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移住者



移住者たちがやってきました。

総勢86名33組。



「皆さん!!先にしばらく泊まる場所に案内しますので、ついてきてください!!」



冒険者に建てさせたテントに案内して、それぞれ荷物を片付けさせる。

さすが元冒険者だ。

行動が早くてこちらも助かる。



炊事場や公衆トイレを案内して、そのまま広場に移動する。



「ご紹介が遅れました。この国の王、ケン・ミヤジマです。どうぞよろしく」



まあざわざわするよね。

案内していたのが王様なんだから。

今日はこれで一応終了して、みんなには湖を探索してもらう。

子供たちがガイドを務めてくれる。



「国王陛下、今回は全員を受け入れていただきありがとうございます。みんなを取りまとめているザジと申します」


「よろしくザジさん。あと、俺のことは国王陛下なんて呼ばなくていいよ」


「ではミヤジマ様とお呼びすることに致します。それで、明日からの予定についてなのですが」


「明日からは取り敢えずみんなの家の建設だね。基礎はできてるから、上物の建設と、水道、下水の設置なんかもやっていくことになるよ」


「家を頂けるのですか!? てっきりあのテントに住むものだと思っていました」


「それじゃあ冬寒いでしょうよ」


「私たちは皆、職にあぶれてスラムに落ちた者たちです。家族ができて引退したはいいものの、職も見当たらず、冒険者も体力的に難しいので、組合から掃除夫なんかの仕事を回してもらっていたのです。寝るところがあるだけで十分ありがたいのです」


