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タヌキと治療



「2桁と2桁の掛け算は最低でも100以上。それは分かるな? つまり掛けた数字は必然的に位が上がるということだ。それをこの筆算式に入れて計算していくと………」


コンコン

「失礼します」


「なんだ? 授業中だぞ」


「申し訳ありません。今タヌキ殿の使者が参られまして、会談を希望しておられます。都合のよい日時はなんとお伝えすればよろしいですか?」


「後30分で終わる。その後来いと伝えておけ」


「かしこまりました」


「よし、九九の表を見ながらこの2桁の掛け算をといてみなさい。分からないことがあれば聞くように」


「「はい!!」」


四則演算を全員ができるようになるまで計算を教えることにしたが、組合員が真面目で教え甲斐がある。

子供たちの方が計算を学び始めたのは遅いが、追い付く勢いで教えていっている。

仕事に直結するし、覚えておいて損はない。



「では、先日組合で実際にあった計算を紹介しよう。ゴブリンの魔石が12個とオークの魔石が4個。この場合、………」





「今日はここまでだ。仕事で躓いた計算があったら書いて持ってきなさい。それを中心に教えていく方が仕事で使えるだろ」


「「ありがとうございました!!」」



そのまま組合宿舎を出て、着替えもしないでガゼボに向かう。



「ギナル、久しぶりだな」


「お久しぶりでございます陛下。お元気なようで何よりでございます」


「今日はどうした? 仕入れか?」


「今日は、今巷で流れている噂を聞いて真相をお聞きしたく参りました」


「噂? あぁ、戦争か」


「………やはり事実だったのですね。5人で勝ったというのも本当で?」


「まあそうだな。ちょっと時間はかかったがな」


「どのように勝ったのか、お聞きしてもよろしいですか?」


「魔道具だな。これ以上は、その身で体験してもらうしかないが」


「い、いえ、結構でございます。………本日は、レイナード陛下より祝いの品をお持ち致しました」



そう言って出されたのは、最高級のタバコの葉っぱだった。

素直に嬉しいな。

こういうのは何かしらお返しをしないといけないんだったか。



オルゴールでも贈っておこう。

曲はなんでもいいや。



「大変素晴らしい品でございますが、本当に頂いても?」


「かまわん」



多分普通に真偽を確かめに来ただけだな。

本当だったとして、今さらトラブルが消えたので土地返してくださいなんて言えないだろうし。

国の中にいつ爆発するか分からない爆弾抱えてるってどんな気持ちなんだろう?



何かしら手を打ってくるかもしれないな。

多少脅して帰すか。



ジェイソンに新しい街道を使って車で王都まで送ってもらおう。

もちろんナビゲーターだぞ?

ダンプもといミンサーはまだ見せない。



ジェイソンにフル装備させて、車でタヌキとタヌキの護衛を送ってもらう。

時速80kmぐらい出していいぞ。



「なんじゃ? 戦車で送ればよかろうに」


「あれじゃあ可哀想だろ? 取り敢えず今は王都まで4時間以内に攻めていけることを伝えられればかまわない。戦争に勝った5人で4時間以内に攻めてこられることを教えてあげることが大切だ」


「相変わらず性格悪いのぉ」


「引いてくれればその分殺さずに済むからな」


「確かにのぉ。攻めてきたりなんかしてきたら可哀想じゃ」


「最悪だな」



取り敢えずある程度、力量の違いが分かってもらえればいいかな。

まあタヌキもどういう意味があって送ってあげたのかは理解しているだろう。

新しい街道で距離が短くなった今、王都なんて日帰り旅行の距離だ。

行って、ミンサーで走って、帰ってくるだけである。

ガソリン入れたタンカーで突っ込んでもいい。



「この国って冒険者も多いし、意外と戦力は豊富だな」


「意外じゃなしに、過剰じゃな。魔王も尻尾まいて逃げるぞ」




そんなことを言っていると、猫車に乗せられて大怪我をおった冒険者が運ばれてきた。

魔物にやられたのか、胸に大きな引っ掻き傷、肩も噛まれたのか出血している。

腕からも出血がひどいのか、紐で縛って血を止めていて、包帯でグルグル巻きにされている。



ヤバそうだな。

ついていくか。



「グスタフも来い、組合の医務室に行くぞ」


「わかった!!」



そのまま組合の宿舎にある医務室に案内する。

まだヒールが得意な医務の担当者は来ていない。

取り敢えず冒険者に言ってヒールが使える人間を呼んできてもらう。



患者の服をハサミで切っていき患部を露出させていく。

呻いているが、血を失いすぎているのか意識はあまり無いようだ。

救急セットといくつか買って、手動の酸素マスクをつけてグスタフに呼吸に合わせて空気を送るよう指示を出し、サバイバル用の保存水とアルコールで患部を消毒していく。



血が多く出ている所を先にヒールで治していくが、1回のヒールではそんなにちゃんとは塞がらない。

ヒールを重ねがけしてなんとか出血は減った。

呼吸が安定してきたので鎮痛剤を飲ませようとしたのだが、何故か3種類入ってた。



どれ使ったらいいの?



取り敢えずイブプロフェンを飲ませて、患部にヒールをかけ続けていく。

ヒールが使える魔法使いが2人入ってきたので3人でヒールを各所にかけていくが、完全に塞がるまでには至らないので、仕方なく俺が縫合していく。


滅菌生理用食塩水と注射器、管のついた針をwalmartで購入。

点滴と同じぐらいのゆっくりとしたペースで打っていく。

無くなったら針をそのままに、また注射器で食塩水を注入。



どれくらい入れたらいいんだろう?



体が弱かったから点滴なんかで注射は何回も見たことある。

めっちゃ失敗したけど。

ごめんね。



「助かった。恩にきる」


「別にいい。この止血はお前らが?」


「そうだ」


「これが無かったら危なかったんじゃないか?」


「よかった………」


「安定しているがまだ呼吸は浅い、これで空気を送ってくれ。家にいるからなんかあったら呼べ」


「旦那は、こんなこともできるんか………」


「………いや、初めてだ。………死んだらすまん」


「「………」」



でも医療系ドラマ好きだったし!!

安定したじゃん!!

めでたしじゃん!!

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