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双蛇ノ縁ーソウダノエニシー  作者: 環林檎


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28/62

第28話ー劉家(リュウケ)と周家(ジョウケ)ー

縁は蓮藕排骨湯すすりながら、

「酒の間にちょっと小休止するのに最高だな〜。この蓮根のシャクシャクした感じとオークの出汁が滋味深い味だぁ…。」

―みんなが笑っているのを見ると、胸の奥にじんわり温かいものが広がる。―

と、ほっこりしていた。そうすると人化している使役獣たちが集まってきた。

「今夜は良い宴ですね。」

白曜は水餃子が気に入ったようで沢山食べている。

「それにしても、あのエビ地獄は勘弁です。」

黒曜は遠い目をしている。がしかし、取り皿には大量にエビマヨとエビチリが取られている。2人とも酒は白酒にしたようだ。

「私はこの蓮藕排骨湯が本当に気に入りました!リーさんに作り方を教わってまいります。」

アオイはこの土地の味が随分気に入ったようだ。

「私はあの水餃子の皮の作り方を教わりたいですわね。もちプルで、お腹にも溜まるような!」

ウスハはチャンさんの水餃子に興味津々である。

2人はそれぞれカシスソーダとピーチソーダを飲んでいる。

「稲は食べるのが専門です。海老むきだけでおなかいっぱいです!」

稲ちゃんは若干むくれている。手元にはもつ煮込みが入っている。酒は日本酒である。

みな個性豊かだ。

「みんな、今夜は好きなだけ食べて飲んでいいからね。みんなの好きなニシキエビのハーブ焼き、ここの子供たちに大人気だからなくなっちゃうよ〜。」

「「「「「えー?!」」」」」

使役獣達は大わらわで散っていった。

「ふふふふ。私はもう好きなだけ食べましたからね。」

ヤオは何気ない抜け目のなさを出している。

「もちろん私も食べた。あのバターがたまんないね〜。」

ユエもビールを飲みながら味を思い出して笑っている。

「お前達、モツ煮込みとか、すじ煮込みとか食べてないだろ。上手いから食べてみなよ。」

縁は日本の料理もすすめる。

「もちろん食べますよ!」

ヤオは真剣な顔ををして言った。

「私もモツだいすきだから楽しみ!」

ユエも言う。

「あのコラーゲンと油の感じが罪深いうまさなんだよ。日本酒も私んとこの地酒だけど飲みやすいやつを揃えてある。じゃんじゃん食べてくれ。」

縁は排骨をかじりながら言った。


縁は婆様の方に向かう。婆様は月を見上げながら日本酒をちびりちびりと飲んでいた。あては筋の煮込みである。

「イュイ、盛大な宴になったな。」

縁は隣に座る。

「縁様、これも住民の不安払拭のため、我々の勝利の誇示ですじゃ。料理も美味しゅうございますぞ。日本酒はもう3本目です。」

婆様は盃を縁に捧げる。

「我らの勝利に。」

「我らの勝利に。」

縁は同じように日本酒の盃を捧げた。

「それにしても縁様、謹慎中のものたちへの配慮。感謝しますぞ。」

婆様が頭を下げる。

「いいんだよ。若いうちは誰でも間違いを起こす。その罪を問いすぎれば、彼らの目は曇るばかりさ。」

縁は唐揚げを食べながら答えた。

「にしても、悠淵は良い里だな。自然は豊かで、住民の結束も強い。お前は頑張ったんだな。」

縁は微笑みながら言った。

「縁様…」

婆様は言葉を失う。

「ーー私たちは最善を尽くしました。ーじゃが、ヤオとユエ、彼らは我らの手に負えぬ世界の基軸。ゆえにどうぞ縁様が導いてやってくださいませ。」

婆様は頭を下げた。

「気にするな。イュイ。私は帝の夢見の未来視によって、ここに来た。この先もヤオとユエを導くのはこの私だ。未来が破綻せぬよう、私が手を添えよう。」

縁は婆様の手をそっと握った。

「さて、私もヤオとユエのご両親にまた会っておきたい。後でな。イュイ。」

縁はサッと笑みを浮かべると、席をたった。

婆様は一筋の涙を流しながら、

「誰もが幸せになることを祈るがゆえの、"強欲"。この2つ名に嘘はございませんなぁ。」

と月を見上げた。


人混みの中、ヤオとユエの両親を探す。すると両家は隣同士に座っていた。

「ヤオとユエのご家族の皆さん。楽しまれていますか?」

縁は丁寧に声をかけた。

「縁様!!!」

両家の者たちは一斉に立ち上がった。

「すまないね。私は自己紹介もせずに昨夜は儀式を行ったから。改めて、私は滝野縁。あなた達の名前を教えてくれるかい?」

縁は白酒を持って空いた席に座った。

「私は劉家(リュウケ)のもの、ヤオの父の志強(シキョウ)と申します。妻の徽因(ハイユン)です。奥が祖父と祖母です。昨晩、いえ、封印解放の時からありがとうございました。」

見事な白髪をもつ劉家はみなで頭を下げる。

「私は周家(ジョウケ)のもの、ユエの父の陳宇(チンウ)と申します。妻の佳々(ジェンジェン)です。奥にいるのが祖父と祖母。この度は誠にありがとうございます。」

みなが黒髪の周家の陳宇が、それぞれ紹介を受ける。

「みなさん、座ってください。そんなかしこまらずに。いっぱいやりましょう。」

縁はあまりに畏まった態度に、軽く声をかけた。縁が座ると劉家から周家の順で座った。

「料理は食べられていますか?ヤオもユエも存分に満喫してくれているようですが、皆さんはどうですか?」

縁は声をかけた。

「もちろん。あのニシキエビ、初めての味で大変美味しかったです。」

徽因が華やかな笑顔で言った。

「バターがあれば簡単にできますけどね、ここにあるかなぁ。ハーブの種さしあげますよ!。」

縁は気軽に言った。

「もつの煮込みと日本酒も美味しかったですなぁ。毎日食べたいぐらいで。」

陳宇がカラカラと笑った。

「ふふふふ。それはありがたい。周家に味噌を一樽差し上げますよ。これで普段とってきたモンスターのモツを煮込めば良いですよ。奥様に作り方を教えて差し上げましょう。」

縁は嬉しそうに答えた。

ーーそしてひと呼吸おき、

「皆さん、ひとつお話があります。端的に申し上げると、ヤオとユエをまた旅に連れて行くということです。」

と全員の顔を見据えた。縁は全員笑顔を失うと思っていたが、そうではなかった。全員微笑んでいた。

「驚かないのですか?」

縁は聞く。

「正直、ヤオもユエも、この里で終わる生ではないとわかっております。こうして我が劉家と周家が隣合ってここにいるのも、それを話し合っていたからなのです。」

志強は答えた。

「ヤオもユエも、陰陽の化身。なにか特別な意味のある子なのです。生まれた時のことを聞いてくれますか?」

佳々が瞳を一度伏せると、もう一度力を込めて目をあげた。

宴のざわめきが遠く感じる。

「それは300年以上前ーーーー…。



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