「狭いかも知れないけどちゃんと家は準備するよ。仕事も準備するつもりだしね。希望と特技は集めてくれてるんでしょ?」


「はい。組合に届け出ています」


「じゃあ後で確認しとく。取り敢えず俺は飯の準備するから、また後で」


「かしこまりました。ありがとうございます」



炊事場に行ってみんなの食事を準備する。

明日からは自分で作ってもらうが、今日は湖周辺を見てもらうために俺が作る。

家の女性陣にもでばってもらい、肉を焼いてもらう。



俺はスープ作り。

具はたくさん入れておいてあげよう。

移動で疲れてるだろうし、栄養があるものがいいだろう。

ここはやっぱりトマトコンソメスープだな。



人参、じゃがいも、かぶ、玉ねぎ、ウインナー、鶏肉。

具はこれぐらいでいいだろう。

パンが進むように胡椒、唐辛子も少し入れてパンチをだす。



肉もガッツリ食べてもらって、明日からバリバリ働いてもらおう。

いや、移動に何日もかけてるんだ。

明日は軽くで終わりにしよう。



組合から馬車代以外使わなかったからとお金が返されたので、みんなの服を買っていく。

新品の服なんてと言われたが、逆に中古が買えないので我慢してもらう。

子供服はサイズが分からないので本人たちに出てきてもらった。

服と一緒にお菓子もあげちゃう。



「こんなに良くしていただいてもいいのでしょうか?」


「気にすんな、金なら持ってる。むしろ減らなくて困ってる」


「そんなにですか………」


「この前戦争にも勝ったし増えていく一方だ」


「あの噂は本当だったのですね………」



俺が給仕をするとみんなが引くというので、セバスチャンにお願いした。

飯を食いながらでも、必要そうな物を購入してはみんなに配っていく。

歯ブラシやタオルなんかもそうだし、テント使うマットや毛布なんかも必要だろう。

購入してはうちの子たちが配っていく。



「ありがとうね。君たちも親御さんが冒険者だったのかい?」


「僕たちは違います。孤児だったところを助けてもらって、今はケンさんと一緒に暮らしています」


「そうなのかい………。いい人なんだね………」


「優しいし料理も得意ですよ!! 今日のスープもケンさんが作りました!!」


「そんなことまで………」



俺は、怪我で引退した冒険者なんかに車椅子や松葉杖を渡したり、腰のサポーターなんかを渡したりしている。

義足はさすがに売ってないか………。



「グスタフ。彼なんだが、こう太ももに固定する形で義足作れないか? 取り敢えず立てればいい」


「立つだけじゃったら作れないこともない。曲がる必要もないし、歩く時は松葉杖と併用すれば歩けるじゃろう」


「じゃあ頼んだ。彼と相談して作ってくれ」



翌日、ジェイソンが見せてきた義足は、松葉杖をそのまま改造して、太ももに固定できるようにしたもの。

本人も喜んでくれて良かった。



今日はこれから建設予定地にみんなを案内する。

場所はキャンプ場から少し入った所。

25mの基礎が4つ既に並んでいて、後は上物を作っていくだけ。



みんなに柱を立ててもらいながら先に骨組みを完成させてしまう。

そこらへんはグスタフに任せよう。

俺は水道を引くためのタンクを設置する高台作りだ。



鉄筋を埋めたコンクリートの箱を作り、中を大きめの石と細かい砂利で埋めた、高さ5mほどの台。

みんなに鉄筋を針金で網条に固定してもらい、合板で作った壁にコンクリートを流していく。

まずは2mだけ。



そこに石と砂利を詰めて、その上にまた箱を作ってもらう。

後々整備を考えて今回は段々にした。

コンクリートの固まる時間を考えても、1日でできる予定だ。

1段目を作って昼御飯を食べ、中を埋めて2段目を作る。

少しコンクリートが固まる時間が空くので、ここまで水を引くパイプを支える台をみんなで作っていく。



見張り台の応用で足回りをコンクリートで固めた長い脚立を立てるだけ。

それを2つ作って3段目を作る。

パイプは明日引く予定だ。



「1日でこんなものを作れるなんて………」


「まあ運んだりしなくていいからな。普通だったら3日以上はかかると思うぞ。じゃなかったら俺必要ないしな」


「王様が建築やなんかをやっているのはそのためなんですね………」


「王様って言われても国民はお前ら入れて170人ぐらいだぞ。村長ぐらいの規模だな」


「その規模で独立する方がすごいです」


「管理が楽でいいぞ。めんどくさいこともないし、法律も税金もないからな」


「………どうやって経営してるんですか?」


「個人的な商売だ。後賠償金」


「意味が分かりません」



安心しろ。

俺も分からん。

未だに増えていく一方だし。



長屋予定地に戻ると、既に屋根まで完成していた。

お前らも大概だな。

まあ長屋だしね。

取り敢えず全員集める。



「今から家の割り振りを決める!! 喧嘩すんなよ!! 取り敢えず21人ずつ4つに分かれろ!!」



86人だ21人と22人がそれぞれ2つになるはずなので、大きな家族を先に埋めて、残数を細かい数で埋めていく。

それぞれを各長屋に配置、大きい家族は2つ分、1人2人の所は1つ分。

長屋3mで8つに区切って分配していく残った1mは共同シャワーをそれぞれ4つ設置する予定だ。



割り振った部屋に名前をチョークで書いてもらい、今日は終了。

長屋の女性陣が料理を作っているので今日はそのまま家に帰って食事だ。



「なあ。この国来て畑見たか?」


「王様の家の裏に小さいのが1つあったぞ」


「この人数だぞ? 足りないだろ………」


「………じゃあ昨日今日の食材ってどこから来たんだ? 宿まであるぞ?」


「………王様が出してたな」


「考えるのはやめよう」



みんなで明日からの予定を確認する。

空いてるのは俺とセバスチャンとグスタフ、それに子供たち。

明日から長屋の子供たちも一緒に授業を受ける予定だ。

学力が追い付くまではうちの子がみんなに勉強を教えてくれることになっている。

うちの子はやさしいな。



「ねぇ? みんなは将来何になりたい?」


「僕は兵士になりたいです!! ここのみんなを守れるくらい強い兵士に!!」


「僕は商人になりたい!!」


「僕も兵士になりたいです」


「僕は料理人になりたいです」


「私は宿屋!!」


「わたしはメイドさんがいい!!」


「ロビン君とエリーちゃんは?」


「僕は冒険者になりたいです」


「私も宿屋で働きたい」



モンケとフランが兵士、ピットは商人、ベアは料理人、ロビン君は冒険者、リリーとエリーは宿屋、アマンダはメイドか。



「モンケ、フラン。うちの兵士は普段雑用とドカタだぞ。一応兵士以外にやりたいことも考えておいてくれ」



うちに兵士だけの人間いないしな。

大体が仕事していてサブが戦闘要員だ。

むしろピットやベアもそのうち戦闘要員になる可能性もある。



取り敢えず今のうちからそれぞれ大人につけて、一回職業体験させてみるのもいいだろう。

やってみたらやりたいことと違ったなんてこともあるしね。



ベアとリリー、エリーはおやっさん。

アマンダはセバスチャン。

ピットはポアソン。

モンケとフランはいろいろやらせてみよう。

ロビン君はどうしようかな?

冒険者登録は15歳からだし。



双子にも聞いてみよう。

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