表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

Vendetta.1 幼馴染

「薬草取り?」

「うん。 この籠一杯に」

「うへぇ⋯⋯」


 先ほど母さんから言い渡された事を伝えると、目の前の少女はゲンナリした顔を隠さず、大袈裟な動作で首を振る。

 この子がヨゥちゃん。明るい緑髪を肩にかかる程度に伸ばす、平均より小さめな女の子だ⋯⋯色々と。


「ユウ、何か失礼なこと考えてない?」

「うぇ!? ⋯⋯なんで?」

「頭の上と胸の辺りを交互に見やる視線が根拠」


 しまった。考え事が視線に現れていたか。


「や、やだなぁヨゥちゃん。今更そんなところ見るわけないじゃない」

「今更?」


 墓穴ッ! 要らない単語が彼女の怒りに火をつけ、僕の寿命を削っていく!

 くぅ⋯⋯こうなれば致し方無し。惚けられないなら対応方法を変えるまで!


「⋯⋯だ、大丈夫! ヨゥちゃんまだ成長期だし! これからグングン大きくなるよ!」

「⋯⋯ホント?」


 僕もヨゥちゃんもまだまだ15歳。これからが成長期本番だし、希望はあるよね。


「ホントホント! 僕がヨゥちゃんに嘘ついた事ある?」

「ある」


 うはー即答。そこは多少目を瞑ってくれても良いじゃん。


「うーん⋯⋯どうしたものか」

「じゃあ責任」

「えっ?」

「大きくならなかったら責任とって」


 責任って何だ? 責任とって大きくしろと?


「えっと⋯⋯ごめん聞いて良いかな?」

「どうぞ」

「責任ってどういう⋯⋯」

「お、お嫁さん⋯⋯」

「えっ?」

「だから、大きくならなかったらお嫁さんにして」


 何という事だ。幼馴染が許嫁にジョブチェンジしてしまった。いや、別に嫌なわけじゃないし、ヨゥちゃん可愛いからむしろありがとうございますって言うか⋯⋯あれ? という事は僕は彼女が大きくならない様に願ったほうがいいのか? んんん?


「ユウ?」

「⋯⋯わかったよ」

「ホント?」

「ホントホント」

「⋯⋯んふふ〜」


 僕がそう答えると彼女はあからさまに嬉しそうな顔をし、くるくる回りながら怪しい笑い声をあげる。

 一頻り笑い回った彼女は不意に動きをピタリと止め、僕の顔を見て言う。


「早速薬草取りに、行く?」

「うん。よろしくねヨゥちゃん」

「お任せ侍〜」


 そう言い村の裏の森へ歩き出すヨゥちゃんの後を追い、僕も歩き出すのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