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旅先のアジア人男性と恋に落ちて

作者: Mira Ceti

この青年のモデルとなった人物に捧ぐ。

その青年には旅の途中で出会った。

鄙びた露天の店先でアジア人特有の涼やかな切れ長の目を物憂げに猫に向けたまま、世界から切り離されたかのように座っていた。

浅黒い肌に黒い前髪がかかり、けだるそうに視界から首を振ってはねのけようとする仕草を私は、暑さに朦朧とする頭でただ美しいと思った。


暑い日だった。

蒸すようにへばりつく空気を無意味にも手で退けようとしながら露天の側を通り過ぎようとすると、青年は私を呼び止め、カタコトの日本語で駅へ行くのか、と訊いた。

私が頷くと、手振りで少額の小遣いで駅への最短ルート案内をかって出ることを申し出た。

私は実際慣れない気候と土地に辟易していたので、短くYESと答えた。


こちらの方が早いのだと云う青年に導かれるまま果てしなく続くような緑の畑の畔を歩いていると視界の片隅に雷雲がよぎる。

ひとあめ降りそうだと見上げた瞬間に最初の大きな一粒が頬を濡らした。


RUN…青年は短く言うと私の手首を握って走り出した。

何を焦るのか、と戸惑う間もなく猫も犬も泥も全て混沌の渦に巻き込むような豪雨が私たちの上に容赦なく降り注いだ。


息もつけぬほど走って、田んぼの中ほどにある掘ったて小屋に逃げ込むと乾いた泥の匂いと刈ったばかりの草の匂いが鼻をついた。

ひどい雨であった。服からも髪からも次から次へと雫が垂れる。


ふと視線を上げると、青年も同じ有様である。

濡れそぼった黒髪が肌に張り付き、そこから大きな水の雫が跡を作って首筋から骨ばった鎖骨に流れ、身体を辿って下に落ちていく。

身体に張り付いた濡れた衣服がその華奢な輪郭を露わにして、息をのむように妖艶である。

かぶりを振って水を振る様が精悍で、華奢な身体を対比的に美しく見せ、私は目を奪われたまま離せなくなった。


私の劣情を察したのか涼やかな目を少し戸惑ったように細めると私に背を向けると、濡れたシャツを脱ぎ、水を絞ろうと手をかける。


その背中を私は見つめている。

無駄などひとつとして許さないであろう完璧な背中、華奢な首を彩る美しい頸椎をただ劣情に任せるまま視姦していた。


私の中を暑さとは違う熱が支配していき、恍惚とする頭を制御できずにただ指の先にある頸椎を愛でてみたくてしかたなくて。

私は耐え切れなかった。

指を伸ばして頸椎に触れると、ひんやりと冷たく、そしてそのあとは火傷しそうに熱い。

熱いのに離したくない。火傷で腐りおちてもいいから欲望に溺れて触っていたい。

憧れた頸椎は生きるものの本質の美しさを体現して、ただ生命力にあふれて完璧だと思った。


ああ、美しい、私はため息をつく。

背中越しにぴくりと震えた身体が青年の動揺を指に伝えてくる。

けど止まれないのだ。

どうか、振り向かないで。そのまま唇をその完璧で愛おしい頸椎に押し当てる。


劣情に狂った私の頭はもう止まれなかった。

唇を押し当て、ただ、頸椎の感触をむさぼるように味わいながら私は自分の濡れたシャツを脱ぎ捨てた。

ひりつくようにただ、この美しいものに触れたい。

私の舌で、肌で、魂で、私の全てで感じたい。


そのまま半裸の乳房を華奢な背中に押し当てる。

ひやりと感じたのも一瞬、濡れた身体同士が化学反応を起こし始める。

熱い!熱い!

熱いのはこの身体か、それともこの身を燃やす劣情か!


