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勇者になりたい魔王様   作者: 神無月仏滅
2/16

1.努力の方向性は間違っていなかった、筈

 一応次の話も書きあがってはいますが、書き溜めとかしてないんで次の話投稿したら少し期間あくかも。

 次の投稿は明後日。

 もう少し書き溜めてから投稿したかったけど、そしたら勢いが冷めてやる気なくなりそうだったんで尻に火を付ける気持ちで投稿。


 きっかけといっても、それ自体は単純な理由だった。

 子供の頃、勇者に命を救われました。憧れました。

 この二言で終わる。


 これだけ言えば、よくあること、とまでは言わないが、割と平凡な理由と言えるだろう。

 少年が特殊だったのは、抱いた憧れに対し、実現するための道筋を考えるだけの熱意と思考力があり、同時に死ぬ危険があるような無茶を平然と行える程度に、頭のねじが外れていたことだろう。


 勇者に憧れたその日から、少年はまず強くなろうと訓練を始めた。

 体を鍛え、魔法を学び、魔物と戦い実戦経験を積む。

 言葉にすれば簡単に聞こえるが、訓練の密度は傍から見たら異常の一言。

 

 強くなるためには死の緊張感が必要。その考えの下考えられた訓練は、一歩間違えば死ぬようなものばかり。

 

 バランス感覚を鍛えるため、崖の上を綱渡り。

 重しを体に括り付けて寒中水泳。

 魔法耐性を身に着けるため、自分で自分に魔法攻撃。

 実戦経験を積むため、食料も持たず、自分より強い魔物が蔓延る土地へ山籠もり。


 なんで生きてんの? と言いたくなるような訓練内容のオンパレードだが、その点少年は自分の限界を見切るのが上手かった。

 死ぬかもしれない。けどちゃんとやれば生き残れる。そんな境界線をきちんと見極めていた。


 ある程度実力をつけると、次に少年は考えた。

 勇者として相応しい行動とは何だろうかと。

 少年の知る勇者と言えば、幼き日に助けてもらった勇者だけだ。

 よって少年にとっては、勇者=なんか強くて、困っている人を助ける人。という、漠然とした認識しか持たなかった。

 

 これではいけないと思った少年は、古今東西の勇者に関する書物を読み漁った。

 修行もかねて諸国を巡り、少年は自分なりに理想の勇者像を構築するに至ったのだが、


「なるほど、勇者たるもの相手が魔族でなく、人間の貴族や国王でも相手が悪なら倒すのか」


 このあたり、伝記ばかりでなく絵本などの創作物すら参考にした結果、少しばかり過激な常識が身についてしまった。


「人間にも魔族にも、良いやつ悪いやつがいる。魔族だからって倒さなきゃいけないわけじゃないってことだな」


 間違ってはいない。間違ってはいないが、その考えは人によっては異端と問われる考え方だった。


 

 ここで一度、話はずれるがこの世界の種族について話しておこう。


 まず、この世界には人間以外に、魔族と呼ばれる種族が存在する。

 魔族というのは、一言で言うならば人間以外の異形の種族だ。魔力の扱いに優れ、複数の動物が混ざったような特殊な外見をした生物達。

 特に理性の無い魔獣の類は魔物と呼称され、人に近い姿をしたものは亜人や魔人と呼称されることもある。

 広義的な意味では、魔族=異形の総称なわけだが、獣の姿をしたまま知性を獲得したような種族も存在するので、世間的には魔族=知性を持つ異形。魔物=知性の無い魔獣で呼び分けされてたりする。


 

 さて、この魔族と人間との関係性だが、はっきり言って険悪な関係だ。

 人間の多くは魔族を恐れているし、魔族の方は人間を下等とみる者が多くいる。

 勿論全ての人間、魔族がそうだというわけではないが世間一般の認識としては人類と魔族は敵対する関係にある。


 さて、ここで話が戻る。

 少年は人の身でありながら、魔族を、魔族だからという理由で敵視するようなことはなく、人間と同列の存在であると認識してしまった。

 

 結果、少年は勇者を目指す上で、人と同様に魔族も守るべき対象とみなした。


 それからは、まぁ色々とやらかした。

 

 時には奴隷商に売られる魔族を助け。

 時には希少な薬剤の材料になるからと狙われる魔族を助け。

 時には理由もなく迫害される魔族を助けた。


 繰り返し説明するが、世間一般の認識として魔族は人類の敵だ。

 そんな存在を助けるような者が、人々の目にどう映るかは考えるまでもないだろう。

 

 少年が助けた者の中には魔族ばかりでなく人間も多くいたが、いかんせん彼は救った数以上に、多くの社会的強者を敵に回してしまった。



 結果、少年、ヴァルゼルドは懸賞金をかけられるまでに至り、お尋ね者になってしまったのだった。

 






 

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