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相棒と世界最強  作者: だんちょー
34/43

34話 真実

 



「ここは…天国?」


『ちげェぞアホォ』


 さっきまでの重苦しい空気の奈落ではなく、光に溢れ、さまざまな色の花が一面に咲いたとても居心地のいい場所だった。


「こんなとこが奈落にあるなんて…」


『ヘルヘイムから行けるが、実際にあるわけじゃねぇ。ここは全く違う空間に存在するとこで悪魔しか通れねぇ場所だァ』


「そうなんだ。それで?腕はここと関係してるの?」


『あァ。まずはテメェの魔法について教えてやる』


 僕の魔法。


 それは雷装雷魔ではなく、もう一つの【悪纏魔装】のことだろう。


 魔法名からして、悪魔に関わりのある魔法だと思いつくが……どんな魔法なのだろうか。

 悪魔は最強種。

 ならそれに見合った力があるのだろうか。


 もしかしたら強すぎる魔法なのかも。

 空飛んだり、重力操れたりして。


『悪纏魔装はァ、正直言ってゴミだァ』


「……ほえ?」


 ロギアの言葉で僕の思考は一瞬で現実に戻り、次にやってきたのは落胆だった。


(まぁ、そりゃそうか。こんなに物事うまくいくはずない。ましてや雷装雷魔なんていうぶっ壊れな魔法があるんだ。これ以上はいらない)


 そう気持ちをすぐに持ち直したが…次のロギアの言葉でまた変わった。


『しかァし!悪纏魔装がゴミなのは悪魔がもういねぇからだァ。悪魔がいねぇとこの魔法は使えねぇ。だが、悪魔の存在を知り、身近にいるテメェの場合はァ、チート級に超つよパネェ!』


(…………当たり前だ。僕は主役だぞ?誰よりも我儘に生きるんだ。雷装雷魔にプラスで最強魔法の使い手なんだ。ぶっ壊れにぶっ壊れを重ねた超ぶっ壊れな強さ。それが欲しかった…!!)


「ところでチートってなに?」


『ん?まァ…違反してるぐらい強ぇってことだァ』


「そっか。そんなに強いんだ…」


『この魔法は悪魔の力を使える魔法だァ。悪魔のいねぇこの時代ではゴミ魔法だがァ、俺様の適合者で、さらにここに来れるオマエは世界で一番運がいいぜェ?なんてったって…』




 ーーーここは悪魔の墓場だからなァーーー




 周囲の景色が少し変わり、色とりどりの花と……目前には無数の墓があった。


「な…に…これ」


 見渡す限り、見える墓。

 全容を把握することは不可能だった。


『これァ全部悪魔の墓だァ。オマエのその魔法は生きてようが死んでようが関係ねぇ。そいつの真名とその悪魔が使っていた魔法の想像さえできちまえば、あとはテメェが創造できちまう…強すぎる魔法だァ』