濡れてべとべとした下着が気持ち悪く、背中との接点を邪魔するのも煩く、恥ずかしさも忘れてそれすらも取り去る。

露わになった乳首が青年の肌にこすれる度、頭の奥が痺れて真っ白になった。

いつしか自分の吐息が荒くなっていた。

はぁ、はぁ、と甘いため息をついてしまう。

それが青年の背中に伝わるようにワザとらしく乳首をこすりつけた。

ただ、ひたすら肌と肌が溶け合う熱さに溺れて、青年の熱を奪い、私の熱を与え、次第にお互いに劣情が止まらなくなるのを脳髄で味わう。


背中と乳房でつながりあったまま余った手を前に回すと突起を探す。

指がちいさな種をかすめると自分のではない吐息が耳に届く。

私が味わう快感を共有したかったのだ。

ヒトツニナリタイ。


耳に届くのは、甘い、甘い吐息だ。

何か異国の言葉でため息交じりに呟いている。

聞いたこともないような妖艶なかすり声で扇情してくる。

だんだん二人の吐息が重なり合って劣情を連鎖させていく。


愛おしい。ただ愛おしい。

思わず首筋に舌を這わせて軽く噛みついてしまう。

甘い吐息に交じって劣情に染まった声が漏れる。

なぜこんなにもこの青年の声は甘いのだろう。

毒針が刺さった心を次第に染めて麻痺させていく。


首筋からか、ぬれそぼった髪からなのか、蓮の花のような薫物に似た匂いがする。

そのただよう甘さに理性が痺れてしまって到底戻れそうにない。

触らなくても自分の陰部が粘液で溢れてしまっているのが分かる。

動くとくちゃくちゃと卑猥な音を立てそうで赤面してしまう。


我慢が出来なくて、つい背中を抱く腕に力を込めてしまう。

てのひらをゆっくりゆっくり動かして、濡れた身体を撫でまわすように味わっていく。

小さな突起をいじめるのを止めるのが惜しくて、身体を撫でまわしつつも何度か戻ってきてしまう。

羽根で触れるかのように優しく、時には劣情を剝き出しにしてむさぼるように。

私の手は青年の身体を犯し続けた。

青年はひたすらそれを受け入れていた。

吐息は次第に激しくなり、はぁ、はぁ、から、あぁぁんという甘い声が時々混じるようになった。


下へ下へとゆっくりと手を這わせてズボンのベルトに手をかける。

身体全体から彼の動揺が伝わってくるけど、抵抗するような理性はなさそうだ。

緊張でこわばった身体は私を受け入れている。


ベルトが取り払われ、ズボンを緩めると興奮で震える指をゆっくりと下着の中へ入れていく。

熱くて固い。暴発寸前。先端は下着が汚れるほどに濡れている。

ゆっくりと指の先で粘液をぬぐって、先端を優しく愛撫していく。

くちゅりと音がするほどに濡れているので円を描くように、時々指で輪を作ってはくぐらす。

ぬめぬめした先端はいとも簡単に私の手を滑らせた。

下着の中ではなかなか手が動かしにくくてもどかしい。

それでも熱く猛った棒はひたすらに愛おしかった。

段々長く艶めかしくなる青年の吐息がはぁぁ、はぁぁと響いていた。


欲しい、欲しい・・・ただこれが私の中に欲しい。

私の中をかき回してほしい、ぐちゃぐちゃにしてほしい。

私の一番気持ちいい場所をガンガンついて欲しい。

そしてただ快楽に溺れていたい。


もっと、もっと、と気が急いた。

下着をずらすと、棒をゆっくりととりだした。

露わになったそれを愛おしそうに手で包み込んだ。

最初は壊れやすい細工でも扱うように丁寧に、ゆっくりと上下に手を動かして愛していく。

手で輪を作り、私の陰部を思い起こして欲しいと思いながら、ぬちゃりぬちゃりと愛撫する。

私を欲しがってほしい・・・。

「んんっ・・・あぁぁ・・・・んっ・・・・」

とうとう我慢の限界なのか青年は手の動きに合わせて卑猥な声を上げた。


劣情が高まるにつれて私の手は自然と早く、強くなった。

しかし、粘液にまみれた棒はそれをいともしなかった。

