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双蛇ノ縁ーソウダノエニシー  作者: 環林檎


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36/62

第36話ーアリクイダックー

「おはようございます、師匠。」

「はぁぁうあ〜。おはようございます〜。師匠。」

いつもの訓練場にやってきたのヤオとユエの2人に縁は、

「今日は課外学習だ!魔物を狩るぞ!アリクイダックだ!」

と伝えた。二人は内心、

ーやっぱりそれかーい!!ー

と突っ込んでいた。


「ん、2人ともなんでそんな遠い目してるんだ??」

「いや、本当に師匠は食に貪欲だなと思って…。というか、アリクイダックの取り方知ってるんですか?」

ヤオが誤魔化しながら聞く。

「ん?知らないな。なんか特殊な取り方なのか?」

縁は初めて聞くことに驚く。

「婆様わざと教えなかったのかなぁ?まぁいっか。私たちが教えるっていうことで!」

ユエが勝手に納得する。

「あと、暇そうなこいつらも連れてきた!」

縁は背後を紹介する。

「謹慎3人組!」

そこには気まずそうな3人がちゃんと装備を整えて立っていた。ガロン、キース、ヤンガはそれぞれ視線がさまよう。

「いや、師匠、暇って…。謹慎なんだからちゃんと真面目にやってるわよ。ねぇ〜」

とユエが突っ込む。

「「「はい…。」」」

項垂れる3人組。

「ところで、アリクイダックってどう取るんだ?」

縁は特に気にせず聞く。

「アリクイダックは蟻食と言うだけに、蟻塚に潜んでいます。アリクイダックを取る度に蟻塚を壊していたのでは、資源が守れないので魔具を使用して捕まえます。」

ヤオが丁寧に説明した。

「ほうほう。ならば魔具はどこかに借りにいかないといかないのか?それとも各家庭にあるのか?」

縁が尋ねる。おずおずと手を挙げたのはガロンだ。

「魔具は村の倉庫に5つあります。彼らはユニークモンスターなので猟期がありまして、春と秋になります。ちょうど今ですね。」

「おお、そうなのか。結構数が少ないモンスターなんだな。ヤオ、ユエは装備を整えておいで。謹慎3人組は魔具を借りてきて欲しい。頼んだ!」

縁は気軽に頼んだ。

「了解です。」

各々が若干モチベーション低めに返事をした。


「主様、ユニークモンスターですと、久しぶりになりますね!」

懐から稲ちゃんが顔を出す。

「あぁ!日本のユニークはあらかた食い尽くしたからな!まさかここでユニークに出会えるとは。」

縁はほくほく顔で言った。


ヤオ達は装備と魔具を準備し、同じ場所に戻って来た。

「さて、場所はどこなんだ?」

縁は問う。するとおずおずとキースが、

「里の南側に蟻塚の群落があります。案内しますんで。」

と案内役をかってでた。

一行は広葉樹の林を進む。

「ヤオ、ユエ、探知魔法にビックホーンディアーとかホーンラビットとか美味そうな魔獣がいたら教えてくれ。狩るぞ。」

縁は2人に声をかけた。

「そんなに魔獣が必要なんですか?」

ヤンガが声をかける。

「あぁ、私には使役獣がいるし、私自体が人工生命体だから燃費が悪いんだよ。めちゃくちゃ食うよ?私。」

縁は気軽に答えた。現に縁は片手を空間術式に突っ込んでいる。朝が軽かったので串焼きを食べようという腹積もりである。ついにピンクトード(ピンク色の巨大なカエル)の足の串焼きを取り出してむしゃむしゃしだした。

「え、じゃあなんで私たちとの3人旅では食べ歩きしてなかったの?」

ユエが気配探知を続けながら問う。

「そりゃあ、陰陽の力の件もあったし、魔族の件もあったから、さすがに悠長なことはしてなかっただけさ。常に小腹は空いてたよ。」

もぐもぐしながら返事をする縁。

「あ、ビックホーンディアーがいますね。親子です。」

ヤオが言う。

「ん〜親子はナシナシ!後味悪いから。」

縁はもぐもぐしながら首を振った。

―人工生命体…???サラッと流された…―

と謹慎3人組は思った。


「みなさん、もうすぐ着きますよ。」

ヤンガが声をかける。

見ると視界が開け広大な砂地が広がっている。白っぽい大きな塚が、いくつも立ち並んでいる。

「おおー!すごいな。景色もすばらしい!」

縁は新たな串を出してもぐもぐしながら言った。

「これが魔具です。」

ガロンが縁にネズミに似た魔具をみせた。

「これをどうやって使うんだ?」

縁は魔具を慎重に観察する。

「至ってシンプルです。アリクイダックが居そうな穴に放り込んで、魔力を流して追い立てます。」

キースが説明した。

「なるほどな。なら、私たちには気配探知があるから、それで百発百中だな。」

縁は案外簡単そうな狩りに拍子抜けしている。

「まぁ追い立てるのは簡単なんですが、気性がとても荒く、長い舌をムチのように使いますし、くちばしに鋭い牙が生えていて、俊敏。空も飛べますし。なかなか捕まえるのが大変なのです。」

