ…クダサイ!ツヨキモノヨ!!オタスケクダサイ!」

空から声が降ってくる。それにヤオが反応した。

「師匠!ワイバーンが喋りましたよ?!!どうします?!」

「白曜、さがれ!私が出る。3人は待機!」

縁は叫んだ。

「私がこの中で最も強き者だ。何用だ!」

「オオ!コノチカラ!ツヨキモノ、ジヒアル、キイタコトアル。タスケテホシイ。ツマ、コ、シニソウ。シュッサン、モウミッカタッタ。」

「お前…父親か。」

「師匠!助けてやりましょう!」

そこに声をかけたのはヤンガである。

「ううむ、よし助けに行くぞ!白曜、黒曜、3人を乗っけろ。ヤンガは私と共に白曜に!」

「オオ!チカラアルモノ!タスケテクレル!ツイテキテ!」

白曜、黒曜は飛翔した。白曜は青いワイバーンの横につけ、縁が話しかけやすいようにする。

「青いの、お前の妻は出産中か?」

「ソウダ!マルミッカ、ワレラタマゴジャナイ。コノママジャ、フタツトモシヌ!!」

「安心しろ!多分どうにかなるだろう!早く巣に案内するんだ!」

雨を滴らせながら、南に進んでいく。


一方で黒曜の方では、

「どうやって飛んでるんです?」

とヤオ。

「この一大事に呑気だねぇ〜。風魔法だよ。」

という黒曜。

「ヤオ、あんた聞いてた?出産よ!シュッサン!ただでさえワイバーンはBランクなのに、それの希少種!意思疎通ができるのよ?なんでそんなのんきなの?!」

だいぶパニクっているユエの顔がずぶ濡れだ。

「だって、俺には出産のことなんて分からない。となれば出たとこ勝負しかないからな。」

とまぁ正論を言うヤオであった。


青いワイバーンは滑るように滑空していく。すると巨木が乱立する場所に出た。

「わ、ワイバーンの巣がいっぱい…!」

ヤンガが呟く。その声には恐怖とも好奇心とも取れる興奮が見られる。

「周りの巣のワイバーンは、ノーマルなワイバーンだ。となるとこの青いのはボスかなにかだろうな。」

縁が冷静に分析する。

青いワイバーンが上昇し、一際大きな木のウロに降り立った。

白曜と黒曜もそれに習う。

「ツヨキモノ、ハヤク!」

青いワイバーンが縁を急かす。

「今行く!」

縁は颯爽と白曜から飛び降りると、走っていく。

「ウウゥウウウゥ!」

奥から苦しそうな大きな声がする。

「ツヨキモノ!ツマ!ミテアゲテ!アオバ!タスケキタ!モウスコシ!ガンバッテ!」

奥にはフカフカの羽毛が敷き詰められた巣がある。その中央で、アオバと呼ばれたメスのワイバーンが大きな声を上げている。

「ハァッハァッ強き者…?」

アオバが縁に話しかける。

「大丈夫か?!安心しろ。助けてやる。ヤオ!ユエ!来い!」

縁は鋭く叫ぶ。

「「はいっ!」」

ヤオとユエは気合いの入った声で返事をする。

「陰陽の気が乱れている。お前たちで整えるんだ。」

ヤオとユエは体液が散ったアオバのお腹に両手を乗せ、徐々に陰陽の力を込め始める。

「アオバと言ったか?」

縁は静かな声で聞く。

「ウウウゥ。はい。我が名はアオバ。この、ウウウ、地域のワイバーンをまとめております…。」

アオバは苦しげな声で答えた。

「陣痛が弱いな。破水してどのくらいたった?」

あくまでも縁は冷静だ。

「2夜…ヴヴヴッ」

ーくそっ、もうそんなに経ってるのか…ー

縁は内心焦ったが、やることは一つだ。

「そうか、これから”気”を入れて陣痛を促進させる。辛いぞ、心構えはいいか?」

縁は腹をさすってやりながら声をかけた。

「この子が助かるのであれば…何でもしてください、グルルルル」

アオバの覚悟は決まっているようだ。

「ヤンガ、アオバが暴れても大丈夫なように魔法で軽く縛ってくれ。特に羽は慎重にな。」

ヤンガは緊張した面持ちで頷いた。

「アオイ、この場の気を清浄に保て。ウスハは私の手伝え。」

「「はい、主よ。」 」

縁は戦闘の時でさえ見せない汗を、額に滲ませていた。

これから長い戦いが始まる。



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