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双蛇ノ縁ーソウダノエニシー  作者: 環林檎


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第17話ー襲い来る者達ー

縁は朝ほどでは無いが、広範囲の探知を行う。森を吹き抜ける夜風が、微かな魔力の流れを運んでくる。縁は静かに目を閉じ、意識を千里の彼方へと伸ばした。

ー見つけた。魔力反応4つ。直線距離150km弱。かなりの速さで南下している。目的がそれなりにはっきりした動きだな…廟に行って、陰陽の力が蛟に関すると判断したか…。これは明け方に急襲する気だな。常套手段だが厄介な…。ー

縁は苦々しく思いながら、婆様に声をかけた。

「イュイ。今探知を行ったが、直線距離150km弱で奴らを見つけた。かなりのスピードで南下している。奴らは廟で陰陽のものが蛟だと勘づいたらしい。おそらく夢蓮池の周りをしらみ潰しに探すだろう。奴らは魔力に敏感だから、ここが見つかるのはおそらく明け方。結界は持ちそうか?」

ばば様は言う。

「このような時のために特別な魔石を準備しておりますれば。しかしながら、これだけの魔力を持つものを隠し通す結界は用意しておりませぬ。」

縁は答える。

「大丈夫だよ。森羅万象少なからず魔力を持っている。そこでぽっかり魔力のない空間が出来れば、"ここになにか重大なものが隠されていますよ"と自己申告しているようなものだ。奴らの魔力の探知は正確だ。むしろ今の対魔術結界、対物理結界の維持が最優先課題だよ。」

婆様は、

「確かに。縁様の言う通りですな。あと、魔族は4人という事でしたが、3人を縁様とヤオとユエが受け持つとしても、1人あまります。護衛部隊が役に立つかどうか。」

という。縁は、

「イュイ、ヤオとユエに1人ずつあてがうのは私も同じ考えだったが、お前もそうとは恐れ入った。なかなかスパルタだな。」

と、驚きながらもニヤニヤして見つめる。

「ヤオとユエは封印される前から、戦闘や魔術のセンスがずば抜けておりました。陰陽の力が整った今、存分に発揮してもらいましょう。おそらく、魔族など稚児同然に片付けるでしょう。ほほほ、私も若い頃は無茶をしたものです。縁様もご存知でしょう?」

婆様は胸を張る。縁は、

「ははははは!稚児同然とは大きく出たな。イュイも確かに控えめなのに何故かお転婆だったんだよな〜。だが、私もだいたいその位の実力差はあると思うよ。流石に首魁はわたしがもらうが。護衛部隊の件だが、対魔族用に護符を作ろう。魔族は暗示魔術や幻術を使うものも多いからな。人数は?」

と笑い、護衛部隊への対策に乗り出した。

「30名です。本来ならば50名おりますが、20名はまだ若く、この戦いには出せませぬ。護符を書く場所をご案内いたします。」

ばば様は縁を早速、自分の家に案内する。

縁は道すがら、頭の中で空間魔術の中にある、特別製の硯、神聖な炭、特別な和紙等、必要なリストを確認していた。

質素だが趣のある、婆様の部屋で、縁は、

「かなりの魔力を込めて書くから、少し時間を食うな。イュイ。念の為、結界の外には私の使役獣達を展開させておく。」

早速硯を用意しながらばば様に行った。

「この里のために何から何まで、なんとお礼を申し上げたらよろしいか…。」

ば様は自分の力が及ばないことを悔いている様子で、拳を握り込む。

「イュイ。全ては巡り合わせ。この地にお前がたどり着いたことも、私がまたお前に会ったことも、必然だ。それに私は魔族を退けてからここに来ることも出来たが、ヤオとユエの力の制御を優先した。イュイ。何も詫びることは無い。」

縁はあっけらかんと言った。

「そうでしたね、縁様はそういうお方でございました。全ての幸せを願うがあまり、グリードなどと2つ名で呼ばれる…。私も弱気になってはいけませんね。結界を担当している者の所へ行ってまいります。」

婆様はそう言って席をたった。縁は、

「私も終わったら結界のところに行くよ。どんな装置か見てみたいしね!」

と明るく行った。

魔法灯の暖かい光の中、縁は静かに息を整え、墨を摺った。香木を焚いたような香りが、部屋の空気を柔らかく満たしていく。

筆が紙に触れた瞬間、淡い光が滲み出し──縁の周囲の空気がわずかに震えた。

「よし……この程度なら、魔族でも破れまい。」

その文字にはメリハリがあり、筆運びには重みがあった。

ー激甚のコキュートスか。コキュートスの更なる力を目覚めさせようとしているのは明白。ただ激甚?主を狂わせようとしているか?徹底的に聞き出してやる。まぁ、陰陽の力が制御されている今、生半可なことをしても無駄だがな。私の大切なものたち、誰一人欠けず守り通す…!ー

髪飾りの血赤珊瑚がチリリと音を立て、縁は強く誓いを立てる。かつて守れなかったもの達への後悔と懺悔を胸に。



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