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双蛇ノ縁ーソウダノエニシー  作者: 環林檎


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第29話ー母たちが語る、陰陽の出自ー

読んでくださる皆様、良いお年をお送りください!

皆様の1年が幸せでありますように、心から願っております。


「―――それは300年以上前のことでした。私と徽因(ハイユン )は同じ時期に孕みました。その時から既に異質なものがありました。私は朝日と共に腹が光り、佳々は夕暮れに腹が光りました。我々蛟は、普通の蛇のように卵を何個も孕む訳ではありません。たった一つを5年間孕むのです。光りは嵐の日も雪の日も続きました。腹が膨らむにつれ、それは現れてきました。私の腹には白い勾玉のようなものが、佳々の腹には黒い勾玉のようなものが、模様として現れてきたのです。婆様は言いました。『この世の中には陰と陽に別れている。この模様を合わせると太極図になる。お主らの子はもしかすると、陰陽に関わる何かを背負うのかもしれぬ。しかし案ずるな、我らは、"我々"は、この里に産まれたものを排除せぬ。生まれるまで今少し。無事に産むことだけを考えるのじゃ。』と。」

語り手は徽因に変わる。

「我らは卵を産みます。およそ外に出て1ヶ月で割れ、しばらく子は幼蛇として蛇の形を取ります。そしておよそ6ヶ月で赤子の姿となります。我らの子はヤオは純白の真珠のような色で、ユエは闇夜の黒真珠のような色で産まれました。生まれた日も時間も一緒でした。そして生まれた日には、私たちの腹から、太極図の模様は消え失せました。婆様は言いました。『わしが見るに、このふたつの魂は惹かれあっている。いわば片割れ同士。徽因、佳々、お前たち母親が無理なくば、なるべくふたつの卵を同じようにせよ。』と。私たちは主人たちと別れ、1つの部屋で卵たちの面倒を見ました。1ヶ月でヤオは白銀の姿で、ユエは黒鉄の姿で生まれました。我らは元々白と黒の色をした蛟の一族。しかし色が少し違うことに驚きました。でも納得いたしました。やはり陰陽ですから。」

佳々(ジェンジェン)は夜空を見上げた。徽因が言葉を続ける。

「ふふ。悩んだのは名前でした。やはり、陰陽ですから、対になるような名前にしたいと思いました。なので両家族総出で話し合い、劉锐耀(リュウ・ルイヤオ)周玥俊(ジョウ・ユエジュン)となりました。まぁ、自然とヤオとユエと呼ぶようになったのは、対となった運命ではないでしょうか。」

徽因は誇らしげに言った。


縁は言う。

「恐らく、誠の名を隠すという彼らの本能だろう。日本には(いみな)というものがある。誠の名はその術を知るものが知れば、その者を縛ることができる。私がそうした術を扱えることを無意識に感じ取って、"ヤオ"、"ユエ"と名乗ったのかもしれないな。」

(ヤオとユエの誕生は800年前、封印はその300年後──)

と、白酒を飲みながら遠い目をした。


「なるほど、そういうことも考えられるのですね。」

志強(シキョウ)が顎に手を当てて言った。陳宇(チンウ)は、

「幼蛇の期間がすぎ、人の子となると力の制御ができずに、ヤオは癇癪を起こして火の玉を乱舞させたり、ユエは涙が次々と凍って部屋に冷気が漂ったり…。歳を重ねるにつれて、そのようなことはなくなりましたが、その、他の子供のように、親を困らせることはほとんどありませんでしたね。」

陳宇は懐かしんで言う。


「封印を施さねばならないとわかったのは、250歳を過ぎた頃でございました。息子たちは時々発作に苦しめられ、力が制御できなくなることが増えてきたのです。我ら悠淵の里のもの一丸となって、それを防ぐ術を探しました。あるものは北京の大図書館にもぐり、あるものは欧州をめぐり、あるものは新大陸に渡りました。数々の資料と術を探しました。結果、わかったのは「封印」するしかないということでした。」

志強が硬い声音で言う。

「この500年孫たちを思わぬ日はありませんでした。本来なら里を引っ張っていくような、ガロンたちのような若い世代なのです。我が一族の灯火は、いつか封印をせずとも良くなる日が来ることを待つことでした。」

志強のそばに座る白髪の老婆が言う。

「ほんに。『ばぁば!』っと言う声が何度空耳で聞こえたことか…。殺すべきだという声もあったのは本当に辛かった…。」

陳宇のそばの老女も涙を流している。

「なら、また旅に出ることはやはり辛いことだな。なぜ止めようとしない?」

縁は白酒を盃に一気飲みして言った。

「それは、彼らが世界を背負っているからです。陰陽の化身。世界に異変をもたらす程の力。我が子可愛さにこの里に留めおくことなど、不可能なのです。」

徽因が言った。

「それは、両家で話し合ったことか?」

縁は優しく聞く。

「そうですじゃ。封印も解かれ、陰陽の乱れも整い、魔族を退けたこの夜の宴こそ、話し合うには適切だったのです。」

陳宇のそばの黒髪の老人が言う。

「さようでしたか。正直言いますと、帝がどれ程の先を読んだのか私も伝えられていないのです。"何事にも時がある"と言われ…連れてきた時に話すと。ですから、私が彼らを一生連れ回すと言ったことはないと思う…のですが、あと1ヶ月は悠淵に留まろうと思っております。500年ぶりの家族団欒にしては時が短いとは思いますが、どうかご容赦願います。」

と、縁は頭を垂れた。

「あなた様は、ヤオとユエの師匠。世界に名を轟かすナンバーズのNo.5(フィフス)。SSSランカーであり、寿命も我らより遥かに長く、経験も豊富。どうか、我が子らをお導き下さい。」

徽因、佳々も縁に向けて頭を垂れた。



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