第08話
はじめまして、火野陽登と申します。
至らぬ点もあるかと思いますが宜しくお願い致します。
小説投稿サイト【カクヨム】にて同名で投稿しております。他にも色々と謎の文字列どもを投稿しております。
素人の拙い作文ですが、もしご興味あればお越しいただけると幸いです。
お忙しいと思いますのでホントにお時間可能な限りで結構です。
いやもうホント、私のしょーもない謎の文字列を読むくらいなら、作った折り鶴に片端から制汗スプレーをかけ続けていた方が幾分マシかと思いますが………もし「それでもいいよ」と仰って下さる貴徳な方がおられましたら、下記URLより御一読いただけると幸いです。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
⇒【カクヨム】
https://kakuyomu.jp/users/hino-haruto
「その”面接に受かる才能”はおいくらですか?」
俺はカウンターの上に置かれている透明包装入りのカプセル剤を指差した。
「はい。税込み価格32,400円となります」
「さ、さんまんえん⁉」
予想外の価格に俺は思わず立ち上がった。てっきり”折り鶴”の時と同じように数千円程度かと思っていたのに。
「そ、そんな大金…」
「左様で御座いますか。こちらの才能はとても稀有で人気でしたので、次回の入荷予定も御座いませんが?」
言われて俺は椅子に座りなおした。
そして考える。
確かに”面接に受かる才能”なんて、今の世の中なら欲しい人は沢山いるだろう。
「かといって三万円は…」
とうとう俺は腕を組んで「う~ん」と悩みだした。
「よろしければ、お客様。お客様が今お持ちになられている才能と、こちらの才能をお取り替えさせて頂くのは如何でしょう?」
「とりかえ?」
「はい。こちらの”面接に受かる才能”の販売価格と同程度になるよう、お客様の才能を買い取りさせて頂きます。この方法であれば、実質的にお支払いになられる金額は無料となります」
なるほど、下取りみたいなことか。
どうせ俺にロクな才能なんて無いだろうから、一つ二つ無くなったところで変わりはしないさ。
「じゃあ、その取り替えでお願いします」
女はニコリと微笑んだ。
「では、御手を失礼いたします」
言われて右手を差し出すと、女はその手を白い指で優しく包む。
背筋に微かな寒気が走り、なんとなく肌がヒリつく。
前回より長く手を握られたかと思えば、女はカウンター下からバインダーを取り出し、挟んでいる用紙にペンを走らせた。
”パーカーを上手く着る才能” … 3,800円
”誤魔化しの才能” … 9,800円
”酒に酔いにくい才能” … 6,200円
”卓球の才能(高校レベル)” … 12,000円
「以上4点の才能で合計31,800円で御座います。不足分は、こちらが勉強させて頂きます」
女の透き通るような声。だが俺は気もそぞろ。カウンター上の用紙に視線が釘付けだった。
「俺に卓球の才能なんてあったんですか?」
「ええ。お客様、学生時代にスポーツかなにか?」
「あ、はい。中高と6年間卓球を…」
「素晴らしい! その時に才能が培われたのですね!」
女はオーバーな程に驚いてみせた。
だが悪い気はしない。少しだけ気持ちが上擦った。
「才能って、育てるようなものなんですか?」
「はい。先天的な才能もございますが、後天的に培われるものが殆どです」
「そうなんですか…」
もしあのまま卓球を続けていたら、俺も今頃オリンピックとかに…。
「もっとも、プロになられるような方は先天的な才能も後天的な才能も持ち合わせていらっしゃいますが」
「……」
人の夢というのは、なんとも本当に儚いものだな…。
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