ヤオが説明する。

「あー、アオイとウスハに結界張ってもらうから、全然大丈夫だろ!じゃあ早速狩りを始めよう!」

縁は楽観的である。魔具に興味を抱いて、やる気満々。

「ヤオとユエは探知をしながら魔具で追い立てる。私と謹慎3人組の内二人は魔具で追い立てる。」

縁たちは各々魔具を持つ。ヤオとユエは探知を行い、

「あそこの穴とそこの穴。あっちの左にいます。」

「そこの右とそこから4つ離れた穴にいるよ。」

2人の指示通り、縁とガロンとヤンガが穴の前に立つ。もちろんヤオとユエもである。

「魔力通すと、この魔具ってこんな感じなのか。いっせーのーでやるぞ!」

縁は声をかける。縁は一抱えもあるネズミに似た魔具に、たっぷりと魔力を通した。すると魔具は、

「キーキー!キーキー!」

まさに凶暴なネズミといった様相である。

ーこれ、大丈夫なのか?ー

内心縁は疑いながら、

「いっせーのーで、はい!」

と声をかけた。すると魔具はうるさい音を立てて穴を走っていく。

そのうち、

「グワァグワァ!!グワァ!」

という声があちこちから聞こえてきた。

「アオイ、ウスハ!空中に広く結界をはれ!」

縁は声をかける。その内、1羽のアリクイダックが穴から飛び出してきた。白い羽はアヒルそのものだが、口に生えた鋼色の歯がその狂暴さを物語っている。

「グヴァグヴァ!!!!!」

羽を広げてこちらを威嚇する。近くにいたユエが針を急所に投げ、アリクイダックの命を奪った。これが最初の1羽で、似た流れであとの4羽を各々仕留めた。ただ1羽のアリクイダックが、砂と舌使をって攻撃をしかけてきた。舌が音速を超えるパンッという音が響く。それをヤンガがサンドニードルという魔術で仕留めた。

「これで5羽か。ユニークモンスターだとして、あと何羽取っていいんだ?決まりとかあるのか?」

縁は適当に声をかける。

「1人当たり2羽となってますね。ですから、今日はあと2羽ですね。」

キースが答える。ユエは、

「じゃあちゃっちゃと捕まえて帰りましょ!ホコリっぽくて嫌になっちゃう。」

と言った。その一言であっという間に残りの2羽は捕まえられた。縁はにっこにこである。

帰りがけ。ヤオが縁に声をかける。

「両家が集まる日の件なのですが。我が劉家も周家もいつでも構わないとの事です。」

ユエが、

「そーそー、かまわないってさ!せっかくだから14日ぐらいにしたらどう?出発前に景気付けにね!」

と、続ける。

「じゃあこのアリクイダックもその日に食べさせてもらおうかなぁ。」

縁はもはや食のことしか目にない。

「はいはい。そういうことにしましょう。」

ヤオが言う。

その時だった。一瞬空気が張り詰める。

「ギョゴョゴゴゴ!ギャギュ!」

と声。1匹のゴブリンである。

縁はかるく振り返りざまに、魔力を纏わせた手刀で

ーザンッー

唐竹割りにする。

「ヤオ、ユエ、雑魚にも手を抜くな。探知に写ってなかったんだろ。」

縁は軽く注意する。

「「んげぇっ。」」

2人の声が被る。気配探知は魔力が小さすぎると探知できないことがある。

「はぁ。私、精密さには自信あったけどまだまだって事ね。」

ユエが頭を抱えてガックシとしている。

「かまわんかまわん。初めはそんなもんさ。」

縁はまた空間術式からビックホーンディアーの串焼きを出しながら答えた。

ー師匠は一体何があったら驚くのやら…。私も探知の精度をあげなくては。ー

とヤオは思った。

ーすげぇ。手刀だぜ…。ー

と思っているのが謹慎3人組であった。



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