第2話:幼馴染と再会!でもいきなり怒鳴られる!?
ログインしてからしばらく――
俺は“初心者の森”でひたすら景色を楽しんでいた。
「おぉ〜……めっちゃリアルじゃん……草の匂いもするし、虫も飛んでるし……」
「……ていうか、俺、今ちゃんと動けてんのかな……」
操作感は悪くない。というか、悪くないという“感覚すらも数秒遅れてくる”。
けど、まあ気にしないことにした。
それが島スタイルである。
そんなとき――
「ちょっとアンタ!!」
後ろから、いきなり怒鳴られた。
ビクッ!!
振り返ると、そこには見覚えのある顔が。
「……ユイ?」
「やっぱアンタだったか……!なにこのタイミング、なにこの状況……!なんでボスがいきなり消し飛ぶのよ!?」
「え? ボス?」
「さっきまでボス戦してたのよ、こっちは!
ちゃんと戦術立てて、仲間と連携して、ギリギリまで追い詰めてたのに……!
突然爆発音して、画面真っ白になって、気づいたらボス消えてたのよ!?」
「……………あー……」
「それで、誰の名前がログに残ってたと思う?“ka1to_Island”。アンタよ!」
「いや、俺ほんとになにもしてない!立ってただけ!草むしってた!」
「むしろ何でそれで勝ててるのよ!?立ってるだけで最強なの!?どういうこと!?」
ユイは眉をピクピクさせながら俺をにらみつけた。
すっかり都会の顔になってると思いきや、怒る姿は昔と変わらない。
「もしかして……ユイ、俺がラグってるの知らない?」
「ラグ?……いや、そりゃ多少はあるだろうけど……って、もしかしてアンタ今ラグってたの!?」
「多分、そう。俺が“接続中……”とか“動けない”ってなってる間、ゲーム内では無敵化してるっぽい。」
「しかも、それを俺だけが分かる。周りからは普通に見えてるっぽい」
「…………え、何それ怖ッ!!」
「え、じゃああたし、神の怒りでボスごと巻き込まれたの!?」
「多分、ラグの力です」
「……自覚ないのが一番怖いわ!!!」
ユイは髪をかきむしりながら頭を抱えた。
そりゃそうだ。いきなり再会して、理由も分からず爆破されたんじゃたまったもんじゃない。
「でもまあ、会えたのは嬉しいぞ」
「うるさい!何より今後も不意に爆発されるのが一番怖いのよ!!」
「……それもそうだな」
しばらく沈黙した後、ユイは少しだけ落ち着いた様子で言った。
「アンタ、まだこのゲーム始めたばっかでしょ?パーティ組んどくわ」
「えっ、いいの?」
「どうせこのまま放っといたら、また誰か爆破するんでしょ?
だったら、少しでも近くで制御できる方がマシだわ。」
「なるほど。保護者目線」
「うるさい」
こうして俺は、かつての幼馴染・ユイとパーティを組むことになった。
ラグってる間だけ無敵・高火力・でも本人は何も分かってないというトンデモ仕様の主人公と、
ツッコミ全開のアーチャーが歩む旅が、今ここに始まる。