07 決め時
「最後の最後に厄介な」
憎々しげにつぶやく院長の顔は先程までの取り繕ったものでは無い、旅の荒事中に良く見受けられる犯罪者面。
「そういうことか」
思慮は浅いが場数だけは踏んでいる私、先程向けられた怪しげな視線は警戒するに充分で準備はすでに万端。
そのにやけ面に叩き込んでくれると槍を構えようとすると、
「周りを良く見てみろ」
にたりと笑う院長、成る程余裕がある訳だ。
広間の上、踊り場に伏せていたのは弓使い複数。
入り口を塞ぐように荒くれ者多数。
「これからはここを根城と呼んだ手下がこれほど早く役立つとはな」
しゃらくせえ、
数を頼みの悪漢に遅れを取ったのは過去のこと、
新生チームモノカを舐めるなよ。
例えリーダーが過去にいろいろやらかしていても、やるべきことは阿吽で分かる。
「全員、外に!」
まずはアイネさん、訓練通りの掛け声。
弓で撃つは天井、射るはアリシエラさん謹製の閃光矢。
目を伏せていた私たちはそれぞれの役目を。
私は倒れていたミスキさんを背負い、
ノルシェは腰を抜かしていた老神官を背負い、
アイネさんはマクラを背負い、
全員一丸となって混乱していた入り口の連中を突破。
表に出さえすればこちらのもの。
有象無象が何人来ようが我らがオーバーテクノロジーの前に平伏すが良い。
あれこそがチームモノカの正義と誇りの結晶、
そして今っ、幌馬車に向かって大きく叫ぶっ!
「シブマ1号、バトルモードッ!」
静まりかえった戦場。
微動だにせぬ幌馬車、
微動だにせぬ敵味方一同、
ただただ赤面し、立ち尽くすのみの私。
穴があったら召喚されたい。