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魔笛


「ミヤジマ教授の総回診の時間です」


「は?」


「容態は?」


「まだ目覚めてないが、呼吸も深くなった。大丈夫だと思う」


「ならよかった。次からはあんまり無茶すんなよ」



組合に行って結果を報告。

ついでに医務の担当者も早く寄越すように言っておく。



「すみません。本部に伝えておきます。後引退した冒険者のことなんですけど………」


「なんだ? もう来たのか?」


「いえ、応募が多くて………。何人受け入れられるか聞いてほしいと」


「どれぐらい応募が来たんだ?」


「引退者と家族合わせて80名ほどです。本部は20名ほどに絞るつもりらしいですが」


「テントで良いなら全員受け入れるぞ? 取り敢えず建築とかの仕事になるがな」


「80名全員ですか!?」


「問題無いだろ。8万f渡しておくから引っ越しやらなんやらは組合に任せる。一応全員のやりたいことと得意なことだけまとめておいてくれ」


「直ぐに手配します!!」


「医務員忘れんなよ」



80か。

開墾しないとな。



「グスタフ!! 仕事だ!!」


「よし来た!!」



水の関係上、あまり遠くにはできない。

飲み水を引いている川と湖の間にどうしてもなってしまう。

新しいタンクも設置しないとな。



取り敢えずグスタフに25m×25m開墾してもらい、そこを後から引っ越してきた人たちに長屋を作ってもらうつもりだ。



仕事はどうしようか?

要望も聞くとして、やってほしいことって何かあるかな?

ある程度の土地に塀も建てたいな。

500m四方ぐらいで。



取り敢えず先にポールでも立てておくか。

湖の道は1.5kmほどあり、湖の1/6ほどの南側をカバーしている。

今建築物が建っているのは南西側で、塀を作るならそこを中心に囲んでいくのがいいだろう。



水利用を考慮して、給水している西の川から東に村を作るイメージ。

水道を敷く工事と下水管を埋める工事もしていかないとな。

全部人が来てからでいいか。



ポールを建てた位置までの方向とメジャーで地図を作成していく。

塀の内側にもポールを50m単位でポールを立てて、家の場所や宿の場所、水道を引いているタンクの場所なんかも記していく。



大分大きくなっちゃった。

外周合わせて4kmぐらい。

まいっか。




これを基準に水道と下水のプランを考える。

一番東のタンクは川から遠いので、タンク同士を繋いで給水しよう。

タンク自体はそこまで大きいものは必要ない。

タンク1つで家と宿が賄えるぐらいの大きさしかないが、24時間川から給水しているタンクはキャンプ場と組合、商店を入れても全然余裕だ。

むしろ余った水を下水に流し続けている。



タンクから一番遠い商店を基準に、コンパスで丸を作って後いくつタンクが必要か測ってみたが、あと3つもあれば十分だろう。



下水はパイプを増やさないとダメだ。

4本のパイプから流れる水を1本のパイプになんか流したら、終点に一番近い道場や俺の家が糞まみれになってしまうだろう。

これもコンパスの円を基準に、円の中の下水は個別で排水しよう。

インとアウトはイコールの方がいい。



区画整理は行わない。

あまり自然が無いのは引っ越してきた意味が無くなる。

通りにくい所の木だけ切れば、後はグニャグニャの砂利道でも敷いておこう。

イメージはキャンプ場のコテージ。

バラバラに建ってるやつ。



湖のコンクリート道路の周辺だけ、施設やらなんやらがあるから発展させ、その後ろは自然を残す。



次に塀の作り方を考えよう。

ブロックをセメントで固めていくなんてめんどくさいことはさせたくない。

何か無いか探していたら、蛇籠を見つけた。これを重ねて作ろう。

高さが2mの蛇籠を並べて、手前に高さ1mの蛇籠を並べる。

その表面にセメントでも塗って固め、上に有刺鉄線を設置する。



蛇籠は並べるだけ。

後は俺が石を出していくだけ。

2mでちょっと低いけど、有刺鉄線もあるし大丈夫だろう。



湖側は何を建てようかな。

商店と宿、組合はある。

漁師小屋と鍛冶屋、大工、食品店は欲しいな。

広場はそのままでいいしな。



酒屋は先に作らないとダメだな。

絶対に。




移住者たちが来るまで1週間はかかるだろう。

冒険者たちでも組合本部に派遣して手伝わせるか。

俺はポケットから笛を出して、合図を送る。




ピィィィィィィ!! ピッピッ!!


どこからともなく冒険者たちが集まってきて、俺の前に整列する。

移住者のことを伝え、金と酒を渡して本部に派遣した。

これで3日は短縮できたな。



「旦那様、その笛は?」


「召喚の魔道具だな。餌付けした冒険者を召喚できる便利ツールだ」


「便利な道具でございますね」


「酒がな」



ドワーフ王国でも有効らしい。

買い付けに来るドワーフ連中は既に手中に収めている。

移住を希望する人間が後を絶たないからやめてくれと苦情がセルゲイ王から直接来た。

もちろん止めないが。



野菜の収穫ができるようになった。

ケビンが取れたてを持ってきてくれたので、素材の味そのままサラダにして食べる。

一般的にこの世界の人間は生物を食べない。

それは野菜も同様。



糞なんかを肥料にしている関係で食中毒になるからね。

ちゃんと一回洗剤で洗った方がいい。

野菜も洗剤で洗えます。

海外だと意外とやってる。

日本は安全過ぎて誰もやらないけど。



俺の自家製ドレッシングで食べよう。

油、醤油、玉ねぎ、人参、ごまをミキサーで回すだけの簡単生ドレッシング。

これが意外とうまい。



「うまぁ!!野菜めっちゃうまいじゃん!!」


「生の野菜も旨いもんじゃな」


「このソースも美味しいですね」


「私も農家をやっていて長いですが、初めて生で野菜を食べました」



ジェイソンには生唐辛子を食べさせておいた。

泣いて喜んでくれた。

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