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相棒と世界最強  作者: だんちょー
35/43

35話 おら修行すっぞ!

 



「おーいピエロー!」


「どうかしましたか?というかいつになったらくじを引いてくださるのですか?」


「ん〜、まだ先かな」


 ピエロは人ではない、この悪魔の契約の執行人として生まれた生物。

 しかしピエロは人がやる仕草のように頭を抱えた。


(いくらでもいていいとは言いましたが…せいぜい一週間ほど悩んで決めるものではないのですか!?)


「そんなことより!ちょっとみててよ!」


 エクスは残った腕………壊滅的な剣の技術だった方でロギアを振る。


 鞘に収まった状態から抜刀


 それは綺麗な円を描き、扇形の軌跡が見えたかのようだった。


「…ほう。あれだけ酷かったナマクラが半年でこうも綺麗な剣筋になるとは、天晴れでございます」


「でしょ!?ここは寝なくていいし食べ物もいらないし!最高の修行環境だよ!」


 エクスはまだ子どもではあるが目を輝かせ、剣を振る姿は村にいた頃と何ら変わらなかった。


 ピエロはこの半年、休まずに剣を振る彼をずっとみてきた。

 黙々と必死に、だけれど楽しそうにする彼を止めなかった。


(人族というのはよくわからないですね)


 毎日、一度も休まず半年という期間、剣を振る胆力。

 こんな死ぬよりもきついことを心が壊れずに続けれる彼は、正真正銘の化け物。


 他の人族など数人しか会ったことはないがあれが人族の普通だったらどれだけ外界は化け物で溢れていることか。


(…ここに生まれてよかったですねぇ)


 ピエロは勘違いをしたまま、また剣を振り出すエクスを見てため息を吐いた。




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「おーいピエロー!」


「ここにおりますよ、どうかされましたか?」


「見ててよ!」


 エクスは前と同じようにロギアを握る。

 ただ鞘からはもう抜かれている。


【雷装雷魔】


 全身に均等に行き渡らせた雷。

 しかしそれは今までと違い、筋肉や脳、体の内側にまで微量纏わせていた。


 そして、剣を一回振ったエクス。


 ズザァァァ!!!


 3mほど離れたピエロの方に剣風が届くほど速く、力強い剣。


「…ほう。その一瞬で5回も斬ったのですか。凄まじい才能………いや、努力の結晶ですね。ブレもほとんどない。まさに神業の域……ではまく悪魔的と言った方がいいでしょうか」


 才能の一言で彼を褒めるのは2年、ずっと見てきた私のプライドが、思考が許さない。


 彼の頑張りを


 毎日剣を振り続けた彼を


 馬鹿にする発言などできようはずもない。




 ーーーってちゃうわああああああいっ!?!?!?



「なぜ私がッ!剣ソムリエみたくなってるんですか!?」


「え?違うの?」


「毎日貴方を見すぎて詳しくなっちゃっただけ!!!貴方いつまでここにいるんですか!?もう2年が経過しましたよ!?」


「だって勿体無いじゃん」


「なにが!?」


「老化もしない、お腹も減らない、寝なくていい、怪我もしない。一年たっても外は10秒ぐらいしか進んでないんでしょ?そんなの…修行するに決まってるじゃん」


「何度も言いますけど!ここは悪纏魔装の契約の場所ですからね!?早くくじを引いてください!」


「………やだけど?」


「んのおおおおおおおおおおッ!!!!」




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「おーいピエロー!」



「はいはい、なんですか。早くくじを引いてください」


「見ててよ!」


 エクスは雷装雷魔を発動し、



【チャージ】


【刺雷】


 それを全指、5本から出した。

 さらに足からも。


 走り回りながらでもジャンプした状態でもできるようになったその技は途中で軌道すら変えられる。



「…ほう。魔素の扱い方が尋常ではないほど優れていますね。まるで魔素と友人のような…親和性が伺える。軌道の変更はかなりの高難易度でランクlllでできる人は1人もいることはないでしょう」


「ふふふっ、今日もいい言葉をありがとう!」



 ーーーーちゃうやん


 もう剣じゃないじゃん。

 魔法でもないじゃん。

 魔素の親和性が伺えてもうてるやん。


 毎日見すぎて、魔素にも詳しくなってもうてるやん。


 ピエロは深い深いため息を吐き……


「もう3年が経過しましたが…そろそろ引いたらどうですか?」


「ん〜」


 エクスは珍しく考える素振りを見せた。

 これはチャンスと思いピエロはたたみかける。


「ほら、貴方はもう十分強い!それに外界では30秒という貴重な時間が経過しております!あなたの身近な人たちも心配することでしょう!」


「……もうちょっといる」


「早く出ていきなさい!」


「やだ」


「んんのぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!!!!!」




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「おーいピエロー!」


「おーい!」


「………あれ?」


 いつもは呼べばペットのようにやってくるのに今日はどこにもいない。


「………くじ引こうと思ったんだけど」


「ピエロはここにおりますよ♪」


 地面から現れた赤白の変な生物。


「………せこい」


 めちゃくちゃご機嫌な顔をしていた。


「思えば4年……長いようで長かったですね」


「……僕はまだいたい」


「いなくなると思うと少し寂しいですが、嬉しいが勝つので早く出ていきなさい」


「……最後に集大成見せてもいい?」


「いいですとも!」


「よし」


 エクスは集中を始め、魔素を操りだす。


【チャージ】【リリース】


 集めた雷を解放して、それを丸く…丸くボールのようにしていく。

 そしてそれを繰り返し、空中に留めたものと合体させていく。


「…ほう。雷が含んだ魔素を空気中の魔素で覆い暴発を防いでいるのですか。本当に凄まじい技術ですね…。素晴らしいです」


(まだまだ…!)


 繰り返されるチャージとリリース。


 空中に留めた雷は徐々に激しさを増していき、超高温のよくわからに物体が出来上がった。


「…なんですかねぇ、この嫌な予感は」


「見てて」


 エクスは刺雷をそのエネルギー向けて撃った。

 エネルギーに当たった瞬間、それは貫通し、超高密度の魔素エネルギーが出てきた。


 そしてそれは遥か遠くの空へと飛んでいき…………



 ちゅどぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおんッ!!!!


 大爆発を起こした。



「ひえぇぇぇぇぇええっ!?」



 それはもはや兵器。

 一個人が…それもランクlllが有してていい能力ではなかった。


 馬鹿馬鹿しい。

 これはランクVll以上の領域だった。


 ピエロの記憶には元々埋め込まれている知識がある。

 その中の一つに、


 魔素を自由に扱える者が古代魔法を会得した場合



 ーーーー・・・ランクの概念にそいつは当てはまらない



 そういった言葉があった。

 まさに目の前の男がそれ。


 ピエロは驚愕を隠せない。


 溜めがかなり必要で実戦では使えないかもしれないが、そんなのは弱点にすらならない。発動してしまえば…ランク上を確実に屠れる兵器。




☆☆☆☆☆→★★★★★

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