 今からテメェにはここにある墓場を周ってもらう。墓石には名が刻まれてるからよォ。気に入ったやつの名を教えろ。

 そうすれば…俺様がそいつの使っていた魔法を教えてやれるぜェ。


 …そう言われても何か…死体漁りをこれからするみたいで乗り気にはなれなかった。

 それに


「…ここにいる全員の魔法を知ってるの?」


 ざっと見た感じ100ほどある。


『……知ってるぜェ。そこは気にするなァ。オマエはただ選べばいィ。……まずは強くなれ』


「…わかった」


 僕は歩く。


 ひたすら歩いた。


 歩いて、止まって、目を瞑り…黙祷をした。


 どうやって亡くなったのかはわからない。

 どんな悪魔だったのかも知らない。

 ロギアの話も本当のことなのか、それはわからない。

 けど、これだけ綺麗に整列された墓石。

 そして周囲に咲いた綺麗な花たち。


 悪魔という種族は名前だけ見れば良くない印象を持つけど、きっと素晴らしい種族だったんだと僕は思った。


 だから一つ一つ、丁寧に、




 ーーーどうか安らかにーーー




 そう願い僕は歩いた。


「…………」


 ロギアは何も言わない。

 どれだけ時間が経っても、止められることはなかった。


 そうして最後の一つ、


 その墓石には、


『バールノストレア』


 そう書かれていた。


「……ロギア起きてる?」


『剣が寝るかよォ…』


「決めたんだ。聞いてくれる?」


『あァ』


「僕は、ここにいる全員のことを知りたい。どんな悪魔だったのか、どんな魔法を使うのかはもちろん、性格なんかも知りたいなって思ったんだけど……まずはこの悪魔について教えてほしい」


『ヒヒャヒャヒャ!!そうかァ。全員知ったら全員の魔法が使えちまうなァ!クソ最強じゃねぇかァ。いいぜェ!いずれ教えてやる。まずはバールからだなァ……あいつの真名は…』




 ーーーBaellだァーーー




「……なんて…?……!?!?!」


 聞き取れなかったバールの真名。

 しかしそれを聞いた瞬間、全てが止まった。


「!?!?な、なんだこれ!!?」


 草花の風で揺れる音は無になり、全てが静止していた。


「ろ…ロギア!!聞こえてる!?!」


 返答はない。


「なんだよ…これ…」


 全てが止まっていた。


 真名を聞いてバールの魔法を教えてもらうはずだったのに…


「そぉれは違いますねぇ!!ご機嫌よう!悪魔の契約者様。これより、儀式を執り行います!」


 そいつは急に目前に現れた。

 体が白と赤に半分で分かれ変な帽子を被った人形のような存在。


「だ、だれ!?」


「私めはピエロでございます」


「ぴ、ピエロ?」


「そう!ピエロさんとでもお呼びください。今から悪纏魔装の契約を執り行いますのでよぉぉく聞いてください」


「わ、わかった」


「まずは説明を。悪纏魔装というのは悪魔の真名を知り、その悪魔の魔法を教えてもらうことで使えるようになる………というのが外界の真実です。しかし本当は、真名を知り、この空間で対価を支払うことで魔法が使えるようになるというものです。その対価は契約する悪魔によって違い、中には理不尽なほど対価を支払う場合もございます」


「目を臓器を心臓を脳みそを……。あなたの親御さんや身近な人はどう思うでしょう。そんな対価が必要な魔法など……。そのため外界との認識が少々異なっているのです。ここまでご理解いただけてますか?」


「う、うん。僕は対価を支払わないと魔法は使えないってことだよね?」


 つまりロギアが言ってたような全員の魔法なんてのは絶対に無理なんだ。


「おっしゃるとおりです」


 ピエロはどこから出したのか丸いボールに乗って歩いていた。


「今回、契約するのは大悪魔Baell。対価はおいくらでしょうねぇ……」


「大悪魔?」


「あれ。ご存知ないのですか?Baellはかの悪魔王と互角に渡り合える悪魔。悪魔界No.2ですよ?」


(…知らないっ!聞いてないっ!)


 ただなんとなくで選んだのが大悪魔だったというだけ。

 ロギアも何も言ってくれなかったし。


「豪運ですねぇ!さて対価の方も運が及ぶといいですねぇ!……ではこちらから一つお好きなものをお取りください」


 ピエロは空中に大きな箱を出現させた。


「これはくじです。番号が666まであり、引いた棒に書いてある数字で対価が決まります。なくなったものは二度と返ってきませんのでご了承ください」


「…わかった」


 これを引けば、悪魔の魔法が使えるようになる。

 でも対価が…どんなものかわからない。


 手を伸ばそうにも、なかなかくじを掴むことはなかった。



 ーーー僕は小心者だから。



 もし大きなものを失ったら?

 戦えなくなったら?


 そんな恐怖が背中にのしかかる。


「ゆっくりでいいですよ。ここは時が緩やかになった空間。何時間でも何日でも悩んでもらっても構いません。きっと、一度きりでしょうから」





☆☆☆☆☆→★★★★★

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