むしろ先端から溢れる汁で手が滑る。

意識しなくても最適な感度でストロークできる。

ぴちゃぴちゃ、くちゅくちゅ、ぴちゃぴちゃと粘液の音が響いている。

吐息は既に嬌声へと変わっていた。

「あぁぁっ・・・・あぁぁ・・・はぁはぁ・・・あぁぁぁ・・・・」

私の手が先端にたどり着くたびに青年は甘く鳴いた。


手の感触でもう長くは持たないのだと分かった。

私はズボンを空いた手でずり下げて、前に回る。

まずは先端に軽くキスをした後、アイスクリームを舐めるように全体を味わっていく。

暑い日の氷菓に似た中毒性のある魅力で私は味わうのをやめることが出来ない。

思わず口に含んで全てを一気に味わいたくなる。

ぺろぺろと舐めている自分の顔はさぞ卑猥だろうと思った。

恐らく青年は私が劣情を丸出しにしてこの棒を味わうさまを刮目しているのだろう。

それを思うとまた私の下半身はじゅわっと濡れた。


ゆっくりと肉棒を口の中にすべて含んでいく。

口いっぱいになったものを、愛おしそうに自らの喉の底まで突かせに行く。

愛おしさのあまり深く突きすぎて嗚咽を吐きそうになりながらも、その苦痛さえ快感だった。

奥まで行って、先端まで戻る。それを宇宙の摂理のように繰り返していく。


「はぁぁぁぁ・・・・はぁぁぁぁ・・・あぁっぁっ・・・あぁっあっ・・・」

先端をねっとりと包み込んだ舌を複雑な動きで回していく。

ら・・・り・・る・・れ・・・ろ・・・発声出来たら多分そんな音だっただろう。

その後はすかさず全力で吸い上げながらじゅば、じゅば、と上下に素早く動かした。

じゅぶり、じゅぶり、ぴちゃぴちゃとひたすら夢中で頭を前後させてむさぼっていた。


「あぁっ・・・あぁっ・・・ああぁっ・・・・」

喘ぎ声の短くなった青年の興奮が伝わってきて意識せずに加速してしまった。

耐え切れない刺激に青年の手が私の頭を包みこんで、苦しそうだ。

いいよ、掴んで動かしていいよ・・・私は声にならない声で伝えた。

それを感じ取ったのか青年は遠慮がちだったのを止めて、ひたすら欲望のままに腰を振り、私の口の中を犯し始めた。

私の頭も劣情に真っ白にイってしまいそうになりながらひたすら肉棒を愛していた。

じゅぶじゅぶじゅぶと唾液と粘液の混じる音が響き、青年の声がそれに音階を与えた。


口の中に広がる塩気のある味が、青年がもう果てそうなのを伝えていた。

私は恍惚とした幸せに包まれて、ただ、青年が自分の中で果てることだけ望んでいた。


いいよ・・・最後まで行って・・・?私の口の中に全部出して・・・?

私、全部飲み込むから、一滴残らず飲み干すから・・・

私の喉の一番奥に、出していいよ・・・?ねえ、私に頂戴?お願い・・・


青年の手が私の頭を誘導するままに私たちの劣情はどんどん加速して、最高潮に達した。

彼は何か意味の分からない異国の言葉を呟きながら私の口の中で果てた。

びくんびくんと震える肉棒はいつまでも止まらないかのように何度も私の中に精液を吐き出した。

その果てのない快感にシンクロした私の身体も同時に絶頂してしまっていた。

口の中に溢れる甘くて苦い液体を飲み込むのが口惜しくて、舌の上で長いこと味わっていた。

これが・・・青年の味・・・。私は恍惚としながら飲み干した。


数分の余韻の後見上げると、切れ長の涼やかな目も私を見下ろしていた。

少し恨みがましそうな、寂しそうな、それでいて何もないような。

その漆黒に近い瞳の意味を考えながら見つめていると吸い込まれて戻れなくなりそうな錯覚に襲われて、時が止まる。

青年は、諦めたようなため息とともに体をかがめて私に高さを合わせると、私の唇に羽根が触れるようなキスをした。

読んでいただいてありがとうございました。

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