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双蛇ノ縁ーソウダノエニシー  作者: 環林檎


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第12話ー戦闘したら腹が減りました。ー

縁は全員を見回しながら言う。

「戦闘して腹が減ったし、時間もなんだからここら辺で昼飯にするか〜。」

ヤオは、

「おお!!!今日は何にするんだ??」

先程の戦闘の様子をすっぱり忘れて言う。

悠淵から来たガロとロル、ミロは目をぱちくりしている。

「今日は〜カスクートにしようかな、洋風な気分だ。中身は〜、生ハムルッコラと、ハムとチーズ、エビアボカド、サーモンアボガド、トマトとモッツァレラで。あんこバターも締めにいいかもね〜。」

ユエはウキウキしながら、

「カスクートって何???よく知らないや。」

と縁を見る。

「カスクートっていうのは、フランスパンを使ったサンドイッチの総称さ。焼き直したバゲッドは外はパリッと中はもっちりとして食べ応えもある。もちろん予備も沢山ある。悠淵の3人の分もあるから安心しろよ〜。」

縁は空間魔術をガサゴソして大きなバスケットを何個か出した。

「その、縁殿、我らにも食事を??」

ガロは目を丸くして問う。

「当たり前だろ?さっきまでは対立していたが、今はそうじゃない。腹が減っているものは見過ごせない口でね。もちろん毒なんか入っていないからいくらでもくってくれていいぞ!」

縁はなんでもないように答えた。

「ガロさん。師匠はこのような方です。私たちが廟で師匠にけちょんけちょんにされても、師匠は朝食を振舞ってくださいました。お腹が減っている人を見過ごせないんですよ。」

ヤオがガロに丁寧に説明する。

「その、けちょんけちょんっていうのは語弊があるからやめてくんない?」

縁はじとっとした顔でヤオを見つめる。

「いや、私たちちゃんと、けちょんけちょんにされたから。なんなら途中から、柱の上から見下ろされてたから。」

ユエが突っ込む。

「まぁいい!とにかく飯たべよう!」

縁は、野菜とベーコンが入ったコンソメスープを出しながら言った。

白曜と黒曜はビックホーンディアー(大角鹿)、を生で食べ、稲ちゃんはカスクートのチーズをかじっている。蝶たちは萩の蜜を食べている。

ガロはスープを口に運びながら、言葉を失っていた。

濃すぎず、薄すぎず、素材の味が胃に染みる温かさ。

それが戦いの余熱をゆっくりと鎮めていく。

「……我らのことを、なぜここまで?」

ぽつりと呟くガロに、縁はただ微笑んだ。

「だから、腹が減ってる奴を放っておけるほど、私は冷たくないのさ。」

ロルとミロは顔を見合わせ、小さく頭を下げた。


「おおお!これはおいしい!」

ロルがトマトモッツァレラをもぐもぐしながら言った。

「1番はエビアボカドだろ〜。プリプリのエビが最高だ!」

とガロが言う。ミロは

「僕はサーモンアボガドが1番。」

ぼそっと言う。

「いやー褒めてもらって嬉しいね!作りがいがあるってもんだよ!」

縁はからからと笑って言った。

「え、縁殿、この料理は縁殿が全部作られたのですか?」

ガロは驚いて言う。

「あぁ。私は料理が好きなものでね。作りだめして、空間魔術に入れておけば時間もたたない。もちろん気に入って買いだめした店のものもあるけどな。」

ガロ達は呆気にとられている。あの身の毛のよだつような殺気をはなった相手が、料理をせっせっと作っている様が思いつかなかったのだ。

「ま、そうだよな、そんな反応になるよね〜。」

縁は目を細めて困ったように言う。

「そうだ!悠淵で何か名物料理があったら教えてくれないかい?頼むよ!趣味なんだ。」

そうして思いついたように言った。ロルが、

「ああ!アリクイダッグのつくねとかどうですかね!美味しいですよー。」

と言った。

「なんだその美味そうなものは!楽しみだ〜。」

縁は随分と嬉しそうな顔をしたのだった。

そんな師匠を見て、ヤオとユエは、

ー人と距離を詰めるのが上手い…。ー

と感じていた。

…師匠、胃袋、つかみにいってるよな?…

ヤオがユエに思考共有を行う。

…間違いないね。結婚でも男の胃袋を掴めって言うし、師匠は地でそれを行ってるね。…

ユエはやれやれと言った様子だ。

戦闘からの急転直下、徐々にではあるが仲間意識が芽生えてきた一行だった。



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