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双蛇ノ縁ーソウダノエニシー  作者: 環林檎


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42/62

第42話ー昼食(メシウマ回)ー

血抜きはそれなりにかかった。寸勁という血の出ない攻撃であり、頸動脈からのみの出血だったからである。

その間縁は考えた。

ーこのままどんどんモンスターに遭遇させて経験を積ませるか、いや、このペースでモンスターに遭遇していては街に着くまでいつまでかかるやら…。よし、ここは白曜と黒曜の隠遁をやめて、Sランク相当の気配をビンビンに出してもらうか…。ー

と方針転換をする。


「白曜、黒曜、きてくれ。」

「「はい、主。」」

ヤンガの影からしゅるりと縁の前に現れる。

「思ったよりモンスターが多い。隠遁せず、気配を消さずヤンガの背後を守れ。」

縁は2頭に言った。

「なるほど。魔物よけですね。」

白曜が言う。

「まぁ言ってしまえばそうなる。悪いな。逆に、それに逆らってきたやつがいたら面白いことになるぞ。」

縁はニヤニヤしながら二頭を撫でる。

「主よ、若人もおります。我らを無視して向かってくる者があれば相当なことです。」

黒曜が溜息をつきながら、鼻面を押し付ける。

「私がいるから大丈夫さ。問題ない。」

縁は自信満々である。


「みんな、聞いてくれ。このままだとモンスターに時間を割かれて前に進めない。そこで、Sランク相当の白曜と黒曜が消していた気配を”解く”。こうすると魔物は強者の気配を感じて逃げていく。まぁ知能の低いものは無理だが。逆にこれでも向かってくるものがいれば…、気を引き締めろよ。」

縁は不敵な笑みを浮かべた。

「なるほど、白曜様と黒曜様が露払いをしてくださるということで…。というかSランク相当なんですね…わかってましたからもう驚きませんよ…」

ヤオが力無く二頭を見つめる。

「…うん。Sランク相当だよね、わかってた。わかってたけどーー!!いざ言われてみるとなんか!なんか強さのインフレ!」

とユエ。

「え?!Sランク相当?!!ブクブクブク…。」

と、泡を吹いて意識を失うヤンガ。

「アハハハハ!ウケるぅ!ヤンガ泡吹いて失神しちゃったよ。はいはい、ヤンガ起きて起きて〜」

ユエがヤンガの背中をバンバン叩く。

「はっ!!」

ヤンガの手放した意識が戻ってくる。が、

「なんでみなさんSランクの魔獣がいて普通なんですかーーーー!!」

と上を向いて叫んだ。縁は、

「あ、そっか、私の冒険者ランクとか知らないんだっけこの子。」

と縁は冒険者カードを見せる。

「スゥリィーエスウウウゥーーー?!!ブクブクブク…」

また泡を吹くヤンガ。今度はヤオが軽く寸勁で陽気を当てる。

「ぶふっ。はぁはぁ、もう何があっても驚かない。何回失神すればいいんだ!」

ヤンガは叫んだ。

「ちなみに姿を見せてないけど、アオイとウスハ、稲ちゃんもSランク相当だからね。アオイとウスハは神性持ちだからね〜。」

縁は誰も知らなかったことをしれぇっと言う。

「し、神性………驚かない驚かない…。」

「「は?神性」」

これにはヤオとユエも驚く。縁は、

「まぁ色々あるんだよ。長生きだとさ。」

とやれやれといったポーズだ。


「さて、行くぞ。細かいことは気にしない!!ハイハイ!」

オーク5頭を空間術式に放り込んで縁は言った。

進むパーティーのヤンガの後方に、白曜と黒曜がいる。ヤオとユエの気配探知を行っているが、モンスターは何も引っかからない。

「流石ですね。何も反応がありません。」

ヤオが言う。

「ここまで居ないと逆に異様だね〜。」

とユエ。

「触らぬ神に祟りなしってね。」

縁は爪楊枝を噛んでいる。スムーズに一行は進んでいく。


あっという間に太陽は中点をすぎる。縁のデバイスでは12:30すぎ。前にも述べたが、縁は食に貪欲である。縁はちょうど川に出たところで、

「はい!きゅうけーい。昼食だよ〜。」

と縁は言った。

「大変お腹が減りました!」

「お腹減ったぁ〜。」

「僕もお腹が減りました!昼食は師匠が作られるとの事で楽しみです。」

弟子3人はウキウキだ。縁は大きな弁当を空間術式から出す。それぞれ、”ヤオ”、”ユエ”、”ヤンガ”と付箋が着いている。縁はそのまま渡す。

「ジャパニーズ、弁当だ。」

そして割り箸も渡した。

「なんで付箋が書いてあるんです?」

ヤオが聞く。縁は、

「まぁ、中身の問題だよ。開けてみな。」

と一言。みなが弁当の蓋を開ける。パカり。

「「「わーー!」」」

中身は巨大なだし巻き玉子と、沢庵と、唐揚げ、ご飯。黄色づくしである。

「卵焼き、食べてみて。」

それぞれが食べる。

「美味しい。でもなんで付箋?なんか意味あった?」

ユエが頭を傾げる。

「じゃあヤオと交換して食べてみ。」

「「はぁ?」」

ヤオとユエが弁当を交換してひとくち、

「甘い!」

「しょっぱいじゃん!」

と答えた。

「だし巻き玉子って家によって、味が全く違うからな。事前に母君に聞いておいたんだ。ちなみにヤンガはしょっぱいだ。」

縁は鼻高々という。

「出汁がじゅわ〜ってなって最高だ!」

ヤオは卵とご飯のマリアージュを楽しんでいる。

「家の味を聞けたのはあんまりないんだが、まぁ母の味を思い出したくなる時もあるからな。」

縁は優しく言った。

「師匠のは甘いんですか?しょっぱいんですか?」

とヤンガが聞く。

「私はしょっぱいだよ。色んな意味でな。」

縁は出汁を味わいながら返事をした。

ワイワイとした昼食の時間に、今朝別れた母の味に舌鼓をうっていた。



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