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相棒と世界最強  作者: だんちょー
11/43

11話 最強の力

 



「おっと……そろそろ体がモタねぇみてェだなァ。少し離脱するぜェ」


 大気が震えるほどの魔力を発した僕。


 地面を蹴ったら空まで飛んでいき……


 空気を蹴って斜め下に急降下する。


(びえぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!)


「ヒヒャヒャヒャヒャ!」



 もうなにが起きてるのかわからなかった。

 わからなかったけど、こいつが最高に強いことだけはわかった。


 地面が見えてきたと思ったらそこにはジャイアントシープがいた。


 ジャイアントシープはランクllの魔物。

 オークよりも強い魔物だった。


 ・・・・それが着地の衝撃で絶命



「ひゅ〜♪ 夜飯ゲットだなァ?」


 出鱈目に強すぎて…理不尽すぎて…



 ーーー憧れた



 ただ、その言動は本当に気に入らなかった。

 軽薄そうで頭のおかしな話し方。

 動きもなんか気持ち悪かった。


 できれば僕の体でそういう話し方はしないでほしい。


「これ以上は体が壊れちまうからなァ。変わるぞォ?」


 そう言うと、僕の中にあった黒剣の思考や何かが抜けた。


 体の感覚が戻り始めた瞬間


 激痛が走った。


「い……ッっ……っ!!!?????」


 叫べないぐらい、体中が痛すぎて、呼吸も忘れるほどだった。


『カラダができてねぇからなァ。しょうがねェ代償だと思っとけェ。ゆっくり深呼吸しろォ?反動で死ぬとか情けねぇことしたらぶっ殺すぞォ?』


 (そんな……理不尽な…っ…!)


 パニックに陥ったがなんとか呼吸を整えることができた。

 しかし体は一向に動かすことができない。


『丸一日ぐらいはそのままだなァ。もう眠テェだろ?ゆっくり休めヤぁ。魔物がこねェようにしてやるからヨォ』


 確かに…。

 体中痛いけど、どうしてか眠い。

 でも、まだ言えてなかった。


 眠る前に……一言…だけ。


「あ…りが…と…」


『おうよォ』




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




 フフフ……ふひッ!!


 ヒヒャッ……ヒヒャヒャヒャヒャヒャ!!!!!


 そいつは、笑いを堪えていた。

 ずっと。ずっと。ずっと。


 運命の出会い…いや。


 悪魔的な出会いをしたことで可能性が現れた。


 あの戦い以来、この世界はゴミの支配する領域になった。

 それからの人々は皆、ゴミの気を発するようになり、胸糞悪い時代がやってきた。


 人々は縛られる。

 あいつらによって。


 ランクXには至れなくなる。

 あいつらのせいで。


 だがそれがどうだ?


 目の前に、一切のゴミの気を持ってない奴がいるじゃねぇか。

 こいつなら、



 ーーー天使を殺せる




『…潰させねぇし折らせねぇ。……ゴミが気づく前にこいつを強くしねぇとなァ。 ヒヒャッ!!!魔力を放出して良かったぜェ……!!気付いたやつらは必ずここに集まって来るぜぇッ!!可能性を感じろォ?オマエらは……こいつの食いもんだ』


 何千年と待った己の目的のために、今度は出来る限りのことをする。




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「ねぇ〜お姉ちゃんもう飽きちゃったんだけどぉ?

 ……いつまでこいつ倒せないでいるの?それが本気なの?全力出してるの?リミッターは解除した?脳みそ振り絞って考えた?最善策を思い浮かべた?動きを意識してるの?もっと極限まで……集中しなよ?ちんたらしてる暇はないんだよ?それでも私の弟子なの?ねぇ?聞いてるの?戦ってても返事ぐらいしないと。常識だよね?なんで死にそうになってるの?もっとできるよね?できないはずないよね?私の弟子だよ?私が認めたんだよ?間違ってるはずないよね?……はやくしろッ!」


 ビクッ。


 少女は目前にいる敵に圧倒されていた。


 飛竜

 ランクl Vの魔物。

 その鱗はとても硬く、物理も魔法も通しづらい。

 空を自由自在に飛び、その口から放たれる炎は500°を超える。

 そして爪には猛毒があり……

 注意する点がありすぎて、本来は1人で戦う魔物ではない。


 ましてや同格のランクlVでは歯が立たないのに。


 しかし彼女は戦った。

 少しでも早く、強くなりたかったから。


 誰のためでもなく、自分のために。

 剣が好きだった。戦うのが面白かった。

 それと…


 綴り書に出てくる彼女の強さに魅せられた。


 いつかぶっ飛ばしたいと今でも思っている。

 でもまだまだ先。

 いつかがすぐに来ることはない。

 それまで私は、この人類最強に指示を仰ぐ。


「!????」


 飛竜がものすごい勢いで吹っ飛び、岩山にぶつかって潰れた。


 ああ。私はこの人を怒らせてしまった。

 今回ばかりは…死ぬかもしれない。


 以前、達成できなかった訓練があった。


 私の弱点の克服。

 筋力とその持続力だ。


 あまりにも過酷で無謀すぎる訓練に私は一度心が折れかけた。


 しかし、その「心が折れる」よりも膨大な恐怖を味わって上書きをされた。


 …思い出すだけで体が震える。


 …今回はそれと同等か


 もっと最悪なことが起こるかもしれない。


「はは……」


 怒りすぎてもはや笑うしかないのだろう。


「きた……」


 ??

 意を決して師匠に視線を向けた。


 師匠は師匠じゃなかった。

 いつものだらしない姿でも狂気じみた姿でもない。

 まるで恋する乙女のような顔をしていた。

 顔は耳まで赤くなり、キャーキャー叫んでいる。


 なにが起きたのだろう。

 初めて見る師匠に困惑した。


「ははははっ!!!!すごい…!!すごいよ…!誰!?!?君は誰なんだ!?!?この気……遠くてもわかる……!!」




 ーーーあそこだーーー




 ゼロ…あらためレイシアは生まれて初めて、本気を出した。


 魔力の解放で大気は揺れ、蹴った地面はひび割れて大陥没を起こした。

 周囲にいる動物や虫はその気に当てられただけで絶命するほど。



 向かう先は、冒険者の街。



 超高速で移動するため周りのものは衝撃波で破壊されていく。

 途中にある民家もお構いなし。

 とにかくまっすぐに突っ切っていった。



 まだ夢の途中。

 私は ランクXになるんだ。


 そのためならどんな犠牲もいとわない


「私に…その力をよこせ…!」


 このペースでも3日かかることが嘆かわしいほどに気分は高まっていた。


 そして…何が何だかわからずに取り残された彼女は…。


 目前に広がる衝撃波の痕を見て、再度確信した。

 あの人の強さは本物だと。


 彼女は、師匠を追いかけることを決めた。


 また出会う。


 ランクl Vの少女と能無し。


 一度は勝敗が決した2人。

 進んだものと、進めなかったもの。


 2人の運命が交わるのは


 もうすぐだ。




☆☆☆☆☆→★★★★★

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