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残すものと作るもの



店の建設はグスタフに任せた。

建材さえ置いておけばなんとかしてくれる。

足が悪い人間はジェイソンの所で燻製作りに取りかかってもらっている。

捌いたりなんだりは座りながらでもできるから。

昨日は立っていたのに。



筋力か骨の問題か?

プロテインでも支給しようかな?



俺は蛇籠を出している。

それをみんなが針金でくっつけて、俺がそこに石を入れていく。

4kmは長いが、道路より面倒臭くない。

みんなも針金で籠同士をくっつけるだけだしね。

長屋の女性陣でもできる。



石を入れた蛇籠は、動かせないほど重く、頑丈だ。

後でセメントでコーティングすれば、2mと言えど壊せないだろう。



蛇籠は1日で出し終わる。

ポールに沿って歩くだけだ。

番線も人数がいるので1日2km以上進むことができる。



「ミヤジマ様。この塀はこの高さでよろしいのですか? 乗り越えられると思うのですが………」


「ザジか。別に乗り越えてもいいだろ? 魔物が来なければ問題ない。この辺にいるのはゴブリンとコボルトとたまにオークが出るくらいだ。それにこの上にはトゲ付きの針金を後で設置していく」


「ホッホッホ。ザジ殿は心配性ですな。乗り越えてきたら倒せば良いのです」


「セバスチャン殿まで………」


「ザジも住んでいれば分かるさ」



番線はザジに任せて、俺とセバスチャンは湖の建設を見に行く。

丁度基礎の砂利を入れているところのようだ。

俺が収納から砂利を埋めてやる。



「「すげぇ………」」



今建てているのは食品店、パン屋、酒屋の3つ。

先に食品関係を終わらせるつもりなのだ。



女性陣の仕事を先に作っておかないと、力仕事ができない人間が手持ち無沙汰になってしまう。

作ると言っても平屋の店舗なので時間もかからないのだが。



食品店は裏に作業場を置いて、組合から卸した肉を細かく分けたり、泥を洗ったりする。

パン屋も大きな釜戸が必要になるし、酒屋は冷やす装置が必要だ。



冷蔵庫は無理か。

しかも業務用になるしな。

流水を流し続けるとしよう。




家に帰って、地図を見ながら計画を立てる。

将来的に、酒以外はここで生産したい。

じゃないとここから動けなくなっちゃうしな。



後々全部組合に丸投げできればいいかな。

食と住は先に作ってしまえば、後は残った人間でなんとかしていくだろう。



問題は衣類だな。

全部俺が賄うわけにもいかない。

想像してた足踏みの機織りは無かったが、手動の小型機織り機が売っていたので購入。

これなら木製だしこれからも使っていけるな。



「遊び終わったら片付けないとな」


「難儀じゃなぁ。温水と明かりしか提供せんのはそれが理由か」


「家では好きにするけどね。元々俺の隠居が目的だし、死んだ後は組合に投げるさ」


「子供たちはどうするんじゃ?」


「それまでには大きくなる。いつまでも今は教育に力を入れとけば問題ない」


「死ぬとしたら私が先でしょうな」


「死ななそうだな。セバスチャン」


「こやつが一番長生きしそうじゃ」




翌日も店舗の建設を進める。

こっちも人数いるし、バリバリ進むな。

建物は直ぐ完成する。

後は中の設備だな。



俺は横で工務店の土台を作っている。

これからは、ここで道具作りや建設を任せるつもりだ。

重機の運転も教えないとな。



塀が固定し終わったそうだ。

呼ばれたので向かい、石を詰めていく。

出す量の感覚が掴めれば、一瞬で終わるのだが、落下の勢いが良すぎて下の石が割れてしまう。



「蛇籠も整備は簡単だし、良ければ100年ぐらい持ってくれるかもな」


「そんなに持つんですか?」


「この外に壁を作って、木を植えれば、それが根を張ってより強固になる」


「どうやって壁を作るんです?」


「コンクリートだ。家の土間になってるやつだな。塀を高くしたかったら、両側をコンクリートで固めてからだ。じゃないと歪んで落ちてきそうで怖い。なんだったらこのまま弦植物でも根元に植えてもいいんじゃないか? こんな塀元々必要無いぐらいここは自然だらけなんだ。魔物さえいなければ塀すらいらない」



セバスチャンがいる間は暗殺なんて怖くないし、その頃には落ち着いてるだろ。

俺の時代が終われば冒険者組合。

組合に喧嘩売るバカがいたとして、どうやって勝利するんだ?

自分の国から冒険者がいなくなるぞ。



塀は子供たちを安全に遊ばせるケージみたいなもんだ。

ゴブリンやコボルトさえ入ってこなければいい。

組合ができた今、魔物すら見なくなったが。



機織り機は女性たちに好評だった。

麻糸もブロンズ商会に卸している。

布にすれば買い取ってもらえるそうだぞ。

暇潰しにどうぞ。



秋までに、建設関係は終わらせたい。

このペースならすぐにでも終わるだろう。

そこから、塀の外に畑作りを行う。

冬の間に土作りを行い、来年の春から作物を育て始める。

そこでは、小麦や大豆も育てる予定だ。

米も育てよう。



ケビンはもう、秋植えの大豆を準備している。

下の村にも大豆を育てさせるようだ。

抜かりがない。



組合から連絡が入った。

新しい魔道具が手に入ったようだ。

確認しに行こう。



今度は風の魔道具のようだ。

円筒型の魔道具で、魔石を嵌めると風が出るらしい。

何に使うの?

ドライヤー?



魔石を嵌めてみたが、口で吹いたぐらいの風しか出てこない。

これも弄られてるようだ。

しかも光らないから模様も分からない。



どうしようか。



一度分解して、書かれている模様を書き写してみる。

ここからどう削ったらいいか。



模様を上にして、起動してみる。

そこに水を垂らしてみると、風で移動する。

いいかも知れない。



模様の周りをボンドで固めて、水を薄く張る。

起動してみると、模様の形が浮かび上がってきた。

それを新しく書き写して、もう一度起動する。



おお!!

ドライヤーぐらいの風量になった。

しかもこっちの方が多分持続力も上がっているはずだ。



模様をもう一度見ると、光の魔道具と同じような場所がある。

もしかして同じ意味が入っているのだろうか?

2つをノートに書いて見比べてみる。



やはり模様の右が同じだ。

模様の左と右で別々なのかもしれない。

左左と右右で起動してみる。

なんの反応もない。



左左右。

模様が光りながら送風を開始した。



成功だ!!

新しい意味不明の魔道具を作りあげたぞ!!



皆さん、顔を照らしてくれるドライヤー買いませんか?

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